ゴルトベルク変奏曲七変化
今日は学校にとっても自分の人生にとっても、一つのターニングポイントとなる特別な日でした。詳細については後日パブリッシュいたします。地元の新聞等には明日あたり何か出るかもしれませんが。
そんな特別な日が終わろうとしています。ものすごく疲れております。眠いのに眠れません。
いや、疲れた理由は、実はその仕事のおかげではないんですよ。その仕事の片づけをしていたところ、学校の母体になっているお寺の本堂の前で、外人さんに話しかけられちゃいましてね、それで30分ほど頭を英語モードに切り替えなくちゃならなくなったわけでして…。仕事のことで頭がいっぱいというか、緊張が解けて頭がパーになっているところに、突然の非日常だったため、なんだか思うように言葉がでてきません。
その方は、オランダの方で、日本の禅宗について研究されている方でした。筑波大学で何年か勉強したとかで、最初は日本語でしゃべってくれたのですが、なぜか途中からお互いにとっての外国語であるはずの英語になっちゃった。
まあ、得意のハッタリ英語(英単語羅列)でなんとかしのぎきりましたが、どっと疲れました。でも、ちょっと面白かったかも。たしかに英語というのは便利なツールですな。
てか、今思うと、彼らは私のことをお坊さんだと思ったんでしょうね。スキンヘッドがお寺にいれば、そう思うのも無理はないか(笑)。
さて、そんなわけで、とんでもなく疲れているのに眠れない。そんな時は、この曲に限ります。余計に眠れなくなります(笑)。
ご存知の方も多いかと思いますが、これはバッハが不眠症の伯爵さまのために書き下ろしたというエピソードを持つ曲です。しかし、どうもその話はウソっぽいですね。とにかく眠れませんよ、こんなすごい曲聴かされたら。
もちろん、美しい和音進行がアリア(主題)と30の変奏という形で1時間以上演奏されるわけですから、ある意味単調に陥り、眠気を誘うかもしれません。しかし、その実体はバロック音楽の集大成とも言うべき、複雑な対位法や演奏技術が詰まったすさまじいものです。
BGMとして感性にまかせて聴いても心地よいし、楽譜を見ながら論理的に聴いてもすさまじい感動がある。そういう意味においては、音楽の一つの極点なのかもしれません。ビートルズもそういうところありますけどね、ちょっと意味が違うようにも思えます。とにかく、人類が生み出す芸術の到達点であることはたしかです。
こういう世界をこうして享受できる我々現代人は幸せですよね。オランダ人が日本の禅宗に興味を持ち、日本人の私たちがこうしてヨーロッパの古い音楽に感動できる。考えてみれば不思議なことです。
さて、この人類の遺産ですが、あまりの深さからか、最近では本当にいろいろな編曲が試みられるようになりました。つまり、いろんな楽器の奏者が自分たちの手で演奏してみたくなるわけですよ。これはよく分かります。私も弦楽合奏版を自分で編曲したり、あと、そうだ!あれあれ…得意の宴会芸で二面の琴で演奏したっけ。あれはウケたなあ。特にトリルなんかの装飾音が(笑)。ビヨヨ〜ンてね。
で、今日紹介したいのは、上の写真のものです。古楽器の弦楽合奏(+通奏低音)版です。これはいいですよ。非常に自然に耳に入ってきます。もともとこういう曲だったのでは、と思わせるほど美しい。そして、音楽的な構造も、鍵盤で弾くよりわかりやすい。
また、室内楽的なトリオや、デュオだけでなく、弦楽のための協奏曲(コンチェルト・グロッソ)のような大人数の合奏まで、いろいろな響きを聴くことができ、単調に陥りません。
本家NMLの試聴でどうぞ。未加入の方も15分は聴けます。
レ・ヴィオロン・デュ・ロワ/ラバディ盤
日本のNMLに加入している方はこちらでごゆっくりどうぞ。
ついでですから、今日はいろいろな楽器によるゴルトベルクを紹介いたしましょう。本来のチェンバロ版については、そうですねえ、いろいろな名演奏があるんですけどね、私はあえてキース・ジャレットのものと曽根麻矢子さんのものを推しておきます。
この曲が歴史的に復活したのは、今年没後50年を迎えたランドフスカの演奏でしょうね。いちおうチェンバロです。1933年の録音でしょうか。こちらは版権の関係で本家では聴けません。日本のMNLでちょっと聴いてみてください。
ランドフスカ盤
そして、次もこの曲を現代人に知らしめた超人的名演、バッハもたぶん納得というか驚愕のグールドの演奏です。もちろんピアノ。1954年。これも本家では聴けません。日本のNMLです。
グールド盤
このあたりも、いわゆるピリオド楽器派からしますと、編曲版とも言えないこともありませんね。
さてここからは本格的な編曲版を紹介します。
まずは、オルガン版です。何人かのオルガニストが演奏しているようですが、私はこれが好きですね。ものすごく神聖な気持ちになりますよ。
NML本家
NML日本
続いて、これも美しいですねえ。木管合奏版です。オーボエで演奏されるメロディーは絶品です。
NML本家
NML日本
次はちょっと変り種。でも、案外正統派かも。ピアノの前身となったツィンバロンによる演奏です。二人で演奏していますけど、考えてみると、これは超絶技巧ですねえ。
NML本家
NML日本
最近は弦楽三重奏版がはやってますね。楽譜が出版されているからでしょうか。
NML本家
NML日本
そして、最後は案外いいもの。アコーディオンによる演奏です。ゆったりとしたアリアからして、なんというか、呼吸のようなものを感じるいい演奏ですね。これもまた超絶なんだろうなあ。間に現代曲をはさんでいるのが面白い。結構好きかも。
NML本家
NML日本
今日は変奏曲の七変化ということでしたが、結局「八変化」になっちゃいました。ま、今日はおめでたい日ということでご容赦ください。
さあ、さすがに寝ようっと。おやすみなさい。
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