いぶりがっこ(の語源)
秋田のおみやげとして、いつも職場に配っているのが、これ。お菓子よりも評判がいいんです。生徒たちにも大人気で、たくさん買って行ってもすぐになくなってしまいます。先生たちは「ビールか焼酎がほしくなるなあ…」と、あまりのおいしさに仕事中、ある意味苦しんでいますが(笑)。
この製品のいいところは、小袋に入っていて、スナック菓子のようにつまめることですね。たしかに、お酒のつまみにも最高ですね。
「いぶりがっこ」は漬け物の一種です。「燻り」「がっこ(漬け物)」という名前からも分かるとおり、スモークされているのが特徴です。ものすごく簡単に言ってしまうと、「たくあんの燻製」という感じでしょうか。
秋田は冬の間日光に恵まれませんので、日干しができません。そこで、昔の秋田の家には必ずあった囲炉裏の上に大根を吊るして、その熱で水分を飛ばしたんですね。結果として、広葉樹の薪から出る香ばしい煙で燻されて、見事なスモーク大根になるというわけです。
その独特の香と味わいがたまらないんですね。一つ食べますと、止まらなくなることうけあいです。いまだ食したことのない方は、ぜひともお試しあれ。この個装スナックタイプは入門には最高だと思いますよ。
現在では、秋田でも囲炉裏のある家はずいぶんと減ってしまいましたので、自家製のいぶりがっこというのは、なかなか食べられません。かと思ったら、そうした古来の文化を守ろうということでしょうか、横手市山内地域では「いぶりんピック」なるものが開かれているそうです。手作りのいぶりがっこの味を競う大会だとか。
どうでもいいことですが、日本語学的に言いますと、「いぶりん」までが平仮名で、「ピック」だけカタカナというのが、絶妙というか意外な秋田的センスだと思います(笑)。
わが山梨県の鳴沢村も漬け物文化が発達していて、お茶のお伴はお菓子ではなく漬け物です。家庭訪問なんか行きますと、各家庭の漬け物をいただいて、お腹いっぱいになってしまったりします。それぞれ個性があっていいんですよねえ。
漬け物というのは、優れた発酵食品であり、保存食品ですね。まさに日本の田舎の知恵そのものです。今、そういう文化が絶えつつあるというのは、ちょっと淋しいものです。ウチもそうですけど、漬け物石なんか見たことない子供が増えてるんじゃないでしょうか。
ところで、秋田では漬け物全般のことを「がっこ」と言うのですが、どういう語源があるのかと思って、ちょっと考えてみました。
秋田には、「雅香」がなまったとの俗説があるようですが、日本語学的にいうと、ちょっとありえないでしょうかね。いくら漢語の日常語化することの多い秋田と言っても、やや無理がありそうです。「雅香(がこう)」という漢語は、私の知る限り使われていません。
「がっこ」の「っこ」が、東北特有のあの接尾辞、つまり愛着を表す「〜っこ」だと考えてもいいのですが、そうすると、「が」が何かということになってしまいますね。「が」だけで使われている例も見当たらないので、これも却下しておきます。
そうしますと、やはり単純に「こうこう」の訛りだと考えた方が良さそうですね。「おこうこ」とか言う時の「香香」です。これは大根の漬物の女房言葉として広く使われていました。「香」の音読みは本来「かう」ですので、「おこうこ」の歴史的仮名遣いは「おかうこ」になります。
その「かうこ」が「がっこ」に音韻変化することは、それほど不自然ではありませんね。「はうし(法師)」が「ぼっち」…「ひとりぼっち」の「ぼっち」…になったりする例はたくさんありますから。
ちなみに、この個装「いぶりがっこ(薪割り)」を製造販売している雄勝野きむらやさんですが、「いぶりがっこ」を商標登録しているんですよね。ホームページが「iburigakko.com」というところがすごい!w
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コメント
がっこでフラフラしてて流れ着きました、どうもこんばんわです。
香の物=おこうこ→こうこ→がっこ。ふうむ、なるほどです。
秋田県民としては「雅な香り」説も、ちょっと嬉しいんですけどね。
秋田県の南部、岩手・宮城の県境の三内とか横手あたりでよく作られてるいぶりがっこですが。他地区ではあんまり作られてないんです。海側とかだと「話には聞いてるけど」くらいな感じなので、お土産にも出来てしまうくらいです。
食べ慣れてないのに、食べると美味しいんだから、これはやっぱり美味しいものなんでしょうね。
投稿: mametまめ | 2011.06.08 00:54