『爆笑問題のニッポンの教養 「永久エネルギー誕生!~原亨和(触媒化学)」』(NHK)
先日、地熱発電とEDLCという記事で、ちょっと科学者の皆さんを揶揄してしまいましたね。マッチポンプだ!とか言って。
今日の爆問学問は「永久エネルギー誕生!」ということで、まさにそんなようなお話。原先生、やっぱり私と同世代で、同じような科学教育(洗脳?)を受けてきたようですね。そして今でも少年のまま(笑)。「石油がなくなったらどうしようという不安」…オイル・ショックのトラウマですね。
そして、先生、「今の生活の水準を保ったまま、生き残る」という「サバイバル・サイエンス」について、熱く語っていたようです。
…「ようです」と書いたのは、なななんと、この番組10分の1しか観ていないからです。最新のサイエンスは、この番組のほとんど全てをモザイク状にしてくれました。
この季節になりますとね、ここ富士山では非常に大きな自然の変化があるんです。無数の木々が芽吹きますでしょ。そうしますと、そこを通ってくるUHF波が大きな影響を受けまして、地デジの映りが悪くなるんです。
ちゃんとアンテナを設置しろよ!とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。しかし、「今の生活の水準を保ったまま」テレビを観たいじゃないですか。ほんとうにすぐそこに送信所があるんですよ。アナログ波の時は、室内アンテナで充分だったんです。だから地デジも室内アンテナで観たいですよね。
と、最新の科学も、このように自然の複雑さにはとても対応できないわけです。良かれと思って(たぶん)やったデジタル化が、思わぬところで以前の科学(アナログ)以上の不便を生んでしまうことは多々あります。
まあ、それにしても、「カーボン固体酸」、こりゃすごい発見、発明ですね。水に溶けない硫酸かあ。たしかに少年の私だったら、大興奮でしょう。でも、今やいいおじさんになり、科学に対してある種の虚無主義になり、仏教などをちょいとかじったワタクシからしますと、ううん、ちょっと怖いなあというのが正直なところです。
考えてみると、「触媒」というものは、人間の欲望の象徴のようなものです。自然の化学反応の速度を加速する。いわば時間を操ることですから。それは「もののあはれ」、すなわち自然が思いどおりにならないことを認めない行為の、最も顕著な形ですから。
化学的な触媒に限らず、あらゆるテクノロジーは触媒的な性質を持ち、触媒的にふるまっているとも言えますね。全ての科学は、時間の短縮か、逆に伸長のために発達してきたとも言えるのです。
ま、私が原先生の立場でしたら、人間の脳ミソに働く触媒を開発しますね(笑)。知足を促す触媒。不安は執心から生まれますから、そういう執着を溶解する触媒。そんなに急がないで、ゆっくり歩んでいくための触媒。うん、結局、反応速度を落とす触媒ってことなのかな。そんなに焦らないでって。
欲望の反応速度を落とす触媒かなんかを、テポドンかなんかに積んで、アメリカに落としてもらいましょうかね(すみません、不謹慎で)。
いや、冗談抜きで、戦争の火種は全てエネルギー問題ですからね。縄張り争いって結局そうでしょ。土地や人民はエネルギー源です。
先ほど書いたように、しっかり観てないし聞いてないんですけど、まあ、原先生は仏教的には悟りからほど遠いなと思いました。ちょっとキリスト教的な焦燥感というか、ある種の終末観というか、そんなものすら感じてしまいました。
とりあえず、硫酸は水に溶けていいと思います(笑)。
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コメント
庵主様、こんにちは。
人間の体内には酵素という名の触媒がたくさんありますよ。ということは人間は体の芯から強欲なんでしょうか? なんてこと思っちゃいました(笑)
それにしても本当に将来的には永久エネルギーは実用化されるのでしょうか?
実用化されることが不都合であり、技術的には可能であってもそれを良しとしない方々がたくさんいるような、、、
投稿: ニキータ | 2009.04.23 17:53
ニキータさん、こんにちは。
そうですね、酵素がありましたね。
まあたしかに強欲としかいいようがありませんね。
そうでなきゃ生き残ってないでしょう。
永久エネルギーなんかできたら、すぐに「悪」に使われて、あっという間に「永久」なんていう意味がなくなりますよ、きっと(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.04.24 16:41