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2009.06.03

『○活』

1 近、というか今日のマイブーム(ってまだ言うかな?)、Skypeで卒業生とおしゃべりすること。まあ便利な世の中だよなあ。職員室で東京の大学生とテレビ電話。男子禁制の女子大生の部屋が見れるぞ(笑)。
 岐阜の大学生もまじえておしゃべり。高校生や先生方も参加して、去年の雰囲気がよみがえる。
 さらにはノートパソコンを持ち出して、なつかしい高校の中を案内したりしてね。高校生たちも画面に映る先輩の姿を見て、「きゃー、おひしぶりです!」。ついでに勉強に関する質問したりして。不思議な感じです。
 というわけで、今年卒業させたギャルたちも、すっかり女子大生らしくなってます。そして、様々な新しい出会いに、実に活き活きとしているように見えます。あいつらに5月病なるものはなかったようで…さすがだ。
 今、「活き活き」と書きましたが、「活」という字、もとは「さんずい」に「氏」「口」と書きまして、「刀でふたを開ける」「水が流れ出す」という意味です。力を加えて何かを動かすというイメージの字です。エネルギッシュな感じがしますね。積極的に動いている風です。
 で、あいつらが今積極的に動いているのは「恋活」です。「れんかつ」。でも、あんまりうまく行ってないないやつもいるようで、ある有名女子大では、6月になっても彼氏ができないと、「残飯」と言われるようです(笑)。6月でもう「残飯」かよ!?で、夏頃になると「残飯」だけが集まって「残飯パーティー」が開かれるとか。ハハハ。でも、あの女子大だったら「残飯」でもクオリティー高そうだな…なんて、オヤジ発言連発ですみません。
 「恋活」という言葉、「婚活」から派生した新語ですね。そして、「婚活」は「就活」から出た言葉です。私の頃は、この三種の「活」はありませんでした。いや、実質活動としては当然あったのですが、言葉としてはありませんでした。「就活」とも言わなかったよなあ。普通に就職活動とは言いましたが。ま、なんでも四拍の略語にしてしまうのが、日本人の、特に最近の若者のファッションです。それについてはこちらに書きました。
 ただ、「就活」はいいとして、「婚活」っていうのはどうなんでしょうね。「結婚活動」ということですよね。そして、「恋愛活動」も。
 つまりは、その裏に「就職難」「結婚難」「恋愛難」というのが前提としてあるわけでして、いずれもただ待っているだけではダメで、積極的に活動しなければならないということなんでしょう。
 「就職難」はわかります。個人の問題ではないんで。社会のシステムと、そのシステムの運用状況の話ですから。しかし、「結婚難」や「恋愛難」はどうなんでしょう。やっぱり社会の問題なのでしょうか。それとも、個人の問題としての「難」なのでしょうか。
 社会の経済システムが不調でも、それは時が解決してくれるというのが、歴史の証明しているところですが、個人のシステムの方はどうでしょう。「結婚難」や「恋愛難」は時が経てば解決するんでしょうか。「結婚状況」や「恋愛状況」は好転するんでしょうか。
 いや、やっぱり結婚も恋愛も社会システムなんでしょうか。いやいや、結婚はもともとそういう要素も濃かったとは思いますが、今や恋愛も個人を離れて社会の方に取り込まれちゃったんでしょうか。
 経済の不調は多分に「集団気分」による部分が大きい。恋愛や結婚にもそういう影がさしているようにも思えます。
 いずれにしても、そういう「○難」な状況が、「○活」を生むわけで、いわば、「○難」というフタを「○活」という刀で吹っ飛ばさなきゃいけないわけですね。そういう意味では、現代の若者たちは、とっても忙しい。刀をあっちこっちで振り回さなきゃならない。だから、なんとなく殺伐とした空気になってしまう。
 昔の自分を思い出してみますと、「恋愛」に関しては、なかなか活動に発展できず、ただただ妄想ばかりしていたような気がします。そして、それこそが「恋愛」であって、あんまり「恋愛活動」にいそしむと、それはそれでなんとなく許されないというか、味気ないというか、そんな雰囲気もありましたね。
 あっそうか、「恋愛」も「結婚」も、市場経済化、自由経済化しちゃったってことでしょうか。昔のような談合体質がなくなり、「自由恋愛」「自由結婚」になっちゃったんで、みんな「活動」しなきゃならなくなったと。あるいは、それらが経済自体に取り込まれたとも言えますね。「恋活」も「婚活」も商売になりますから。リクルートの新しい事業分野でしょう。
 あとメディアの発達というのもありますね。おかげで知らなくてもいいことを知るようになりましたし、活動範囲が一気に世界に広がってしまいました。妄想で終われなくなっちゃった。そりゃ、忙しくなりますね。出会わなくていい人とも出会っちゃうわけですし、従来ならあきらめていたことも、手段・方法があるから、ついつい「活動」につなげてしまうし。やっぱり市場のグローバル化ですね。
 そうすると、「恋愛」も「結婚」も結局単純な弱肉強食の世界になる、あるいは、法(倫理)に触れないギリギリのところでずるいこと悪いことをしたヤツが勝つようになっちゃいますね。なんとなく哀しい世界です。
 そういう世の中だからこそ、経済全体においても、就職においても、結婚においても、恋愛においても、正しいことをただ粛々とやっている人が勝つと信じたいですね。
「○活」しないといけない、という雰囲気は、やっぱり気分によって醸成されているだけだと思います。そういう空気に翻弄されている教え子たちを見ますと、ちょっと可哀想だと思う今日この頃です。
 ま、たとえば「残飯」とか言って自虐的にギャグ化できる余裕があれば大丈夫か(笑)。「残飯」も発酵して立派な肥やしになりますよ、きっと。ん?腐敗しちゃったらどうするのって?さあ…どうしようか(笑)。

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コメント

ざんぱんな某女子大生です笑

ざんぱんとかけまして、私とときます!
その心は

水面下ではあたふたー★

ざんぱんとか
自分でもうけるなーって思いますけど
リアルにやばいですよ!!

腐る前に
拾ってくれる人探さなきゃ ですね;

投稿: はい | 2009.06.04 22:41

おっと、残飯さま御本人からコメントが…笑
そうそう、残飯さまのお描きになった夏祭りの絵が、
なぜか昨日北麓公園の駐車場にどかんとありましたよ。
写真撮ってきたんで、あとで見せます。
というわけで、こうして残飯?はその役目を終えても生き続けているのでした。
残飯よ永遠に!笑

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.06.05 08:07

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