『ウェブはバカと暇人のもの』 中川淳一郎 (光文社新書)
この本はなかなか鋭い。正しいことを言っています。「ウェブはバカと暇人のもの」。まあ、そのとおりです。
私はこうしてバカみたいにブログを更新しつづける暇人です。先日、5周年を祝い、100万アクセスを祝ったばかりです。5年間も、このお馬鹿な世界にどっぷり浸かり、いい気になって駄文を恥ずかしげもなく発信してきました。
中川さんからしますと、私なんてまさにバカで暇で思い上がったシロウトということになるでしょう。実際、そう言われると否定できないし、たしかにそれ以上のものではないですね、自分は。
しかし、一方で、私はこの「ネット社会」「ウェブ時代」に、どこか虚しさを感じてきたこともたしかです。それは、この5年間における、ネット・ウェブ関連の書籍の感想記事を読むとよくわかります。
ちょっと時系列で並べてみましょうか。自分で言うのもなんですが、なかなか面白いですよ。ペシミスティック時々オプティミスティックっていう感じで。
グーグル・アマゾン化する社会
フューチャリスト宣言
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?
ウェブ時代をゆく
ウェブ時代の5つの定理
最終的には、どちらかというと、中川さん的といいますか、ひろゆき的といいますか、かなり懐疑的になってますね。やはり、どっぷりその世界に浸かって(漬かって)いて実感する何かがあるのでしょう。
しかし、今、私はこうして懲りもせずに書き続けています。ほとんど修行のように。いや、ほとんど病気のように。中川さん的に言えば、「暇つぶしの義務化」が進行しているのでしょうか。
中川さんも私も何度も言っていますが、ネット(ウェブ)社会は、まさに「社会」であって、全く自由、平等、正義ではありません。梅田さんや茂木さんのような頭のいい人、あるいは社会性のある人、処世術に長けた人にとっては、理想的な世界かもしれませんが、我々「集合愚の構成員」にとっては、かなり不自由で不平等で邪悪な世界です。
つまり、ネット(ウェブ)社会では、その匿名性と即時性、刹那性ゆえに、人は善悪の極端に位置します。すなわち、そこは極端な性善説と性悪説の世界になり、その中間的存在や、その複合的存在が居心地の悪い思いをする空間になります。
私は、たとえばこのブログを書くあたって、そういう空気に、いやというほどに気を遣いつつ記事を書いているのです。それが意識されていようがいまいが、とにかく、見えない「集合知」と「集合愚」の両方に向けて、そしてその両方と折り合いをつけるべく、メッセージを発しているのです。これは、はっきり言ってリアル世界よりもきつい社会性を要求されている状況とも言えます。
私のこのブログ、昨日も1日で1000以上のPVがありました。ありがたいことです。しかし、面白いもので、コメント欄が炎上などしたことありませんし、だいいちコメントが非常に少ないんですね。これほどPVがありながら、これほどコメントがつかないブログも珍しいのではないでしょうか。
それは、単にコメントするまでもない内容であるということで、別に不思議がるべきことではありません。しかしまた、一方では、メールでご連絡いただき、実際にお会いするまでになる、そういう読者の方が多いのも事実です。つまり、私にとっては、このブログは、リアル世界での出会いの窓のような存在なのです。ある意味、そう割り切っている、ネット(ウェブ)というヴァーチャルにどっぷり浸かっていないということなのかもしれません。
そのように、ネット(ウェブ)を、完全に道具としてとらえている私のようなものにとっては、案外この世界も悪いものではないかもしれない。中川さんが言うように、たしかに「バカと暇人」が跋扈している世界だと、また自分もその一員であると、そうきちんと把握していれば、ここは単なる「自然界」「自然状態」であって、そこでうまいこと生きていくという方法もありかなと思うのです。
ちょうど、ウチの近所の樹海で生活するようなものです。5年も住んでいれば、毒キノコも見分けられるようになりますし、どこに行けば危険な熊や野犬がいるかも分かる。また、ちょっと嗅覺が働けば、どこに死体がぶら下がっているかくらい分かるようになる。
逆に、食べ物を得ることにも習熟してくるでしょうし、美しい風景、楽しい洞窟、安全な寝床の場所もどんどんマッピングされていくでしょう。自分にとって有用なコト、必要なモノを手に入れて、それで満足することも可能なのです。
情報たる「コト」の集合は、結局自然たる「モノ」に還るのだと、私は考えています。ですから、こうしたネット(ウェブ)社会の発達は、実は革命でもなんでもなく、自然回帰の現象だと思うのです。
そういう意味においても、この本で強調されていたとおり、テレビの影響力は衰えないと思います。特に経済分野、商業分野においては、「コト」が重視されますからね。樹海では商売になりません。テレビは都市的なメディアなのです。ネット(ウェブ)は無秩序な大自然そのものであって、実はメディアですらないのかもしれません。
私たちは、ある意味忘れかけていた「自然に対する社会性」を、こうして取り戻しつつあるのかもしまれせんね。自然はとっても両極端な社会ですから。そこには自由も平等も正義もないのは当たり前です。
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