『中山成彬はなぜ日教組と戦うのか』 伊藤玲子 (ベストセラーズ)
「教育のガン」…ぶっ潰すまで戦い続ける!(腰巻より)
さあ、もうすぐ選挙です。民主党が勝つでしょう。そして、また日本はダメになるでしょう。特に教育現場は。
いやいや、私は別に特別な自民党シンパではありませんし、共産党員でもありません。おそらく今回も投票に行かないでしょう。
それにしても自民党の必死さは面白いですね。mixiをはじめ、そこら中に広告出してます。そして、それをclickしてホームページへ飛んでみると、面白いコンテンツ満載ですね。特に民主党に対するネガティブ・キャンペーンは実に楽しい。
でも一読の価値はあると思いますよ。一連のチラシのpdfはたしかに民主党の恥部をさらしていて面白い。ま、誰にでも恥部はあると思いますが(笑)。特に教育関連では民主党=日教組に日本は任せられない 「日の丸」を切り刻んで党旗を作る民主党!!がよくまとまっていていると思います。
そう、実はですね、山梨県の教育界というのは実に特殊な現状でして、今回民主党が政権を取ってしまいますと、ますますその特殊さが濃厚になるのではないかと危惧しているのです。
この問題はある意味県内ではタブーなのか、誰もホントのことを書いたり言ったりしませんね。マスコミも尻込みしている。私は私学の人間でして、この問題の核心にある日教組(山教組)とは関係ありませんから、なんでも書けます…かと思いきや、そうでもなくて、まあ仕事柄たくさんの公立の先生方と交流がありますからね、あまり極端なことは書けません。
いや、それは別に私自身の保身の問題とかではないんですよ。単純に本当のところが見えているからです。たとえば自民党が吠えたり、この本で指摘されていることが全て事実ではないということも知っているからです。
なんのこっちゃ?という方も多いと思いますので、ごく簡単に説明しましょう。
山梨県は日教組王国と表面上は言われています。なぜなら公立教員の山梨県教職員組合への加入率が95%を超えているからです。これは全国的にもかなり高い方です。ですから、この数字だけ見ればですね、山梨では徹底的に日教組的教育(先ほどの自民党のパンフ参照)が行われているかのような錯覚が起きて当然です。この本でも基本そういう紹介のされ方をしています。
特にいわゆる山教組問題というのが、平成16年の参院選挙の時に起きてからは、他県の心ある親御さんは、絶対に山梨に移住なんてできない!と思ったことでしょう。
そう、この本でも強烈にやり玉に上がっていますけど、あの時は、輿石東現民主党代表代行のために、公立学校の教職員ほぼ全員が数千万円に及ぶ裏カンパをしたり、本来の教育業務ほったらかしで票集めに奔走したんですよ。産経新聞がそれを初めて全国版で取り上げ、国会でもずいぶんと問題視されました。というか、他県の皆さんは「そんなことが現実にあるのか?」と驚かれたことでしょう。
でも、そんなことはその時に限ったことではありません。全国的にも有名な「甲州選挙」では、そんなのは序の口でしたから。山梨特有の人間関係、地縁・血縁、ヤクザさながらの親分子分関係、無尽と言われる特殊なコミュニティー文化などは、今でも色濃く残っています。
それはそれで悪いことばかりではないんですよ。歴史的に見て、山中の小国が生き残るためには、そういう人の絆が必要だったのでしょうし、あるいは落人が身を潜めて生き残るためには、そういう智恵が欠かせなかったのでしょう。
しかし、そういった特殊な地盤を悪利用するヤツもいるわけです。まあ有名なのはかのドン金丸信でしょう。で、そういう旧式の自民党流のやり方を非難しているはずの民主党の代表格が、今こうしておんなじことをやっているんですから、もう笑っちゃうしかないですよね。投票にも行きたくなくなるというものです。
おっと、肝心なことを書きそびれていた。で、山梨というのは日教組支配が強くて、自民党的に言うとトンデモな教育が行われているのかというと、実際はそういうワケではありません。私が知っている過激な組合先生は3、4人くらいです(笑)。つまり、組織率は非常に高いけれども、思想的な組合率はかな〜り低いのです。ですから、たとえば日の丸や君が代なんかも、別に普通に扱われています。
ま、先ほど書いたような特殊な共同体システムの一部として、「山教組」という名前のもとに集結していますが、思想性は全くと言っていいほどない、ある意味腑抜けな団体なのです(失礼)。もっと言ってしまえば、なんも考えていないんです。つまりそんな思想的なことよりも、ちゃんと毎日子どもたちの為に純粋に仕事をしている先生がほとんどだということです。
ただ、実際に、いやいやながらも票集めに奔走したり、出世のために組合活動に形だけでも貢献したりしなくてはならないのは事実ですから、そういうところはさすがにちょっと変った方がいいと思いますよ。ま、私は蚊帳の外ですから、他人事のように言っているのであって、もし公立の教員でしたら、自分のポリシーに反してでも組合マンセーのふりして、出世街道に乗ろうとするでしょうけど(笑)。
さて、そんなこんなのドタバタ選挙を前にして、この本を読んでみたわけですが…。ま、非常に面白かった。ウソは書かれていませんから。たしかにこういう事実もあったと知ると、みんなビックリするでしょう。こりゃ日本の教育のガンは日教組に違いない!と思うでしょう。
しかし、今述べたように、日教組と言っても、それぞれの県、地域、そして個人によっていろいろなわけです。それを十把一絡げにしてしまうと、そちらの方が原理主義的に見えてしまいます。熱い正義感も結構ですが、少し冷静にならないと解決するものもしなくなります。右翼の街宣車がいくら出動しても、日教組は懲りません。懲りないどころかますます意固地になりますよ。
というわけで、やっぱり私の立場上、奥歯に物の挟まったような、気持ちの悪い記事になってしまいましたが、ご了承下さい。とにかく、私は今回の選挙は投票しません。できません。
それにしても、上に掲げた「日の丸を利用した民主党旗」は見事なアイデアによるナイスギャグですね!ww
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コメント
はじめまして。日教組には「政治(思想)活動」「教育者の保護(労働組合)」「教育手法の支援・協力」の三つの側面がありますから、過激な組合先生以外の先生が沢山いても普通っちゃあ普通ですよね。加入することによって、教育ノウハウの伝道とかもされていますし。
でも何かこういう風に三つに分けちゃうと、デュメジルによる「支配する人、守る人、生産する人」という神話の分類みたいだなぁ。
投稿: 鮎 | 2009.08.28 09:53
鮎さん、はじめまして!
的確なコメントありがとうございます。
デュメジル的というのは、なるほどですね。
いまだに構造主義的なものを引きずってますしね。
古き良き時代と言えば、そうとも言えます。
でも、山梨の場合はF4が存在するんですよ。
それを何と命名しようか考え中です(笑)。
彼は日本語&日本神話は勉強しなかったのかな?
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.08.28 11:35
前略 薀恥庵御亭主 様
うぅぅぅぅぅん。
「教育」は難しいですね。笑
愚僧が糞坊主(少年)の頃・・・
文章・・・違う・・・
「作文」が面倒くさくて・・・
「図解」で説明しておりました。笑
妙に余白が多くて・・・
「挿絵」 が多くて
・・・・・ が多くて
「えぇぇぇ」が多くて
「ひらがな」が多くて
()《》【】 が多くて
「ふりがな」が多くて
→↑ 矢印 が多くて
段落 が多くて
内容は少ない作文でした。笑
まぁぁぁぁ・・・
ほとんどの「先生」に怒られました。
そんな中 一人の先生が
「おい おい これおもしろいぞ」
「これ つづけてみろ」
そう褒【ほ】めて下さいました。笑
以来40年 続けております。笑
今でもその「先生」は大好きですね。
合唱おじさん 不備【ふび】
投稿: 合唱おじさん | 2009.08.29 17:06
合唱おじさん様、おはようございます。
作文は面倒くさいですよ。
私も今でも面倒くさくて仕方がありません。
仕事柄文章の指導をすることが多く、
また、こんなふうに毎日駄文を書き連ねていますので、
人様は、私が文章を書くのが得意だと勘違いしているようです(笑)。
実はとっても面倒です。
できれば文なんて書きたくありません。
決して楽しくありません。
音楽をやっている時は楽しいのですが、
文章を書いている時は苦痛でしかないのです。
図解や挿絵で伝われは、それに越したことないですよ。
ですから、その先生はとってもいい先生だと思います。
学校でほめられる作文にロクなものはありませんから(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.08.30 07:46