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2009.07.12

『レスラー』 ダーレン・アロノフスキー監督・ミッキー・ローク主演作品

The Wrestler ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞
2 さか、本物のレスラーさんと一緒に映画「レスラー」を観ることになるとは…人生何が起こるかわかりません。
 今日は朝5時まで歌舞伎町で宴会。始発で高円寺の教え子の家まで行って仮眠…いや、仮眠のつもりが結構がっつり寝てしまいまして、当初の計画に狂いが。
 本来は12時からのプロレスリング・ノア後楽園ホール大会に行くつもりだったんですよ。でも、もう起きた時間には当日券も完売ということで、泣く泣くあきらめました。
 しかし、そのおかげと言ってはなんですが、ある意味プロレス観戦以上のプロレス体験をさせていただきました。
 高円寺と言えば、最近本当にいろいろと勉強させていただいているスネークピット・ジャパンのある所。それが本当に不思議なもので、なんとそのスネークピットの宮戸優光さんからケータイに電話が!今たまたま高円寺ですよ、ということから、会いましょう!ということになりました。
 まずはお昼を食べながら、三沢さんのことから始まり、今のプロレス界の様々な問題点について語りました。選手もファンも評論家も、みんな大きな勘違いをして八方塞がりの状態になってしまっているということ。誰かが本物を継承していかなければならないということ。社会のあらゆる場面で「本気」が失われていること。いわゆる高橋本のこと。我々の想像力の欠如のこと…本当にいろいろ勉強になりました。
 で、私、後楽園ホールに行けなくなった代わりに、昨日から新宿で封切りになったミッキー・ローク主演の話題の映画「レスラー」を観に行こうと思ってるんです、と宮戸さんにお話ししましたら、じゃあ一緒行きましょう!と言っていただきまして、二人で新宿のタイムズスクエアへ。すごい展開だ。
 少し時間がありましたので、コーヒーなど飲みながら、再び熱い熱いプロレスの話に。やっぱりリングに上がってみなきゃ分からない。レスラーがリング上でどれほどの緊張感を持っているのか、そして、歓声を浴び、アドレナリンが分泌され一種の恍惚状態になっているか。自分であって自分でない者がそこにいる感覚。
 そういうお話を聞いてからのこの映画でしたから、それはもう本当に格別な映画鑑賞となりました。
 結論から申しましょう。この映画は素晴らしい。
 宮戸さんもおっしゃっていましたが、これがプロレスの全てではありませんけれども、しかし、肉体を張った(命を懸けた)闘いの本質、そしてレスラーという人間の華々しくも哀しい性(サガ)が見事に表現されていました。
 ミッキー・ロークの肉体や演技、そしてたたずまいの素晴らしさは言うに及びません。
 彼はこの映画を撮るまで、プロレスを馬鹿にしていたと言います。ボクシングでも実績を残した彼にとっては、プロレスは、ちょうど現代の我々が勘違いしているように、単なる茶番劇にすぎなかったようです。
 しかし、実際にトレーニングを初めてみて、そして実際のプロレスラーたちと組み合ううちに、完全にその印象はひっくり返ってしまったと言います。まさに、「リングに上がってみなければ分からない」。
 その後は、完全にリスペクトしか抱かなかったと言います。それを体感したからこそ、あの神々しい、光と影の交錯する演技ができたのでしょう。
 この映画を観た名レスラーのリック・フレアーは泣きながらミッキー・ロークに感謝の言葉を述べたと言います。私も寸前に名レスラーの生の言葉を聞いていましたから、素直にミッキー・ロークにありがとうと言いたくなりました。
Img3acd98e7zik5zj プロレスは本当に人生そのものですし、男そのものです。そこには闘争本能がギラギラと輝き、そして、虚栄心も燃えたぎり、めいっぱいの想像力が爆発寸前まで膨らんでいます。そこにはもう、一般的な社会性など存在しません。ある種の神聖な状態、壮大な神話世界が広がっているだけです。
 監督の手腕も光りましたね。決して、その神話を大げさでなく、どちらかというと地味に静かに表現しています。細かく揺れ、大きくパンするハンディ・カメラによる撮影が、一瞬ドキュメンタリーかと思わせます。いや、これは一つのドキュメンタリー映画ですね。非常にリアルです。
 お隣のにお座りの本物のレスラーも、なかなか良かったとおっしゃってました。なんだか分からない、理屈では説明できないモノがちゃんと画面に現れていたというのです。私もそう感じました。こういう「リアル」の前には、たとえば「八百長論議」なんていうものが、我々の脳内の単純な定義願望にすぎないことが露呈します。
 そうです。我々は想像力を失っていたんです。リングの上の男が、どういう精神状態で戦っているか。その消えかかった我々の想像力を思い出させる素晴らしいきっかけを、この映画はもたらしてくれます。
 もちろん、賛否両論の部分もあるでしょう。プロレス界からも非難の声が上がっているとも聞きます。しかし、先ほど書いたように、ここには本質的な「何か」、まさに我々が想像力をもってしてしか対峙できないモノが存在していました。
 エンディングでは本当に胸が塞がるような気持ちになりました。なぜなら、主人公のランディと三沢さんが大きく重なるからです。あまりに辛いが、しかしあまりに高貴な魂がそこにありました。もう、誰のためでもないのかもしれない。家族愛とか男女の愛とか、そんなレベルではありません。劇中引用されていた「パッション」に通ずる、崇高すぎるエネルギーが映画館全体に横溢していました。
 最後に、助演女優で魅惑的なストリッパー役を演じたマリサ・トメイの素晴らしい肉体と表情にもやられました。ミッキー・ローク56歳、マリサ・トメイ44歳。すさまじいプロ根性です。
 そして、銀幕の中でも、現実のリングでも全く同じ存在感を示したネクロ・ブッチャー!彼はやっぱりすごい。現代のモノノケ。ネクロをよくご存知の宮戸さんも思わず声を挙げてました(笑)。
 もう一つ、ブルース・スプリングスティーンやガンズの曲にも泣けました。我々はロックの想像力も取り戻さねば。

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コメント

前略 薀恥庵御亭主 様
「プロレス」はまさに「人間力」・・・
ニンゲンリョクですね。
「技量」や「力量」よりも
「人間力」です。
「アンドレ・ザ・ジャイアント」
「ザ・ファンクス」
「ザ・デストロイヤー」
「アブドーラ・ザ・ブッチャー」
「タイガー・ジェット・シン」
「上田馬之助」
とにかく・・・
人間離れした「人間力」。
当時 愚僧がプロレスに
興奮したのは・・・
「ニンゲンリョク」・・・
人間力に魅かれたのだと
感じています。
よぉぉぉぉぉぉぉし。
こうなったら・・・ガンバって
愚僧も「人間力」アップを
目指します。笑
合唱おじさん   走々× 草々


 

投稿: 合唱おじさん | 2009.07.14 23:11

合唱おじさん様、おはようございます。
人間離れした人間力…いい表現ですね。
本当にそういう力をつけたいところです。
世の中のシステムにからめとられない存在は重要です。
プロレス的世界がこの世から消えないよう、
私も努力していきたいと思います。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.07.15 07:54

前略 薀恥庵御亭主  様
御返事有難うございます。
御亭主様の「人間力」も
人間離れ致しておられます。
いやぁぁぁぁ・・・
本当に凄いことです。
素晴らしいことです。
えぇぇぇぇ・・
愚僧は・・・悪役プロレスラー
「人間 上田馬之助様」を
こころより尊敬しております。
形式ばかりの・・・
他のどんな坊さんよりも。
合唱おじさん     拝

投稿: 合唱おじさん | 2009.07.15 09:03

合唱おじさん様、こんにちは。
上田馬之助さん、本当に素晴らしい方ですよね。
悪役を演じておられましたが、
お人柄はまさに仏さまです。
ラッシャー木村さんと双璧でしょうか。
レスリングの技術も実はものすごく高い方だったんですよね。
能ある馬は爪を隠す、ですね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.07.16 11:04

前略 薀恥庵御亭主 様
悪役・嫌われ役を演ずる御方様に
悪人はおられません。
愚僧のような善人面が・・・
一番 腹グロい× 腹黒いです。笑
あのぉぉぉ・・
今日は「阿修羅展」に参拝いたし
ましたが・・・恐ろしいほどの
人の数でした。
仏像ブームなのでしょうか?
「阿修羅さま」も逃げ出したくなる
ほどの雰囲気でした。笑
これぞ真の「黒山のひとだかり」。
うぅぅぅぅぅん。
しかし どの「みほとけ様」の前でも
手を合わせる御方様は皆無でした。
まぁぁぁ・・・愚僧の
田舎の道端の「御地蔵さま」も・・・
実に素晴らしい「御面相」で
あらせられます。
なんというか・・・こう・・
自然と手を合わせています。
まぁぁぁぁ・・・
博物館の「展示品」の御立場での
「みほとけさま」は・・・
やはり何か・・・
不自然なのでありましょう。
自然が一番 有難いものですね。
ホント勉強になった一日でした。
合掌おじさん      拝 


投稿: 合唱おじさん | 2009.07.16 16:05

合唱おじさん様、おはようございます。
阿修羅さんも悪役を演じておられますね。
その苦悩がお顔ににじみ出ております。
阿修羅と言えば、プロレスラーの阿修羅原さんも、
故郷長崎でお父様の介護をなさっておいでですね。
不器用ながら誠実な方です。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.07.17 08:23

前略 薀恥庵御亭主 様
愚僧も両親を介護させてもらってます。
まぁぁぁぁ・・・
なかなか大変な「こと」もあります。
うぅぅぅぅぅん。
しかし・・・
腹黒い愚僧がいうのも「アレ」
なんですけど・・・・
時々・・・時々ですけど
「なんとなく介護もいいもんだ。」
って・・・思うんです。
親父の頭を剃髪してあげているとき
そんな風に感じます。
これから暑さも厳しくなります。
御亭主様・・・どうぞ
御身体 御自愛くださいませ。
合唱おじさん        拝

投稿: 合唱おじさん | 2009.07.17 14:36

合唱おじさん様、おはようございます。
なんかじ〜んとするお話ですね。
人は世話して世話されてようやく一人前になるのかもしれません。
世話ができるのも、世話していただけるのも、とっても幸せなことですしね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.07.18 07:26

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