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2009.04.26

サイモン&ガーファンクル 『サウンド・オブ・サイレンス』

51um6aycnil_sl500_aa240_ 日、今日と東京でいろいろお勉強。来年度の大仕事の一環です。
 そのついでと言ってはなんですが、途中音楽仲間との初見大会にも参加してきました。今日演奏したのはシャコンヌやタランテラといった、循環バス(グランド・バス)系、すなわち私の好きな「輪廻系」の曲たちでした。
 世界中の民族音楽には、こうした循環系の楽曲が多くあります。最近のヒップホップ系の曲も、こうした循環系ばかりですね。今も昔も大衆音楽の基本はこういったところにあったのでしょう。音楽的構造は単純ですが、そこに与えられる即興的変奏は変化に富み、深みを感じさせます。人間や自然の一日や四季や人生や歴史までもが、このような反復と変化、模倣と創造を繰り返しているからでしょうか。
 充実の時間を過ごして帰宅し、テレビをつけましたら、BS-iの「SONG TO SOUL〜永遠の一曲」で「サウンド・オブ・サイレンス」をやっていました。サイモン&ガーファンクルも、現代に民族音楽をよみがえらせたミュージシャンですね。ま、ほとんどポール・サイモンの才能ですが。
 今日の番組では、この佳曲の三つのヴァージョンにまつわる話を中心に、この曲がいかに画期的であるかが、関係者たちによって語られました。
 私は、あらためて「これは禅問答だな」と思いましたね。見事な公案ですよ。アート・ガーファンクル自身も、ジャケット裏のライナーノーツで「あとは皆さんが考えてください」みたいに言ってますね。まるで老師の言葉です。
 考えてみれば、「サウンド・オブ・サイレンス」というタイトル自体、「色即是空・空即是色」ですよね。「静寂(沈黙)の音」。番組中、訳者の山本安見さんによる解説でもありましたが、次の一節がポイントです。

People talking without speaking
People hearing without listening

 「人々は語ることなく話していた。人々は耳を傾けることもなく聞いていた」ということでしょうか。そう言えば、「語ると話す」についてはこちらに書きましたね。柳田国男です。彼は「ハナシ派」でしたっけ。ポール・サイモンとは仲良くなれそうにないな(笑)。
 この部分、現代のコミュニケーション不全の象徴として解説されることが多いのですが、もしそうだとすると、タイトルも「サイレント・オブ・サウンド」になりそうなものです。「音の虚しさ」みたいな感じで。
 この転回の仕方は、まさに「色即是空・空即是色」のロジック…いやレトリックですね。たしかに無意味な騒音もたくさんありますが、饒舌な沈黙もたくさんあります。意味のありそうな無意味や、無意味そうな意味とか。世の中には前者が充満していますよね。それがヒトとカネを動かしているとも言えます。そんな商業主義に対するレジスタンスとも取れます。
 皮肉なのは、この曲に、彼らの意思を飛び越えて、トム・ウィルソンによって音が加えられて、そうしてヒットしたという事実です。この曲は、ある意味「コト」によって生命を得たとも言えるわけです。いつも言っているように、ホンモノはいろいろな「コト」という器を与えられても、そこから溢れ出るように成長していくものです。「コト」は本来「モノ」の生命を奪う行為ですが、それでも生き続けるのがホンモノというわけです。
 私もこの歳になりますとね、たしかに坂崎さんと同じで、ポール・サイモンのソロ・ヴァージョンがいいなあと感じます。あれが原点なんでしょうね。しかし、そこにいろいろと加えられて、そうして死んでいくのではなく、どんどん力を持っていったというところが、やっぱりすごい、天才の残した名曲だなあ、と思わせました。歴史に残る「シゴト」とは実は「ホンモノ」のことだったのですね。やっぱり「コト」は「モノ」にかなわない。しかし、「コト」をきわめて「モノ」に至る。
 むむむ、この名曲の考案によって、何かが悟れたような気がします(笑)。

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コメント

最近、気まぐれでコメント多くてすみません。
天才つながりでアタシは先生も天才だと思ってます。
たまに、部下と学生時代の話になったりしても、アタシは先生の話しが多いですよ。実はオタクネタが多いですが、現国の参考書の人、出口なんとかって人とか、みんな知らないですから、若い子は。
卒業の思いでのVTRに感激して、英語が出来る人とカラオケ行ったら、BOZ SCAGGS歌ってもらったりしてますから。
恐るべしです。
アタシのテーマソング、NO WOMAN NO CRY 聞いて下さい。
女ですが、頑張りたいと思えます。英語わからないですが。
あと、アタシのリスぺクトシンガーeliの歌も聞いて見て下さい。
素敵過ぎますから。

投稿: カオル | 2009.04.28 01:25

いやあ、オレからすると、カオルこそ天才だよ。
ああ、こいつは違うな!って当時から思ってたからね。
そして今回、いろいろ不思議だなあと思ったよ。
その出口なんとかっいう人と来週初めて会うことになってるし、
最近まさに、あの卒業ビデオの曲たちを集めたCDを久々に聴いてたとこだったし。
不思議な何かでつながってるんだね。
NO WOMAN NO CRYがテーマソングって、思いっきり納得だね。
妙にしっくり来たよ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.04.28 17:40

おっと、ほめてくれますねー。
輝かしい実績で入学したと思ったら、卒業式に5組で進路決まってない女子はアタシだけsign03みたいな、結末には驚きました。
それにしても、出口なんとかに会うのですね。
スゴイです。あの時の参考書はどこに行ったかナゾですが、親を言いくるもあの参考書買ってもらった記憶ありますよ。
出口さんの先祖の話しなつかしーです。
たまたま重なって、縁ですね。
きっと、出口先祖がアタシにオリテキタshockなんて。
そして、テーマソング、女よ!泣くな!
ですよ。
everything's gonna be all right(スペル自信なし) ですよ。
ポジティブなアタシにはピッタリ!
ラスタとかあんま文化分かりませんがボブ様ステキです。
ちなみに、チャゲアスの男と女もいいッス

投稿: カオル | 2009.04.29 16:17

そう、出口さんとは、まさにそのご先祖様の関係でお会いできることになったんだよ。
そういう意味では、あの頃の夢がいろいろとかなってるなあ。
やっぱり、ハッタリでもなんでも、口に出してると実現するもんだな(笑)。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.04.30 08:15

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NO.01065 サイモン&ガーファンクルのオリジナル・アルバム『サウンド・オブ・サイレンス』(1965年) “静粛の音” 今や教科書にも載ってる不屈の名曲(1)「 ... [続きを読む]

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