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2009.06.20

『星座・天文』 星座天文萌研究会・渡部潤一 (PHP研究所)

56970896 部潤一さん…。こんなことやってていいんですか(笑)。ま、まえがきで結構辛そうにしてますので、彼自身はこういう趣味はないのでしょう…たぶん。
 いちおう星座・天文萌え歴40年になろうかというワタクシであります。そして、どういうわけか「萌え」研究家の称号を頂いているワタクシであります。それでも、この「萌え星座・天文」にはちょっと、いやかなり引いちゃったなあ。
 以前紹介したエレメント・ガールズでもかなり困惑しちゃいましたが、あれはある意味初のキャラクター化でしたから、おお、こういうやり方もありか、と感心した部分もあったんですよ。
 しかし、考えてれば、星座や太陽系の星々については、太古の昔からそういうことをやってきたわけじゃないですか。だいいち「星座」という概念からしてそうなわけです。そして、その分類に従って萌えキャラ化してるわけですから、これは当然無理があるわけですよ。
 というか、そのオリジナルな、つまりギリシャ神話的なキャラクターをあまり知らなければいいわけですが、ある程度知ってますからね、そりゃあキツいっすよ。
 一番違和感があるのはですね、たとえばオリオンのような男性キャラさえも女性になってしまっているところです。いちおうそれらは「ボクっ娘」という設定なんでしょうかね(笑)。
 まえがきで渡部さんが苦笑している(たぶん)ように、たしかに入門としてはいいのかもしれません。いやいや、入門にこれはまずいんじゃないかなあ。オリジナルに対する冒瀆っていう気もしてきます。
 ちなみに日本にも日本独自の星座というものがあります。あの野尻抱影さんに多くの研究があります。そちらをキャラクター化した方がまだ良かったかも…って、それじゃ売れないか。
 今年は世界天文年ですし、日本で久しぶりの皆既日食があります。そのブームに便乗した商品とも言えるのかな…と思いましたら、購入者はあんまりそういう意識はないようです。実際に星に興味を持つ人は買いませんよね(私も買ったんじゃなくて借りたんですよ)。では、どういう人が買うのかと言いますと、やっぱり「萌え絵」好きなんですよ。
 私はよく分かりませんが、そういうのに詳しいオタク女子生徒によりますと、ここで仕事している絵師さんたち、けっこう充実のラインナップなんだそうです。彼女は表紙も描いているナントカさんの絵が好きだそうで、ついつい手にとってしまったと言っています。そして、こういう本を買うとしたら、それは絵の指南書として、参考書としてだそうでして、なるほどその方が健全と言えば健全だな、と思った次第です。
 というわけで、ちょっとPHPさんも調子に乗りすぎという感じがしないでもない。たしかに、理系の人々の嗜好とオタクの人々の嗜好は重なる部分が多い、というか、理系とオタクはほとんど重なっているというのも事実ですけれど、なんでもかんでもこうして萌え化するのは、ちょっとねえ。一般人からしますと、まさに痛い状況ですし、ホンモノの理系の人々からすれば、どの内容も中途半端、全然物足りないというのが実態でしょう。
 また、Amazonのレビューの人も言ってますけど、二色刷りというところも中途半端。平成の浮世絵として観るならば、やはりフルカラーじゃなきゃ。絵師だけじゃなくて、摺師の技も観てみたいところですよ。多少高くなっても、その方が売れたんじゃないでしょうか。
 まあ、江戸時代にもこういう二番煎じというか、二匹目どぜう商売というか、そういうどうでもいいシリーズものがた〜くさんありますよね。それが大衆文化であり、そして後世伝統文化、あるいは国際的に認められる芸術になっていったわけですから、これはこれでいいのかな。うん、なら、やっぱり「画集」にしてしまった方が良かったかもなあ。

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