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2009.10.20

『LOVE LOVE LOVE』 (ビートルズ・カヴァー集)

61x1puskvl_sl500_aa240_ さって木曜日、ライヴに行く予定のフジファブリックもこのアルバムに参加しています。
 彼らの演奏しているのは「I WANT YOU」です。当初の発表では「Strawberry Fields Forever」とあり、うわぁ!(彼ららしい!というのと、む?マジか?)と思ったのですが、予想通りというか、いや、その事情は分かりませんけど、曲が変更になりました。
 それでもかなり彼ららしさの出た演奏となっています…というのもおかしいか。やっぱりフジファブリックは中期(〜後期)ビートルズの強い影響下にあるなと再確認したというのが正しいところでしょう。
 本当によくハマってますよ。最新作『CHRONICLE』では、すっかり下吉田(西裏)らしさを失ったと評された(誰にだ?w)彼らですが、面白いものでこの「I WANT YOU」では、また昔の彼らのドロドロした感じがよみがえっていました。ってことは、西裏ってビートルズなのか?ま、あの時代は、ああいうふうに世界中がサイケだったのですな。
 いつも書いているように、The Beatles→ELO(ジェフ・リン)→奥田民生(ユニコーン)→志村正彦(フジファブリック)というDNAの流れがあるわけですから、今回のフジのしっくり感は当然とも言えましょう。
 今年はビートルズ・イヤーということで、先月私も「よみがえるビートルズ」についての記事を書かせていただいたりして、彼らのあとに生まれた幸せを痛感してきました。その後もいろいろ聴いたり、楽譜を読んだりしまして、結局卑近な表現になってしまいますけれども、「どうやって作ったんだ?これ」という、いわばアンビリーバブルな絶句に行き着いちゃったんですね。
 で、今回このアルバムを聴き、特にフジの「I WANT YOU」を聴いて、「これが頭に浮かぶって、どういう状況?」というビートルズの驚きの基本に帰ってしまった。やっぱりすごいとしか言いようがありませんね。きっと、編曲し演奏しながらフジの面々も驚いたことでしょう。
 そういう意味では以前のフジファブリックはそういうところがあったんです。ビートルズと比較するわけにはいかないにしても、近年にはない衝撃を受けたのは事実でした。最近はある意味お行儀よくなったというか、私の音楽体験で説明できる曲づくりに変ってきました。それがいいか悪いかは世間が決めることですから、とやかく言いません。しかし、このタイミングで、こうして原点を演奏することによって、お互いにルーツを思い出すというのは実にいいことですね。
 さて、その他の演奏です。いや、これがなかなかいいもの揃いでした。だいたいカバー、特に日本人によるカバーというのは「痛い」ことになることが多い。しかし、このアルバムはなかなかのクオリティーでした。なかなか、なんて失礼ですよね。そうそうたるメンバーがそれぞれの愛(ラヴ)と尊敬(リスペクト)をもって歌っているわけですから。以下リストです。

1. BACK IN THE U.S.S.R./布袋寅泰
2. YER BLUES/椎名林檎
3. MOTHER NATURE'S SON/GLAY
4. DON'T LET ME DOWN/ 忌野清志郎 & 仲井戸麗市
5. THE FOOL ON THE HILL/原田知世
6. A HARD DAY'S NIGHT/Fire Ball
7. I'M SO TIRED/湯川潮音+LEO今井+JAMES IHA
8. YOU'VE GOT TO HIDE AWAY/高橋幸宏
9. I WANT YOU/フジファブリック
10. AND I LOVE HER/坂本冬美
11. NORWEGIAN WOOD/高中正義・松任谷由実
12. TICKET TO RIDE/THE ALFEE
13. ALL MY LOVING/unistyle
14. HELP!/吉井和哉
15. ALL YOU NEED IS LOVE/Various(*高橋幸宏、高野寛、延原達治(THE PRIVATES)、桐島かれん、佐木伸誘、稲葉智・笠原敏幸(Papa)、和田加奈子、田中一郎、村田和人、日野皓正)

 どれもとても興味深くクオリティーの高い演奏です。特に、やっぱり忌野清志郎さんの歌声にはグッと来ちゃいましたね。案外いいのが原田知世さん。アレンジも原曲に忠実で、全体に誠実な感じで好印象。我らが歌謡曲バンドのアイドル(?)坂本冬美さんも上手に歌いこなしていますし、ある意味ビートルズの「演歌」性を抽出してくれていてgood。吉井和哉さんもいいですね。最近ライヴでよくビートルズを歌います。彼も原点回帰なんでしょう。
 というわけで、なかなか面白いアルバムでした。私もこの歳になって原点回帰、私を音楽の世界に引きずり込んだThe Beatlesをしっかり見つめなおし、自分なりのカバーでもやってみようかなあ。1曲だけでも。そう言えばバンドでビートルズやったことないな…。ううむ、でも、今私の頭で想像できるのは、やっぱり「完コピ」しかないな。1音も動かせない気がする…。才能も勇気もないのか。
 あるいはリフキンみたいにその逆を行くか…。いや、その才能の方がないな(笑)。

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コメント

最近父が持っていたビートルズの「ONE」を聴いて、全然フルさを感じさせないビートルズの音楽はやっぱりすごいんだなと思っていたので。。これはぜひ聴いてみたいです!
ビートルズ×志村さんから西裏の香りを感じたい(笑)

投稿: ユキ | 2009.10.21 12:23

ユキねえさん、お久しぶり。
いやあ、ビートルズはいいよねえ!
やっぱり最高だよ。
特に西裏で聴くビートルズは絶対いい!
いいなあ、西裏…笑。

今日ライヴ行ってきますけど、はたしてビートルズやってくれるかな?
楽しみです。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.10.22 06:50

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