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2009.06.29

『100年インタビュー 指揮者 小澤征爾』 (NHK BShi)

090625_pic むむ、実はかなり感動してしまった。すごいわ、やっぱり。スケールが違う。大きさも違うし、音階も違うという感じ。
 天才、超一流の人って、やっぱりこうなんだよなあ…。我々凡人とは基本的に何かが違う。まず、持っているエネルギーが違う。働くパワーが違う。73歳とは思えない若々しさ。圧倒的なオーラ。
 25日に録画しておいたものを観ました。いや、聴きました。2回聴きました。また何度でも聴こうと思います。
 やっぱりね!ということと、え〜っそうなの?ということが半々。いや、どちらかというと意外な言葉の方が多かったかなあ。それが刺激的だったのでしょうね。
 まず何と言っても、その器のデカさでしょうね。超一流の器ですよ。つまり、細かいことにとらわれないんですよね。たとえば、英語が下手だとか(笑)。そんなのは音楽にとって些末なことですからね、たしかに。
 もっと言ってしまえば、批判されることにも無頓着だったり、食えないことにも無頓着だったり(笑)。いや、本当は我々と同じくらい、いや、それ以上に悩んだり、考えたり、苦しんだりするのでしょう。しかし、結果としてそれを忘れちゃう。インタビューの中でも「あんまりよく覚えてないんだけど…」みたいな発言が多々ありました。
 これって大成するのに非常に大きな条件ですよ。私もどちらかというと気にしない人間ですけど、やっぱり気にしないのスケールが違う。普通の人間ですと、そうした、いわば敵からのストレスによって、いろいろな意欲を失ったり、時間を無駄にしてしまったり、とにかく停滞してしまうことがほとんどじゃないですか。でも、天才は違う。
 そう、最近、よくこのブログやっててよく分かったんですよ。批判とか中傷って、ものすごく簡単なことじゃないですか。創作(いちおうこんな記事も創作の一つでしょうか)は結構大変だけれども、それに対する批判とか中傷って、何も考えずにすぐできますよね。自分が記事の中でそういうことをして分かったんですよ。
 このブログはもともと食えないのか、あんまり批判や中傷が来ないんですけど、それでも年に1回くらいはあるわけですよ。たとえば最近で言えばこちらのコメントとかね(笑)。この人誰か知りませんが、ありがたいですよ。ご本人にとってもなんの得にもならないことをしてくれて。で、こういうことを書いてもらって、人によっては、カチンと来たり、ガーンと来たりする場合もあるわけじゃないですか。そうすると、ブログなんてやめちゃおう、ということになったりする。私は全然気にならないんですけどね。
 でも、最初はいやでしたよ、やっぱり。この程度のことでもいやなんですから、小澤征爾レベルでの無理解や中傷や批判だったら、まあ普通は参っちゃうでしょうね。それでも参らない精神力というか、体力というか、ある種のバカボン力でしょうかね、気にしない、これでいいのだ!、そういうものがないと一流にはなれませんよ。
090625_02_pic あと、そういうスケールということで言えば、あまり「語りすぎない」ということでしょうね。このインタビューでも、彼は、分からないことは分からないという姿勢を貫いていますし、我々音楽シロウトだったらいくらでも語っちゃうようなことを、ある意味すっ飛ばしてしまっています。それが強みだなと思いました。
 指揮者についても、言葉で説明しているようなのはダメ!と言ってました。彼にとっては「言語」は音楽のしもべ程度のものなのでしょう。たしかに、理屈や学問や自己言語を振り回すヤツにホンモノはいませんよね。ま、私がその最たるものでしょう(笑)。
 日本人が西洋音楽をやることに対する、小澤さんの言葉は実に面白かったなあ。ここのところが、私もいつも引っかかるところなんですよ。日本の古典をやるだけでも違和感あるのに、なんでヨーロッパの17世紀の音楽なんかやってんだ?って感じで。
 小澤さん、斎藤秀雄先生の言葉をひいて、「日本人は真っ白だから、西洋人よりも有利だ」という話を始めました。その時私は当然、「そうか、やっぱりそうか、なるほど!」と思いました。ちょっと感動して、その話をうんうんと聞いていると、いきなりオチが…。
 有働アナが「実際どうでしたか?」とツッコミを入れると、「それがそうでもなかった…笑」って言うんですよ!もう最高ですよね。素直というか正直というか、かっこつけないというか。一つの結論に落ち着かないというか、ものごとの多面性、矛盾、現実を直視するというか…。もう、笑っちゃうとともに、もっと感動しちゃいました。
 その他、まあいろいろありましたよ。音楽的なことだけでなく、生き方についても、本当にいろいろ学びました。音楽が国や時代を絶対に超えるという話。自分がやっていることは絶対正しいという話。演奏者の役割の話。音楽には「個」が大切だという話。指揮は「invite」であるという話。歳をとることはいいことだという話。日本人が勉強熱心、勤勉だという話。分奏の大切さについての話。音程やリズムの話。真似はダメという話。あと、何と言っても、「先生」の話ですね。斎藤先生の話。素晴らしい先生であり、幸せな先生ですね、斎藤秀雄先生。
 7月2日午後2:00~3:54に同じくBShiで再放送があります。ぜひぜひご覧ください。音楽が好きな方にとっては、本当に楽しい2時間ですよ。最後は人間力ですな。人間としての魅力。

100年インタビュー公式

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コメント

うーん、私は一瞬見て、これはちょっとだめだなあと思ってチャンネルをかえてしまいました。
ある時期から、音楽がこちらに伝わらないわりに、言葉だけが通じる人であると、私が決め付けてきているからかもしれません。
しかし、決め付けはいけませんね。
今の彼は、もう言葉の人では無いようですね。
再放送の機会に、できるだけ先入見なしにしっかりと見てみたいと思います。

投稿: 貧乏伯爵 | 2009.06.30 12:28

伯爵さま、こんにちは!
実は私も意外だったんですよ〜。
最初は観る気もなかった。
音楽的には決して好きな方ではありませんでしたから。
それが、なんででしょうね。
妙に素直に聴けてしまった私…笑。
自分もいよいよ一皮むけたか!?
「好き嫌い」と「言語」が人間の文化を生んだと言ったのは、たしか正高信男だったと思いますが、私はどうもサルに先祖返りしつつあるようです。
伯爵さまも再放送はサルになってみてはいかが?

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.06.30 13:12

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