『東京、音楽、ロックンロール』 志村正彦 (ロッキングオン)
お誕生日おめでとう!29歳ですね、志村くん。
今日は大阪でライヴかな。みんなに祝ってもらえたのでしょうね。
そうそう、昨日紹介した「罔象女」の碑のすぐ近くに、志村くんのご実家があるんですよ。志村くん、「罔象女」の存在知ってるかなあ。
29かぁ…私は何してたかなあ。ああ、あのクラスの担任してたころだな。そうそう、明日そいつらに会うんだよな。新宿でイベントを開催するんですよ。あいつらはもう29をとうに越えて三十路か…。その当時の自分よりも教え子が年上であるという、この不思議な感覚。教え子たちにとっては、もっと不思議らしい。あの時のセンセイは、今の自分より年下だっていう…。
ま、自分のことはいいや。また後で。
この本は、フジファブリックの志村くんが、公式ホームページで連載していたネット上の日記を書籍化したものです。5年間に及ぶ彼らの足跡を振り返るという意味でも、また、志村くんのキャラクターを知る意味でも、なかなか面白い内容になっています。妙にリアルなんだよな、まるで自分がミュージシャンになったような気さえする。彼のさりげない日常が、我らにとっては非日常なので。
そんな中、なんだかとっても共感する部分がありました。今の自分というより、やっぱり二十台後半の自分だな。あの頃の自分と重なる部分が多かった。
私もまだ結婚していなかったし、仕事上まだまだな部分と、多少慣れてきた部分とがあって、それから、もうすぐ30なんだから大人にならなくちゃっていう部分と、いまだ学生気分が抜けないようなところがあったりしてね。青春、すなわち「TEENAGER」を引きずっているっていうのかなあ、案外不安定で妄想も盛んなお年頃でしたね、今思えば。
地元民としては、やっぱり志村くんの富士吉田LOVEぶりが嬉しいですね。やっぱり何かのタイミングで吉田うどんを食べに来ちゃうところが、なんともカワイイし、ウレシイ所です。私は人生の途中から吉田のお世話になっている外様ですから、ちょっとジェラシーも感じちゃうんですよ。ああいう濃い土壌で生まれ育ちたかったってね。東京のコンクリートの団地で育っちゃったから。
そういう流れの一つの終着点(執着点)として、あの市民会館ライヴがあったと思うと、また感慨もひとしおですね。
で、そんな彼の日記自体も面白かったのですが、そこに挿入される「今」のインタビューがまた冷静に自分を観察していて興味深かった。ワタクシ的に思わず苦笑&感動してしまったのは、次の部分です。引用させていただきます。ここに文学と音楽のほぼ全てがあると思いますので。
2004年は忙しかったんで、あんり実家帰ってなかったと思うんです。山梨大好きだったんで、アマチュアの頃はよく帰ってたんですけど、メジャーデビューしてから、実家に甘えてたら終わりだなって思って帰んないようにしてたんで、久しぶりに正月に帰ったんじゃないですか。メジャーデビューして地元に帰ったら、モテたりもすんのかなと思ったんですけど、相変わらずモテず、昔からの志村正彦に戻り、全然駄目でした。友達からも、家族からも、特にちやほやされなかったですね。ほんとに誰からもちやほやされることもなく、今に至るんですけど(笑)。
僕ほんとに、そこらへんの学生さんより地味な生活をしていて、多分彼女とかもいなかったんじゃないですか。インディーズの頃いたんですよ。いまさら話すことじゃないんですけど、その子と花火大会とか行った記憶はあるんですけど、今ではその子ももう結婚しちゃって、ときの流れを感じます。この前、「子供はできてないんだけど、ぼちぼちやってます」みたいなメールが来て、僕が「ああそうですか。じゃあまあ、今度機会があったらご飯でも行きましょうか」って、後ろめたくメール送ったら返事が返ってこなくて。「なんだよー」みたいな。そのへんが女の子の謎なところで。「思い出話に花を咲かせてみましょうよ。今の人と仲良くしてねー」みたいな感じで送ったのに。女の子って怖い生き物だなって思いました。
ううむ、これって女の子の怖さというより、男の子のお馬鹿さっていう感じじゃないですか(苦笑)。いや、その両方が相まって文学と音楽が生まれるのでしょう。この前椎名林檎のところで書いたことと一緒だと思いますよ。
そして、そういうのをこうして正直に、ある意味恥ずかしげもなく万人に公開しちゃうところが、一般人と芸術家との違いだと思いますね。
うん、実は私も20代の頃、日記を書いていたんです。それは人に見せるものではなかったので、たとえばこのブログのような内容ではありません。今自分で読むのも恥ずかしいというか恐ろしいくらいドロドロの日記ですよ。地下室のどっかに埋もれてると思います。ありゃ、焼いた方がいいな。
でも、こうして志村くんの日記を読んだり、彼の音楽を聴いたりしますとね、そういう自己のドロドロした部分とか、恥ずかしい部分とか、恐ろしい部分を、ある意味堂々と開陳しちゃう勇気というか、いや、それをしなくちゃいられない衝動みたいなものが、彼の中にあるのが分かるんです。そこが我々と違うなと。彼がこの本の中で言ってる「音楽欲」っていうヤツでしょうかね。
私は30過ぎて、結婚して、そういう「音楽欲」が減退するかと思いきや、案外ムクムクと肥大化してきたような気もします。もちろん才能がないので、それはくすぶったままですけど。志村くんが、これからまたどういう風に成長していくか、とっても楽しみです。これだけは言えます。20代より40代の方がずっと人生面白いですよ!マジで。自分の未来に期待していいですよ。
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コメント
初めまして(^_^)
昨日、大阪のフジのライブに行ってきたので、
誰かブログに昨日のこと、書いてるかなぁ〜と思って、
なんとなく検索してみたら、こちらのブログがヒットして、
偶然お邪魔させていただきました。
志村君の地元で先生をなさってるんですねー。
この本、読みましたよー。
去年の富士吉田でのライブにも行かれたのですね。。
私も行ってみたかったけど、子供もいるし、
置いて行く訳にも行かず、連れてく訳にもいかずで、あきらめました(^_^;)
シングルSUGER!!の初回限定版に、富士吉田市でのライブの映像が入ってましたが、
志村君の涙は世界で一番美しいと思っちゃいました。
長く続けて欲しいバンドです(^_^)
投稿: ikuko | 2009.07.11 23:52
ikukoさん、コメントありがとうございました!
フジファブリック、いいでよねえ。
本当にあの富士吉田凱旋ライヴでの志村くんの涙には感動しました。
たまたま地元に縁があるわけですが、そういうことを抜きにしても、彼らの音楽はとても魅力的です。
世界に出しても恥ずかしくない日本の抒情ロックですね。
これからも応援していきましょう!
そして、一度富士吉田へお越し下さいませ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.07.12 21:27