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2009.10.24

今日できることは今日やらない!

↓これとは完全に逆ベクトルですぞ
88023866 けわからんタイトルでしょう。普通は「今日できることは今日やる、明日に延ばさない」ですよね。しかし、私の最近の座右の銘は「今日できることは今日やらない」です(笑)。
 これはですね、つまり、「明日できることは明日やる」なんです。ただ、それが「明日」とは限らないので、そうは言いたくありません。「いつかできることはいつかやる」もなんとなく不確定な感じなので却下。だから「今日できることは今日やらない」です。
 もうちょっと詳しくお話ししましょう。
 正直、私の前半生はですね、「今日できることを今日やらなかった」から、いろいろと後悔が残ったり、また他人様に迷惑をかけたりしてきました。まあ、簡単に言えば「後延ばし」「先送り」、すなわち常に現在において「怠惰」だったわけです。
 もう、自分がそういう性格だなと解ったのは、そうですねえ、中学校3年の頃だったでしょうか。そう、勉強においてそうだったんです。だいたい一夜漬けをして、それで間に合わなくて不本意な点を取るようになってきた。
 中学程度でしたらなんとなくゴマカシも効いたんですが、高校に入ってからは本当にひどいことになりました。クラスでもケツから数えた方が早いなんてのは当たり前で、これは自慢にもなんにもなりませんが、数学のテストで15点をとり、追試を受けたら8点だった…なんてこともありました(笑)。
 それから、20年くらいは、そんな自分が嫌で嫌でしかたなかったんです。ああ、あの頃から自分はダメになり今に至るなと。中学まではけっこう優秀な生徒だったし、たぶん親なんかも「この子は天才では?」なんて思っていたに違いありません。そんな自分や他人の期待を裏切ってしまった…。
 しかし、最近全く逆の発想をするようになってきたんです。これでいいのだ!と。
 そういう「後延ばし」「先送り」人生を送ってきたおかげで、ずいぶんと余計なことを勉強させてきてもらいましたし、また、未来設計に自信が持てるようになったし、また結果としていい仕事ができるようになったし、ハッタリ力も身についた。そして、仕事はなるべく遅くやった方がいい!
 そんなふうに心から思えるようになり、積極的にそういう生き方をしようと思えるようになったのです。
 考えてみますと、たとえば中学高校で勉強が先送りになるというのは、ごく自然なことです。あんな為になるんだかならないんだか分からんものを強制されて、それを嬉々としてやるといのうは異常であります。いや、その「嫌なこと」に打ち勝って頑張れ!と、だいたいエライ先生や親は言うのですが、今センセイになってみると、そういう言葉というのは甚だウソくさいですね。せいぜい、大学行くと楽しいぞ、1年がまんして4年遊べ!とか言うのが良心的ではないか(笑)。
 つまり、私があの当時勉強をしなかったのは、勉強以外にやるべきことがあったからです。それは音楽であったり、文学であったり、恋愛であったり、その当時の先生や親からしてみれば、「そんなことやってないで勉強しなさい!」的なものだったに違いありませんし、実際私自身「何やってるんだろう…」とか「何やってたんだろう」と思うことも多くありました。
 でも、最近になりまして、あの全ての欲望やエネルギーが今に生きていることが分かったんですね。ムダがムダでなかった。少なくとも勉強よりはずっと役に立っているし、今の自分を形成する土台になっています。勉強は基本みんな一緒のことをしますからね。それに比べてあれらはオリジナルな自分という感じがしますよ。
 簡単に言ってしまうと、あの頃の「今日やるべきこと」はそういうものたちだったのです。たしかに勉強は「今日できる」ことだったかもしれない。しかし、「できる」と「やるべき」とは全然違います。
 あと、社会人になってですね、案外有用だったのは、「間に合わなかった」という経験です。たとえば大学入試なんか全然間に合わないで悲惨な結果になってしまったのですが、あの経験が今とても役に立っています。
 私は仕事に関しては自他共に認める「ギリギリ派」です。ギリギリですけど間に合います。最近ぼけてきたのか、ちょっとミスもありますけど、基本そこそこ仕上げてドンと間に合わせます。
 実はこの感覚というのが非常に重要だと思うんですね。逆算です。この仕事の量と質なら、今日はやらなくていいな、あさっての午後からで間に合う…そういう勘です。今の私はそれがほぼ完璧にできます。そんなこと自慢してもしょうがないのですが、さすがにこれだけいろいろギリギリ体験(たまに間に合わない)していると、未来感覚というか、ある種の予知能力というか、そういうのが身につきますね(笑)。ここには結構自信持っています。
 そうすると今日無駄なことをしなくてすむ。本当に今日やるべきこと…それは遊びだったりすることがほとんどですが…を見失わないですむ。
 それから、仕事というのは、なるべく遅く始めた方がいいというのはですね、もちろん間に合うことが前提なんですけど、あのギリギリの緊張感から生まれる奇跡、つまり火事場の馬鹿力的なものですね、それが案外楽しい。神が降臨するようなものです(笑)。早めに堅実に自分の力でやってたら、ぜったいにできなかったであろう「作品」がいつのまにか出来上がっています。ひどいですねえ…笑。
 でも、これってあると思うんですよ。まず時間がないと無駄が排除されます。バッサバッサと斬り捨てることができます。「斬り捨てる」じゃなくて「切り捨てる」だな。これは仕事というか人生にとって非常に重要ですね。時間があるとついつい「自分」が表に現れて、やりすぎになる傾向がありますから。
 あとですね、実はこれが一番言いたいことであり、今まで人類があんまり気付いてこなかった事実なんですが、何をするにも「なるべくたくさんの経験を積んだ方がいい」ということ。つまり、今日やるよりも、何ごとも明日やった方がいいに決まっているということです。今日の自分よりも明日の自分の方が偉いんです!これは絶対です。あまりに単純な真実すぎて、みんな忘れてしまっていることです。
 というわけで、なんだか自己弁護というか自己肯定のために熱弁してしまった感がありますけど、まあ、完全に間違っているとは言えないとも思いますよ。
 「今日できる」ことであっても、「明日(もしくはいつか)できる」ことであって、本当に「今日やるべき」ことでなければ、あえてやる必要もないし、やらない方がいい。これが結論です。
 あと、おまけですが、よく人に「明日病気になったらどうするの?」みたいな心配をしていただきますが、そういう緊張感があると人は病気になったり、事故にあったりしないものです。逆に思い残すことがないと、人は早く天に召されてしまうのであります。私は健康に長生きしたいので、今後も「後延ばし」「先送り」人生を送っていきます。
 それはたくさんの「しわよせ」も呼ぶけれども、きっとたくさんの「しあわせ」も呼び込んでくれる達人の生き方であると信じています(笑)。

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コメント

前略 薀恥庵御亭主 様

愚僧など「今日できることは・・・
いつかやる」です。  駄目ですね。笑

映画「沈まぬ太陽」を拝見しました。

とにかく「想い」はひとつでした。

名優 故「山田辰夫」様の演技でした。

素晴らしい演技でした。

愚僧の「命」を分けられるのであれば

「山田辰夫」様に差し上げたかった。

合唱おじさん         合掌   

投稿: 合唱おじさん | 2009.10.25 22:31

合唱おじさん様、おはようございます。
「今日できることは・・・いつかやる」でいいと思いますよ。
私もそれです。
山田辰夫さんは、本当に残念でしたね…。
おくりびとでもちょっとした役だったのにもかかわらず、妙に印象に残っています。
「沈まぬ太陽」見たいと思います。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.10.26 08:53

おひさしぶりです。。

要するに・・
「今日できることは、いつでもできる。」ってことですね。
いつでもできるから、先延ばしにもできる。。。
…でも、やらなきゃならないことなら、先にやっておいた方が気楽。。ってことになるのでしょうけれど。。。…

夏休みは最後の日に泣けばいいということです。
そうすれば、夏休み明けの一発目の授業に対応できる頭になっている。。
計画的に夏休みの序盤で宿題を終わらせてしまった人間は、だるーい感じで授業をしなければならないというわけですね。

なんて、こじつけできるのもきっと、「今日やらないで」生きてきたからなんでしょう。ww

投稿: たこたよ | 2009.10.28 00:58

たこたよさん、どうもです。
そういうことですね!
急いてはことをし損ずるわけです。
何事も遅いに越したことはありませぬ(笑)。
以前、「仕事ためずにカネためろ」を座右の銘にして、
とんでもない失敗をおかしました。
もう絶対にそんなバカなこと言いません!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.10.28 13:12

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