VIVA!富士学!(今ここに生きる)
ちょっと遅くなりましたが、土曜日、日曜日のことを報告いたします。めちゃくちゃ濃い二日間でした。
えぇと、まずは河口湖の図書館で絵本の読み聞かせイベントに参加。私は谷川俊太郎&和田誠の名作「これはのみのぴこ」をアドリブを織り交ぜながら読みました。うむ、さすが谷川俊太郎。いろいろな料理の方法がありますな。
絵本の読み聞かせって、音楽の演奏に似てるんですよね。楽譜があって、それをリアライズして、お客さんに聞かせる。お客さんとのリアルタイムな対話というのも重要ですし。私はここでもやはりあんまり練習していかない方法をとります。その方が活き活きするからです。練習しすぎ…というか、あまりに計画どおり練習どおりにやるということは、単なる過去の再現にしかならず、「今ここ」のエネルギーを奪うことになりがちだからです。なんて、ものは言いようですな(笑)。ま、「コト」より「モノ」という、いつものヤツです。「コト」は死んでいますが、「モノ」は生きている。
さて、その読み聞かせが終わったところで、急いで河口湖ステラシアターへ。ここでも「コト」より「モノ」を体験、実感。
そう、今年もまた、ウチの学校(富士学苑高校)のジャズバンド部が主催する「富士山の森ジャズフェスタ」が行われたのです。
今年もまた、ウチのジャズバンド部「ムーン・インレット・サウンズ・オーケストラ」はすごい演奏をやってのけましたよ。審査員のお二人が絶句してしまうんですから。
全体の印象は、まさに「コト」より「モノ」。一昨年、昨年とかいてきた通りです。
つまり、理論や技術や知識や練習の成果というのは、ある意味人間の為した「コト」であって(すなわち仕事であって)、それだけに終始してしまうと、やはり「今ここ」の「モノ」たる生命感が失われてしまうということです。
大学生はどうしてもそこに陥りがちなんです。いや、これは大人みんなに言えることですよ。特に音楽を仕事にしている人たちはそうです。慣れるということには良い面と悪い面がありますよね。慣れて楽になっていくと、たいがい悪い方向に行くんです。あるいは自分の中で納得してしまうとダメなこともあるということです。
これは実は日曜日のプロレスの話にもつながっていくんですが、とにかく、「カタ」にはまってしまうと我々はそこに感動できなくなってしまう。安心して聴いていられる、観ていられるけれども、何かがモノ足りない。
その点、高校生というのは、もう無条件に有利です。若気の至りも悪いことばかりではないんですね。彼らはたしかに一生懸命練習しています。ソロもアドリブではなく、しっかり楽譜どおりの練習をしてくるわけです。しかし、それがなぜかカタにはまらない。単なる仕事になっていない。
それは、ある意味皮肉なことです。未熟さや無知さや純朴さのおかげで、そこに「今ここ」が入り込む余地があるわけですからね。成熟し練熟した大人の「芸」にはない他力性がそにあるのです。まあ、それこそが若さの魅力なんでしょうし、青春といったものの本質なんだと思います。
そういう永遠の未熟さや初々しさを失わない大人こそが、ホンモノの芸術家になっていくんじゃないでしょうかね。
そうそう、その意味で嬉しかったのは、今年春卒業したOGたちの演奏です。彼女たちある意味一世を風靡して、ジャズバンド部の一つのピークを作った張本人たちです。今は音大に進んで、それこそ「カタ」や「コト」をたくさん学んでいると思うんですよね。でも、全然その魅力を失っていなかった。ますますうまくなっていたけど、ますます生き生きしてたんじゃないですか。
自分のところの卒業生だからでしょうか、なんか他の大学の大学生とは全然違って見えました。なんか子供っぽいっていうか(笑)。そこが彼女たちのいいところです。まさに理屈や学問なんて軽く超えて、体の奥から音楽が湧き出てくる感じでしたよ。ぜひこのまま成長して、ホンモノのプロになってもらいたいですね。
いやあ、毎度手前みそになってしまいますが、MISOはすごいですよ。今度MJQと共演するわけですけど、きっとすごいことになりますよ。皆さん、ぜひその現場に立ち会って下さい。チケットありますから、ご一報を。
さてさて、ジャズバンド部の演奏を聴き終わり、審査委員の先生の絶句に満足して、私は会場をあとにしました。いざ東京へ。
新宿では、たくさんの教え子たちが待っています。山梨組の4人を乗せて車は中央道を東へ。途中、キムタクの白のハマーにあおられながら(マジです)、そして思わぬ渋滞に遭遇しながら、歌舞伎町に着いたのは予定を50分ほど遅れた8時ちょっと前。主賓(?)が遅刻してごめんなさい。
そう、今日はですね、新宿で「山口先生と鈴木さんを囲む会」というのがありまして、私はそれにまねかれたのであります。いや、実は私自身が企画したんです(笑)。自分で自分を囲む会を企画するって…どんだけずうずうしいんだ(笑)。
鈴木さんというのは教育ジャーナリストの鈴木隆祐さんです。私が書いたこちらの記事がご縁で彼と知り合い、彼にもぜひウチの学校を知って頂きたいと思いまして、このような会を催したのです。
富士学苑高校は田舎の小さな学校ですが、とても個性的で、アットホームで、人間味あふれる学校です。それを私の口から鈴木さんに説明するのではなく、実際の卒業生たちにぶっちゃけトークしてもらおうと思いまして、mixiのコミュを中心に宣伝しましたら、まあなんと30名近い卒業生がわざわざ集まってくれました。10代から30代まで、様々な世代の教え子たちが一同に会して、盛り上がる盛り上がる。結局宴は朝5時まで続いたのでありました。結局始発で朝帰り。
なんか教師冥利に尽きますよね。実に感慨深いものがありました。つくづくいい学校だと思いましたし、いい仕事させてもらってるなと思いました。卒業してそこで終わりではない。仕事が「コト」の集積で終わるんじゃなくて、「今ここ」の「モノ」につながっていく。教育が生きている。
みんなありがとう!VIVA!富士学!みんなファミリーだなあ…感激。
日曜日につづく。
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