« バカチョンの語源 | トップページ | ゲノムの旅 その2 (メキキの会13周年祝賀会) »

2009.08.08

ゲノムの旅 その1 (冨士浅間神社梅若薪能)

Dsd_0219x あ、二日間にわたるゲノムの旅が始まりました。自分の人生にとって、この二日間はきっと大きな意味を持つことでしょう。
 まず今日はお昼に、私の職場というか、担当している進学クラスのみんなとバーベキュー。生徒、教員、そして保護者の皆さんとワイワイやりながらおいしい肉をいただきました。
 この恒例行事も、ある意味遺伝子の伝達作業ですね。情報のやりとりだけでなく、我らのスピリット、あるいは魂のひきつぎ作業です。今年度の新入生も、こうした行事を通じて本校の生徒らしくなっていきます。いい伝統ですね。
 さあ、おいしい肉をいただいたのちは、幽玄なる能の世界です。私も縁あって能の世界に親しませていただくことになりました。ですから、今までも何度か観賞してきたこの薪能ですが、今回はずいぶんと違った見方をさせていただくことになりました。
 まずは番組を。

 能「頼政」
 狂言「樋の酒」
 能「杜若」

1 まず幸運だったのは、橋懸かり(橋掛り)のすぐ脇、つまり脇正面の、それも正式な能舞台で言えば三ノ松のあたりで鑑賞できたことです。本来の鑑賞にはやや不利な位置ではありますが、多少技術的な面も勉強中の私としては、舞台を横から観ることによって、正面を向く演者の重心の動きや、手など細部の位置を確認できました。
 あと、実は橋懸かりのすぐ横が、一番役者を間近に見ることができるんですよね。実際、今回は、揚幕から出てくる演者を本当に至近距離で見ることができました。
2 特に今回は狂言の「樋の酒」はもちろん、能の「頼政」や「杜若」も橋懸かりを有効に活かしたものでしたから、非常にぜいたくな時間を過ごさせていただきました。今後もしばらくは脇正面で勉強しましょう。
 もう一つちょっと面白かったのは、そのような間近な位置だったせいか、あるいはおかげか、たとえば鏡の間での話し声やら笑い声やらが聞こえてくる(笑)。非常にリアルな状況でした。ある意味それが集中を欠く結果になったかもしれませんね。というか、ちょっと全体に空気が弛緩していたように感じたのは私だけではないでしょう。手を抜くとか、そういうことではないと思いますが、奉納能という感じからはほど遠い雰囲気でした。
 先日書きました、「富士山と能」との関係、それも梅若流と浅間神社との不思議な関係から申しますと、もう少し緊張感というか、敬虔な雰囲気があっても良かったかなあ、などと私は思ってしまいました。ま、梅若の皆さんもそんなことご存知ないでしょうし、彼らにとってはあまり重要なことではないのかもしれませんが。
 しかし私にとっては、まさにゲノムに関わることです。文化的ゲノム。イズムではなくてゲノム。「コト」としての歴史ではなく、「モノ」としての一筋の道です。能に限らず様々な文化的事象において、「コト」にこだわりすぎるがために、「モノ」への敬意を忘れてしまっているような気がするのです。文化的事象だけではないですね、もちろん人間をはじめとする全ての生命の存在についてもそうです。
 ちょっと大げさな話になってしまいましたが、たとえば神社という存在は、そうしたゲノムのネットワークのデバイスであると思うんです。せっかくそういうところで、600年以上にわたって伝えられてきた芸能を披露するわけですからね。なにか特別な意識というのが必要だと思いますよ。
 なんて、偉そうなこと言ってスミマセン。ただ、角当行雄さんにせよ、梅若玄祥さんにせよ、野村萬斎さんにせよ、せっかく素晴らしい技を見せて下さったのですから、それが単なる技ではなく、祈りにも似た、そうですねえ、それこそが幽玄というものなのかもしれませんが、何かワザやカタを超えた「モノ」を感じさせてくださると、更に感動したのかもしれないと、まあシロウトのワタクシは勝手に思ったというわけです。
 それでも、前述したように得したなあということもたくさんありましたよ。「樋の酒」では、たっぷり萬斎さんの舞を拝見できましたし(やっぱりうまい!)、一噌隆之さんの笛も相変わらず魅力的でしたからね。
 私の妄想のレベルがある意味高過ぎるんですね(笑)。観阿弥の最期の舞、浅間神社での能はいったいどれほど素晴らしかったのか、勝手に想像してますから。おそらくその時観阿弥は観阿弥自身の力だけでなく、とんもない「サムシング・グレート」な「モノ」の力、ゲノムの伝える無意識の力と一体化していたのだと思います。それは言語や技術といった「コト」を軽く飛び超えたとんでもないものだったのでしょう。

不二草紙に戻る

|

« バカチョンの語源 | トップページ | ゲノムの旅 その2 (メキキの会13周年祝賀会) »

モノ・コト論」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

歴史・宗教」カテゴリの記事

コメント

最近、能に興味ありなんです。
神楽坂に一度見に行った事あります。
でも、学校で無理矢理行かされたので、全く覚えてないんですよ。
違う気持ちで見てみたいのです。
何年か前に、能の関係だとは思うのですが、お祖父様が人間国宝という、京都の能の方に会いました。

投稿: カオル | 2009.08.14 03:24

能はハマるね。
最近なんだよ、急に分かるようなったのは。
能はプロレスと一緒で(?)観る側の創造力&想像力が大切なんだよね。
そういうリアルさに目覚めると、たまらないね。
今度一緒に行こうよ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.08.14 15:21

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/45886574

この記事へのトラックバック一覧です: ゲノムの旅 その1 (冨士浅間神社梅若薪能):

« バカチョンの語源 | トップページ | ゲノムの旅 その2 (メキキの会13周年祝賀会) »