『SONGS〜椎名林檎』 (NHK)
おじさまたちがフル活動!男を生かす、活かす、逝かす女は最高という結末。
先週の分の録画と今日の放送と、続けざまに観ました。この前、「三文ゴシップ」の記事で書いたとおりのことが、NHKでドラマ化されました…っていう感じでしたね。斎藤ネコさんも市川秀男さんも松尾スズキさんも、みんないい表情で逝ってました(笑)。素晴らしい。
椎名林檎という魅力的な女。この女の魅力は、まさに堂々と女であることにあるのであって、それ以外にはありません。
その堂々と女であるということは、ある種のウソ臭さを伴います。しかし、松尾スズキとの対談にもあったように、そのフィクションが、あるリアル(本質)に基づいているから美しいのです。そう、ちょうど松尾スズキが慈しむ雌猫のように。
ううむ、今回はNHKのスタッフというおじさんたちまで見事に活かしきった椎名林檎でありました。もともとNHK好みの彼女であり、ハイクオリティーなSONGSという番組ではありますが、ここまでしっくり活かされると、それは観て聴いている私たちおじさんまでが、やっぱりその気になってしまいますね。おかげで私、目がさえちゃいましたよ。
彼女の語ることって、結局ニーチェの言う「女が最強!男の理屈なんか屁でもない!」なんですよね。それを体現してしまって、男は彼女の前ににこやかにひざまずくし、女は溜飲を下げるわけです。
今読んでいる松岡正剛の本でも、彼女はほとんど神扱いされてます。セイゴオさんもまた逝かされちゃってるわけです。あんなに男らしく文化を語れる世界人をも軽く呑み込んでしまう女神っていったい。いや、男らしければ男らしいほど、あのフィクショナルな母神の子宮の中へ、再び放り込まれてしまうのでしょう。いやはや。
おそらく私はそれほど男らしくないので、彼らほど強烈に彼女に引き込まれません。それがちょっと悔しいのですが。
それでも、よく分かります。インタビューや対談のように、いわゆる日常語で語る彼女が、ものすごく普通で、ものすごくちゃんとした社会性があって、ものすごく常識もあるってこと。それがステージに立ち、マイクの前に立つと、見事にシャーマンになる。そのギャップ、ツンデレ感、いやデレツン感、それがすなわち「女性性」であり、また、「女神性」であることが。
ベースに絶対的な安心あっての、男心の冒険が始まるわけです。いわば母性の上でのすさびという安定的男性状態なわけですね。男は母の胸の中で思いっきり男になれる。特に現実的な母性が遠い記憶となりつつある「おじさま」たちにとっては、それはほとんど本能的な希求の稀なる実現であります。
なんて、こんなふうに、男に語らせたくなる女なんですよね。ウチの黒猫みたいなもんです。参ったな。
いちおう、二夜にわたる神話的ライヴの曲目を記しておきましょう。
第一夜
ありあまる富
丸の内サディスティック
罪と罰
二人ぼっち時間
第二夜
密偵物語
流行
歌舞伎町の女王
旬
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