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2009.11.05

ラヴェル 『ラ・ヴァルス』 (グレン・グールド編曲)

part1

part2

 の前書いたように、今珍しくラヴェルを聴いています。おそろしく新鮮に聞こえます。一生かかっても聴き切れない音楽に囲まれて生活していることに幸福をおぼえます。人生は短く芸術は長し…ちょっと違うか。
 さて、今日は「ラ・ヴァルス」。すなわちラヴェル流ワルツであります。
 実はですねえ、「ラ・ヴァルス」と聞きますと、私はあちらを思いだしてしまうのですよ。実相寺昭雄先生の芸術的AVの方です。けっこう衝撃的でしたね、あれは。あれと「アリエッタ」、誰かに貸したら返ってこなくなっちゃった。両作品とも音楽が素晴らしいので、また観たい、あるいは聴きたいのになあ。DVDボックス買っちゃおうかなあ…と思ったら、なんと!プレミアついて5万円かよ!うわあ、買っときゃよかった。てか、返してよ〜。
 さて、それはいいとしてこちらの「ラ・ヴァルス」ですが、ちょっと珍しいわけですね。なにがって、本家というか本人ラヴェルがピアノ用に編曲したヴァージョンがあるのに、どういうわけかグールド自身が編曲しちゃってるんですよね。
 で、さっそくオリジナル(?)ヴァージョンとグールド・ヴァージョンを聴き比べましたが…正直、さっぱり違いが分かりません(笑)。どちらかというと、編曲なんて瑣末な問題より、やっぱりグールドの「音」があまりに個性的で、そっちに気がいってしまう。おそるべし、このタッチ。なんか音の粒子というか、分子というか、いや原子が違うような気がしますね。不思議です。人間じゃないんでしょうか。
 あっ、今気づいたけど、グールドと実相寺ってなんか似てますね。普通の人と同じメディアを操っているのに、なんでこう人と違う「何か」を生むのでしょう。謎です。
 この曲、1855年頃のオーストリアの宮廷を妄想しながら作ったとか。妄想と書いたのは、この曲が踊るための単なる舞曲ではなく、舞曲を巡る物語世界が表現されているように思えるからです。
 ある種、古き良き時代を懐かしみつつ、しかし、現実にはそれが壮大に崩れていく「現代」を予感させる点において、この表現は非常にオペラ的であるとも言えそうです。いや、オペラ的というよりも、映画的なのかもしれません。非常に現代的なわけです。
 管弦楽版で聴くよりも、こうしてグールドという天才の手によってある種の「マイナス作業」を施された音楽を聴く方が面白いとも言えます。何か、物語のプロットを露骨に見せられているようにも感じられ、ちょっとした恐怖すら抱きたくなりますね。
 こうして見て、聴いて、考えていきますと、「現代」というのは、よりリアルな物語を作る方向に進んでいったのだということに気づきます。音楽もどんどん多様化し、協和音というフィクションから離れて、どんどん混沌というリアルに近づいていく。ただ、ラヴェルは最後の懐古主義者だった。だから、絶妙な「時代感」…それは「今」という点という意味ではなく、なにか帯状に連なった、そう小林秀雄の飴のように延びた時間みたいなものを感じさせる音楽なのです。
 その本性というか正体をこうしてグールドというもう一人の天才が暴いて見せているのは実に面白い現象であります。

Amazon グールドのラ・ヴァルス

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コメント

前略  薀恥庵御亭主  様

「音楽全般」無知ですが・・・
この写真の「御方様」の身形(みなり)
ちょっと・・・「変」ですね。笑

まぁぁぁぁ・・・・
「形式」を否定する所に「芸術」あり
と申します。

信仰も同じで「形式」に囚われすぎると
信心の光が弱まるように感じます。

まぁぁぁ・・・「洋服」でピアノを
弾くわけではありませんし。笑

愚僧なども・・・洋服の定番は「シマムラ」
様が御用達・・・音楽は「大滝詠一」様の
最高傑作「ナイアガラカレンダー」
ばっかり聴いてます。笑

気休めの映画は「マーズ・アタック」ですし
気休めの小説は「大藪春彦」様。

以上が愚僧の 「定番一覧」です。

そういえば・・・角川文庫の「大藪春彦」
シリーズの表紙は「辰巳四郎」様でした。
とにかく・・・カッコよかった。懐かしい。

その姪御様が「椎名林檎」様ですね。

それからぁぁぁ・・・「写真」を見てますと
どうでも いいことなのでしょうが・・・
「ピアノの椅子」もヘンテコですね。笑

「ヘンテコ合唱おじさん」     輩   

投稿: 合唱おじさん | 2009.11.08 01:01

合唱おじさん様、さすがいいところに目をつけられる(笑)。
そのとおりです。
グールドはまず、見た目が変です。
常識にとらわれない象徴ですね。
カッコいいと思います。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.11.08 20:41

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