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2009.09.02

エコライド…あまりにシンプルな究極の乗り物

 士山に住んでいますので、毎日麓の職場まで標高差300メートル以上を下ります。そして夜には上ってくる。
 こんなことを繰り返していますと、なんとも歯がゆいというか、申し訳ないというか、そんな妙な気持ちにかられます。エネルギーを無駄遣いしているなあと。
 つまり下りはですね、車のクラッチを切って、自然滑走させると、なんと時速90キロも出るんです(理論値です。実際は法定速度遵守です…笑)。で、上りはずっと思いっきりアクセルを踏んでいる。途中平坦なところはほとんどありません。
 そうすると、やっぱり考えるのは、下りで余ったエネルギーを上りのために蓄えたいということです。考えられるのは「充電」でしょうね。
Specimage 今日の朝、NHK「おはよう日本」で三洋の高級エネループ・バイク「CY-SPK227」が紹介されていました。なんと63万円だそうです。軽自動車が買えますね。でも、けっこう人気だとのこと。
 たとえば、これを(あるいは同種の廉価版を)買ったとしましょう。私の夢は実現するのでしょうか。
 エネループ・バイクは、下りの時にモーターを発電機として充電をします。いわゆる回生ブレーキの原理ですね。それで、上りは3分の1の労力で走れるというわけです。もちろん、下りでの回生電力だけでは、上りきれませんから、家庭での充電も必要ですし、自分の足でこがなくてはなりません。
 いちおう、カタログデータですと、最長100km動力アシストが続くとなっていますから、片道13キロくらいである私の通勤距離なら、なんとかカバーできそうです。
 自動車で通う場合、往復で約2リットルのガソリンを使っていますから、まあ今ですと往復で250円くらいでしょうかね。1ヶ月で約6000円として、電気代を勘案しても、2年くらいで廉価版の方は元がとれます。適度な運動にもなりますし、これはいいですよね。
 …と思いきや、実際はそううまくいかないのです。100kmなんてのは、まさにカタログ値であって、実際高低差300メートル以上の上り坂を連続して走ることは想定していませんから、たぶん試してみると、10キロ地点くらいで力尽きると思います。そうしたら、あとは地獄ですね。富士山の形状上、後半の勾配がきつくなるのは、想像に難くないでしょう。実際そうです。電動アシストがなくなった電動アシスト自転車の逆アシスト(?)ぶりは、狂気(凶器)の沙汰であります。
 たとえ最初はなんとか上りきっても、毎日そういう負荷がモーター(兼発電機)とバッテリーにかかり続けると、両者にかなりのダメージがあって、すぐに航続距離が短くなっていくでしょう。おそらく一つ3万円以上するエネループ(充電池)を数ヶ月で買い替えなければならないという、とんでもく非エコロジー&非エコノミーなことになるに違いありません。
 あと、あの回生発電システムは、時速24km以上になるとオフになるそうです(なんで?)。あの下り坂を24キロ以下で走るのは至難の業ですね。ブレーキ・パッドも毎月交換しなければならないかも。
 それから、冬はマイナス10℃以下になって、人間もバッテリーも元気がなくなるだろうし、路面も思いっきり凍結しますから、とても乗れませんね。やっぱりダメか。
 でも、試してみたいような気がするんですよねえ。実際どうなるか。三洋さん、試験的にレンタルしてくれませんかね、63万円のヤツ(笑)。
 と、そこでですね、今私が注目しているのが、「エコライド」という乗り物です。これはですね、東京大学と遊具メーカーのSENYO(泉陽興業)さんなどが共同して開発中のもので、原理は緩やかなジェットコースターですね。位置エネルギーを利用して、下りは自由落下というか、自由滑走させまして、上りは電力ウィンチを使って引き上げるんです。本当にシンプルな発想の乗り物。
 これだと、人一人を1km運ぶのに必要なエネルギーは、自動車の11分の1、バスの3分の1、鉄道の2分の1程度ですむと言います。建設費用も格安だとのこと。
 実験線が走っている動画がありましたので、見てみてください。

 これをですね、ウチと職場の間に敷設しましょう。行きは時速90キロ出ますから速いですよ。あるいは回生ブレーキで発電してエネループに充電しまして、帰りの動力の足しにしましょうか。いちおう途中で止まるのもありでしょうから、コンビニ駅でも作りましょうか。酒屋駅とか、本屋駅もいいなあ。
 なんて冗談はさておきまして、これは使い方によっては本当に究極にエコな乗り物になるでしょうね。ただ問題は適度な勾配と適度な距離と適度な利用者という、いろいろな条件が合うところがどの程度あるかということですね。それこそ富士山麓なんか、うまく使えばいろいろできそうな気がするんですが。パーク&ライドを併用してもいいし。
 というか、富士急行線自体を全線エコライド化するってのはどうでしょう。ずっと坂だし、今でも回生ブレーキで架線へ電力戻しているし。あと、富士急ハイランドでジェットコースターの実績あるし。
 なんて、冗談のように言ってしまいましたが、実は富士急行線で鉄道史上に残る悲惨な事故があったんですよね。1971年のことです。私が毎日通るある踏み切りで電車とトラックが衝突し、電車のブレーキが破損、その結果、富士急行線自体がまさにジェットコースター状態になってしまったのです。地元の方なら分かると思いますが、あの暮地の坂付近の急勾配と急カーブで、とうとう脱線転覆してしまいました。多くの方がお亡くなりになりました。その後、全国の鉄道のブレーキシステムの見直しが図られたそうです。
 エコライドはレールを3方向から挟み込む形なので、脱線する可能性はほとんどありませんが、やはりブレーキシステムには二重、三重の注意が必要でしょうね。

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コメント

ウチも電動アシスト自転車を使い始めて 4~5 年経ちます。なかなか便利な乗り物ですよ。ただし、ほぼ平地で時々坂道があるような場所でなら。
庵主様の仰る通り、今ある電動アシスト自転車は、あまり極端な高低差かつ距離を短時間に走行することは考慮されておりませんし、それ以前に現行のバッテリーでは実現不可能でしょうね。

ところで、カーボン・フレームだのマグネシウム・フォークだの、加えて 60 万円超の値段だの、全くエコには思えない仕様ですね。

投稿: LUKE | 2009.09.03 18:25

LUKEさん、おはようございます。
そうですよね。
普通の土地なら結構便利なツールですよね。
結局バッテリーの問題です。
自動車の方もそう。
何事もそうですけど、貯めとくっていうのは、難しいものですね。
貯めとく、とっとく、それで後で使うっていうのは、究極の煩悩かもしれません。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.09.04 07:52

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