能楽部発足
今日は能楽部の発足式がありました。本校に新しいクラブの誕生です。
高校の能のクラブというのは、ちょっと珍しいですね。もちろん、全国にはいくつかありますけれど、卒業生が指導するというのはあまりないのではないでしょうか。
4月30日に、全校生徒を対象に能楽ワークショップを行ないました。その後アンケートをしてみましたら、おおむね好評で、やはり難しいと言われる能などの日本の伝統芸能も、紹介の仕方によっては、充分現代の高校生の心に響くものであることがわかりました。
うむ、やっばりプレゼンテーションの方法、演出というものが、エンターテインメントには非常に重要なんですよね。同じものを提供するにしても、やっぱりお客様の立場に立ってないと。音楽もプロレスもみんな一緒。もちろん、授業もです!
考えてみれば、先生なんて職業は「つまらないことを面白く伝える」のが仕事みたいなもんですからね。中には「面白いこともつまらなく伝える」という猛者もいらっしゃいますが(笑)。私は「面白いことをもっと面白く伝える」のがモットーですので、つまらないことは最初から相手にしません…というか、面白くないことなんか世の中にありませんからね。あるのは食わず嫌いだけ。
そう、私にとっても「能」は食わず嫌いだったんです。嫌いではなかったかもしれませんが、食わず知らずだったことはたしか。それが、教え子のおかげで、こんなにはまってしまうとは…。でも、この歳になって目覚めて良かったと思いますよ。他の分野と重ねて、俯瞰的に眺めることができますから、楽しさも百倍です。
自分の話はいいとして…それで、アンケートの中に、「能クラブができたら入部したい」という項目を設けておきましたら、けっこうな数の生徒が○をつけました。よし、じゃあクラブ発足だ!ということになりまして(計画は以前からありましたが)、本日を迎えたとういことです。
本来なら責任をとって(?)ワタクシが顧問をつとめるべきですけれど、ちょっと別件で忙しいので、若手に譲りました。あまりに突然のオファーだったので、若手はかなり動揺してましたが。彼は物理の先生ですので、「能は宇宙論だ!」とかワケ分からんこと言って丸め込みました(笑)。
さあ、本日の発足式に集まった部員は5人。一人通院のため欠席でしたので、実質6人の部員でスタートとなります。男女とも3名ずつ。ちょうどいい人数とバランスですよね。正直、こんなに集まるとは思わなかった。お前ら偉い!マニアックすぎる!
今日は、校長先生の発足の辞のあと、早速お稽古に入りました。扇の持ち方、開き方に始まり、差込、開きの基本動作まで。いきなり能の真髄に触れたような気がしましたね。生徒たちは全くの初めてです。しかし、「型」にはまることによって、すっかり「様」になるから面白い。やっぱり「型」は大切だなあ。「型」にはまるって全然悪いことじゃないし、全ての基本ですよね。
いつかも書きましたが、「学習」とは「真似び、慣らう」ことです。その本来の「学習」のためには絶対に「型」が必要です。まずは「型」にはまってみること。型を真似し、繰り返してその型に慣れること。カタなしはダメです。型にはまって、のちに型破りを目指すのです。
さて、今日の初稽古で、意外だったというか、感動したのは、最後にちょっとだけやった謡の真似事です。高校生にとって、ああいう歌唱は、ちょっと抵抗があるんじゃないかなあ、と思っていたんですけど、全くの杞憂でした。彼ら、実に大きな声で先輩の真似をしていました。素晴らしい。これぞ「食わせず知らず」というヤツですか。勝手な先入観はいけませんね。まず食わせてみる、食らわせてみるというも教育には重要なのでしょう。
さあ、これから彼らはどんな活動を見せてくれるでしょう。私もできるかぎり参加して勉強してみたいと思います。なんかとってもいい予感がします。生徒たちにとっても、学校にとっても、そして私にとっても。みんな頑張ろうぜ!!まずは、8月1日の初舞台(!?)を目指して。
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