SWEET LOVE SHOWER 2009 in 山中湖
昨年に続き、山中湖で行われたSLSに行ってきました。
今年はスペースシャワーTVの開局20周年ということで、ぜいたくに3日間にわたって行われました。個人的には、フジファブリックとユニコーンの出演した28日にも行きたかったのですが、さすがに平日の昼間だとなあ…。我が校ではちょうど始業式ということもあり、残念ながらあきらめました。いやあ、フジもユニコーンも良かったみたいですねえ。
2日目も若手実力派バンドが集結しており、参戦してみたい気もしましたが、ちょっと45のオッチャンにはきついかな、ということでお休み。そして、今日はいろんな意味でオッチャンでも楽しめるアーティスト満載ということで、教え子を連れて行ってまいりました。
まず、自分のことから書かせてください。オレってこんなに有名人だったっけ?と思ったんで(笑)。自慢話です。
今日はホントいろんな人に声掛けられました。あれだけの人ごみの中で、どうして私を見つけるんだろう。ポンチョかぶってたので、あんまり目立たなかったはずなんだけどなあ…。
計15人ほどに見つかりました。それも、生徒や卒業生、同僚、知り合いならともかくも、なぜか出演者やその親族の方々も、向こうからわざわざいらしてくれて、「どうも、どうも」とか言われちゃうし。
一番びっくりしたのは矢野顕子さんと偶然遭遇しちゃったことでしょうか。普通に「お疲れさまです」とか挨拶しちゃいましたが、きっと向こうは「あれ?誰だっけ?」っていう感じだったでしょう。業界人に見えるのかな?それともオレって本気で有名人なのかな?(笑)
ま、そんなくだらない自慢話はいいとしまして、今日のステージの感想をつらつらと書きましょうか。
今年は昨年の反省に基づき、まずは車を近所の卒業生宅に置かせてもらいました。ありがたや。あの終演後の公式駐車場脱出困難地獄には参りましたので。
入場後はすぐにレミオロメンのステージです。昨年は大トリで感動的なフィナーレを演出した彼ら、今年は「グルッと回って」オープニングです。
まあ、今年の藤巻くんは、かみまくりましたねえ。なんでもおととい富士山に登ったとか。ちゃんと登頂したそうです。偉い!…いや、それでいいのか?大切なステージの寸前にそんなムチャして…。そんな無茶を平気でやっちゃう(今までもいろいろありましたね、実は)やんちゃな姿こそ、彼らの魅力とはいえ、そろそろいい歳だから自重してほしいような気も(笑)。
実際お疲れが残っていたんじゃないでしょうかね、マジMCでも噛みまくり。しまいには、その富士登頂の感動を歌うはずだった「もっと遠くへ」で致命的なかみかみを犯し、やり直しに。実は「もっと遠くへ」は昨年もやり直したんですよね。今どき、そんなプロのバンドなかなかいませんよ(笑)。「カミオロメン」と命名してあげますよ。ま、藤巻くんにはいろいろ義理もありますので許す!
レミオのステージが終わると、私はおもむろにMt.FUJI STAGEの正面テントの裏へ。ここはステージが見えませんので特に空いているスペースです。そこにシートを敷いて、ぐうたら観賞です。中盤は実は寝てました。台風が近づいているせいか、それとも別の原因か、頭痛がひどくて。
あとですねえ、最近の若いバンド、特に今日演奏した方々、決して音楽的に悪くないし、技術的にはとってもうまいんですが、正直個性がないというか、みんな同じに聞こえるというか…。私が単に歳を取ったとも言えますけど、それにしてもみんな新しさが足りない気がしてなりません。
どんどん出てくるバンド、けっこうちゃんと聴いているつもりです。オッチャンなりに頑張って聴いているつもりですが、たしかにこのブログでそれらを紹介するときも、「このバンドは○○に似ている」とか「○○と○○を足して2で割ったような」とか、そういう表現が多くなっているような気がします。それぞれのコアなファンにしてみれば、とんでもない!ということでしょう。でも、絶対にパターン化していますよ。実際、長続きしそうなバンド、超大物になりそうなバンド、全然見当たりません。特に今日は草食系バンドが多かったからかなあ。昨日は比較的肉食系だったようですが…。
実はそれを強く感じたのは、後半に活躍したベテランバンド&アーティストがあまりに個性的だったことが原因です。まず度肝を抜かれたのは、TOKYO NO.1 SOUL SET。アラフォーの3人が紡ぎだすコテコテのグルーヴに、思わず体が動いてしまいました。頭痛も治った!あれは単純にヒップホップとは言えないな。しっかり日本の歌謡曲してますよ。演歌かもしれない。しびれました。
続いての東京スカパラダイスオーケストラは言わずもがな。彼らはこの夏二度目の山中湖ですね。夏の湖とスカは非常にマッチする!もう理屈抜きで乗らされる。完璧なステージングですね。演奏技術だけでなく全体の演出力もずば抜けている彼ら。これまた度肝を抜かれました。
そしてそして、矢野顕子さま。私、実は生矢野顕子さまは初めてです。こんなに間近に彼女を拝見拝聴できるとは…。これまた、もう理屈抜きに打ちのめされました。世界に唯一無二の歌姫ですよね。これぞ世界レベル!なんですか、あのピアノは。彼女のピアノだけでもお金を払った価値があったというもの。
そして、声、言葉。全てが完全体。たたずまい、おしゃべり、ピアノのミスすら作品になってしまう。あまりに恐ろしい存在でした。まさに富士山に降臨したかぐや姫という感じ。あのセクシーさは、私が震憾した(萌えた)ちょうど30年前のお姿と、なんら変わることありませんでした。そんな方と挨拶交わしちゃったし(笑)。
さてさて、続きましてはエレファントカシマシです。昨年のエレカシも良かったなあ。今年も全くおんなじノリでしたよ。これもまた揺らがない個性。好き嫌いを超えて、もう伝統芸、無形文化財のレベルですね。歌は魂ですよ。ソウルですよ。言葉の意味とか、コードの組み合わせとか、そんな瑣末なことはどうでもいい。
で、ちょっと可哀そうだったHYをはさんで、今年の大トリは桑田佳祐 & SUPER MUSIC TIGERS。これがまあ、とんでもないことになっちゃった。私、生で桑田さんの歌を聴くのは、25年ぶりくらいです。大学生の時、所沢球場にサザンオールスターズのライヴに行って以来です。
もうなんというかですね、言葉になりませんね。いろいろな思いが去来しました。妙に切なくもなりました。時は流れる。夏は終わる。政権交代で日本も終わる(笑)。
それにしてもとんでもないバンドでしたね。総勢16名ですか?サザンのメンバーから大御所、スカパラまで。あまりに贅沢なバンドでした。個人的には亀田誠治さまのベースがぐっと来ましたねえ。夢のようです。曲もまた贅を尽くしていましたね。桑田ソロ名義からサザンの名曲まで。とんでもない選曲でした。正直なめてた。帰りの渋滞を考えて途中で退散しようなんて思ってたのに…。完全に呑まれました。さすが超大御所。
彼が日本の音楽界に果たした功績についてもしみじみ考えましたよ。歌謡曲は「言葉」がはじめにあると、なかにし礼さんも語ってますが、それを革命的に壊したのが彼の音楽でした。彼は洋楽のエッセンスをあまりにうまくパッチワークしました。それがとんでもない天才的なレベルでのことでしたから、日本では初めて音楽が日本語を超えることに成功したんです。
それは日本の歌謡界にとっても、ロック界にとっても、幸福なことでもあり、不幸なことでもあったんです。結局、今日の若手バンドの問題点は、そこに集約されるとも言えます。つまり、最近は再び日本語ロックへの回帰が行われているわけです。私が演歌ロックと称するものたちですね。そのへんに関しましては、またいつか語ろうと思います。今日はとにかく桑田佳祐という破壊の神のすさまじさに感動しまくったということで。
いやあ、ベテランの力というのはすごいですね。つまり、生き残るモノのすごさです。ある意味市場経済的なコトを乗り越えてしまう何かを持っているんですね。時代を超えるモノこそ「神」ということでしょう。
折しも、今日はプロレス界でも時代を超える大きなイベントがありました。また政界でも時代を画する大きな事件(!)がありました。いずれにせよ、時代を超える本モノが若い人たちの中からどんどん出てきてほしいですね。いろんなジャンルにおいて。ああ、やっぱり我々教育者の責任は重大ですねえ。
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