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2009.08.24

マンハッタン・ジャズ・クインテット&富士学苑高校ジャズバンド部 スペシャルジョイントライヴ

↓写真はリハーサル風景
4 叶う!…いや、夢にも思わぬことが実現した!
 昨日のDDTと同様の結論ですね。純粋さは「夢のまた夢」、「夢にも思わないこと」を現実にしてしまう。
 純粋さ、ひたむきさ、イノセンスは、どの分野でも最強だということです。
 私は、そんなイノセンスたちのおかげで、こうして素晴らしい幸福な時間を送らせていただきました。純粋な生徒たちに心から感謝します。ありがとう!そして手放しに誉めたいと思います。彼ら彼女らはホントにすごい。
 結成25周年のツアーで来日中のMJQ(マンハッタン・ジャズ・クインテット)が、富士北麓の旧勝山村(現富士河口湖町)のさくやホールにて、我が校のジャズバンド部とジョイント・ライヴを行ないました。
 世界の頂点のバンドと、小国の田舎の小さな高校生バンドの共演…おそらくMJQの四半世紀に及ぶ活動歴の中でも、いやジャズの歴史の中でも、このように両者が全く対等な形での共演を果たすことはなかったでしょう。それだけでもまさに歴史的な日でした、今日は。
 そして、その内容がまた素晴らしすぎた。まさに音楽の奇跡、いやこれは本来の音楽のあり方であって、必然なのかもしれない。私たちがある意味忘れてしまっていた音楽の力を見せつけられたような気さえします。
6 私は役得で、リハーサルから現場にいさせていただきました。もう、その時点で私は感無量です。正直手は震えるし、涙は出るし…笑。なんで、私がこんな緊張、感動してるんだ?
 生徒はと言うと、すごい人たちだと、あんまり私なんかが吹き込むもんだから、とりあえず写メとかパシャパシャ撮りまくってました。でも、あんまり緊張してないみたい。
 そう、告知にも書きましたけど、彼ら彼女ら、とにかく怖い物知らずというか、知らぬが仏というか、やっぱり無垢(無知?)なんですよ〜、全然動揺してない。逆に私の高揚ぶりを心配するほど(笑)。
 しかし、MJQの圧倒的なアンサンブルには、さすがにビックリしている様子でした。そりゃあ、そうだよなあ。すぐそこで世界随一の音楽が鳴ってるんだから!私にとっては、ステージ上は、それこそ「夢」の世界。そう、「変な夢見たな、さすが夢だけあって、ありえない映像だった」っていう感じですよ。なんで、昨日一緒に受験勉強してたヤツらが(そして、同僚の先生方が)、デイヴィッド・マシューズとしゃべったりしてるんだ!?
 MJQの皆さん、昨日はなんと北海道の室蘭でのフェスに参加したそうで、今日東京入り、デイヴィッドに至っては、今日は東京で一つJAZZ講座をこなしてきたらしい。なんというプロ根性。タフじゃないとプロは務まらない。
 本番では、まず我がジャズバンド部MISOが得意の曲を披露。最近得意としている、やや複雑な編曲を施したスタンダードを中心に、いつも通りの実力を披露。OGたちの強力な協力も得て、高度でありながら、実に活き活きとした演奏をしてくれました。MJQの皆さん、どのように聴いたかな。と思いきや、舞台袖からずっとチャチャ入れてたらしい(笑)。
 前半最後でまず最初の共演。ううむ、音楽でしっかり会話してるじゃないですか。あいつら英語全然できませんが、もう言葉なんて関係ありませんね。お互い実にうれしそうだし幸せそうです。まあ生徒たち堂々としたもんです。見事です。私だったら絶対ビビってますよ。
 生徒に言っておいたんですよ。「英語ホントできないよ〜、どうしようどうしよう」とか言ってるんで、とにかくニコニコ笑ってろって。音楽は世界共通語だとよく言いますが、笑顔はそれ以上のものですね。
 ジャズという音楽のジャンルが素晴らしいとも言えますね。様々なボーダーを超えるのがジャズです。国境も、世代も、技術論も、全て超えてましたね。そういう本質的な音楽の力を、本当に久々に思い出しました。素晴らしい!
41hikugbqpl_sl500_aa240_ 後半は、MJQの単独ライヴ。最新アルバムから、彼ら流に料理したスタンダードを披露。田舎の手作りコンサートでしたから、いろいろ不都合な点もあったと思いますが、それでもそんなことはなんのその、素晴らしいインタープレイを聴かせてくれました。考えてみれば、こんな間近で彼らの生演奏を聴くだけでもレアな体験ですよねえ。
 デイヴィッド・マシューズは、ご存知の通り基本左手だけで聴かせるピアニストです。予想通り、そうしたハンディがハンディどころではなく、見事な個性になっているのがよく分かりました。同様のことは、例えば名ギタリストジャンゴ・ラインハルトにも言えますよね。これもまたジャズというジャンルならではのことでしょう。クラシックではあり得ませんね。実に個性的なリズムと和声。無駄な音がない禅味という意味では、御本家MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)のジョン・ルイスの境地にも近いものを感じましたね。
 他のメンバーで印象に残ったのは、ベースのチャーネット・モフェットですね。彼の演奏は昔、山中湖のマウントフジ・ジャズ・フェスティバルでも聴いていました。その時もものすごく印象に残っていたんですよ。人間離れしたテクニックかつタイトなリズム感は、ものすごい存在感がありました。今回ももう全部が鳥肌もの。おそらく高校生にとっても、彼が一番衝撃的だったのでは。ドラムのヴィクターとともに、ホンモノの黒人のビートを体感させてくれたに違いありません。
 サックスのアンディはクールな雰囲気を持った方でしたが、演奏はなかなか熱い。アドリブの構成力もセンスの良さを感じさせるものがありました。トランペットのルーさんは、いやあ、いい味出しまくってましたね。低音から高音まで実に幅広い表現を聴かせてくれました。高校生たちにとっては、純粋にトランペットの可能性を知るいいきっかけになったでしょう。
 それより、高校生、ルーのこと「カワイイ、カワイイ」って言ってばかり(笑)。おいおい、世界的なミュージシャンをつかまえて「カワイイ!」はないっしょ(笑)。たしかにカワイイけど。ああいう老境の(失礼)たたずまいや音楽的な表現というのも、ジャズの良さですね。これまたクラシックではありえない。総合格闘技とプロレスとの違いみたいなものですな。
 最後に再び高校生との共演。もう、こちらの気持ちも最高潮になっていまして、ひたすら興奮しました。これほど興奮したステージはなかったなあ。静岡から来た私の両親も、年甲斐もなくノリノリでした。泣いてましたね。それほどの感動でした。
Uni_2946 終演後は、いつものミーハー突撃力発揮です。TシャツとCDにしっかりサインしてもらいました。皆さんお疲れだったでしょうが、本当に親切に対応していただきました。ありがとうございました。
 ついでに生徒たちにもサインをねだりに行きました(笑)。まあ、ホントそういう気持ちだったんですよ。日常では私が先生ヤツらは生徒という関係ですけど、こういうことがあるとすぐに立場逆転しますね。スポーツ系の生徒が活躍した時もそうですし、頭がいい生徒が難関校に受かった時もそうです。私なんかより、ずっとずっと偉い。
 それにしてもデイヴィッド・マシューズは日本語上手ですね。なんでもニューヨークのベルリッツで日本語習ってるとか。「助詞も女子も扱いが難しい」とか、日本語でオヤジギャグ言えるんだから、こりゃあホンモノですわ。そういう点でも感心感心。日本人として実に嬉しいですね。そんなところもある意味プロフェッショナルなファン・サービスです。
3 生徒たちにとっては、とにかく楽しいライヴだったようです。そこがすごいですね。感激感動というより、ものすごく楽しかったと。最高の音楽体験じゃないですか。うらやましいですね。私もそういう無垢な心で生きたいなあ…もう無理ですけど(笑)。
 彼ら昨日は山野ビッグバンドジャズコンテストでゲスト演奏してるんですよね。そっちの方がずっと緊張したとのこと。それもわかります。そういう場でのそういう立場での演奏ですからね。楽しいとは言えないでしょう。あるいはこんなことも言ってましたね。MJQとやるとこより、私が聴きに来ていることの方が緊張すると(笑)。ハハハ、なんとイノセントな。
 いや、みんな、いつまでも、そうやってイノセントで行こうよ。イノセントな大人になろうよ。イノセントな音楽を永遠に美しい。昨日の大人げない大人じゃないけど、ピーターパンでいいのです!「夢」のある人生を送ってほしい。私も遅ればせながら、みんなに負けないよう、どんどん若返りたいと思います!

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