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2009.04.16

地熱発電とEDLC

Chinetuhatuden 年時代は理系を目指していたのに、なぜか文学部国文学科を出て、国語のセンセイになってしまったワタクシです。
 しかし、いまだに理系の研究職に憧れている部分もありまして、先日も白衣を着ている夢を見ました。単純と言えば単純な夢ですね(笑)。
 ただセンセイという仕事はいいところがありまして、自分の夢を生徒に託すことができるんですね。それでいろんな生徒がずいぶんと私に人生を変えられました。
 芸術系に行かされた生徒もたくさんいますね。音楽、美術、文学、伝統芸能…これもまた自分の夢でしたから。
 で、理系だったらこれをやってくれとか、これからはこの時代だろとか、まあテキトーに、いや適切に(?)指導をしたりするわけです。無責任と言えば無責任かもしれませんけど…いやいや、けっこう責任重大です。
 逆に、文学部なんか行くなよ!喰ってけねえぞ、とも言ってきまた。本読んでましたって言っても、企業は取ってくれないぞ、と。
 世の中の風潮でもありますが、なんとなく文系、それもいわゆる人文科学の分野は、世の中のためになってないような気がしていました。その点、理系すなわち自然科学や、文理中間とも言える社会科学は世のため人のためになっているし、お金にもなると。
 でも、最近少し考えが変わってきたんです。もしかすると人文科学が一番世のためになってるかもしれない。経済性の低い文学なんていう慰め事の方が、地球環境にはずっと優しいんじゃないか。物質的な豊かさや、自分の属する共同体の安定を求めるよりも、それぞれの人間が自らの内面にウジウジこだわって、ひきこもっている方が、おそらく他の生物や無生物のためには大いに有益ではないかと。
 しかし、人間の歴史はそのことに気づかず、こうしてやってきてしまいました。だから今さらそのことに気づいてもしかたないと言えばしかたないし、あるいはその崇高な哲学を生徒たちに押しつけて、そういうひきこもり生活をさせたとしたら、もっとダメなセンセイと言われること必定です。
 せいぜい宗教家にでもなって一人で山にでもひきこもっていなさい、ということになるのでしょう。
 そう言えば、私が少年の頃、「科学」や「工業」や「技術」は憧れの的でした。私もご多分に漏れず、将来の夢と言えば「科学者」「エンジニア」と書いていました(あるいはプロ野球選手と)。そうして、いかに地球上の、あるいは宇宙空間のエネルギーを自分たちのものにするか、それに携わることがカッコいい、正しいことだと思っていました。
 私と違って、その夢に向かってしっかり勉強をして、それを叶えた人たちもたくさんいて、そうしてこの「豊かな」世の中を作り上げてくれました。ありがたいことですし、立派なことです。
34_zenn_silver_1 そして、今、理系の方々が一生懸命取り組んでいらっしゃるのが「エコ」です。今度はいかにエネルギーを無駄遣いしないかが、最大の課題になっています。最先端でスマートでカッコよくて、そしてなぜか金になるのが「エコ」です。
 自然科学は、いかに個人の感情を抜きにした(しようとした)ものと言っても、やはり人間の所業ですからね、結局人間の本能を満たすために使われてしまった。当面の本能、欲望は豊かで楽な生活でしたから、自然科学がこのような世の中の発展に寄与したのは当然と言えば当然でしょう。しかし、今度はもっと根源的な本能に関わることになった。すなわち生存の本能です。
 このままでは、人類は滅亡してしまう、自然環境的にやばいということになってきたわけです。そこで、今度は、ある意味全く逆のベクトルで自然科学が活躍することになったのです。
 これって、考えようによっては、理系のマッチポンプとも言えますよね。理系のお仕事には、実はそういう自己生産性があるんです。本質が拡大再生産的なんです。
 と、ずいぶんと前置きが長くなりました。どうでもいいことをベラベラとすみません。
 で、結局今日言いたいことは、そんな屁理屈ではなくて、とりあえず我々の生存、人類の存続、地球の長寿化のために必要なエネルギー研究はですね、この二つだと思うんです。もし自分が理系の研究者だったらやってみたいこと、つまり、生徒にやらせたいことはこの二つです。
 地熱発電と電気二重層コンデンサ(EDLC=ウルトラ・キャパシタ=スーパー・キャパシタ)。
 これが実用的になれば、とりあえずエネルギー問題の大半は解決すると思うんだけどなあ…。たとえば、無尽蔵で半永久的に供給される地熱でもって発電した電気を、大容量の高性能キャパシタに数秒で充電して、電気自動車を1000キロくらい走らせる。
 それこそ国策で真剣に取り組めば、あっという間に可能になるような気がするのですが。日本は両方得意なはずなのに、今一つ研究が進んでいないような気がするんですよねえ。プロデューサー、ディレクターが悪いのかなあ。
 そうか、とりあえず、教え子を総理大臣にするしかないか。まずそこから始めなきゃ世の中は変えられないってことかな。あるいは人類全員を洗脳して、哲学者にしてしまうか(笑)。

地熱発電の基礎知識

「5分の充電で800km」新キャパシタ電気自動車

東大が開発したキャパシタ自動車

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コメント

>これが実用的になれば、とりあえずエネルギー問題の大半は解決すると思うんだけどなあ…。

地熱を効率よく利用する、即ち地熱を効率よく奪うということですよね。あまり大規模に行うと結局地殻変動や気候に影響が出そうな気も...。

投稿: LUKE | 2009.04.21 02:18

LUKEさん、いつもどうもです。
そうですね。厳密に言うと影響がないとは言えないでしょう。
しかし、地熱の総熱量からしますと、利用されるエネルギー量はごく小さいものです。
他の発電方法による環境への影響に比べると、かなり地球に優しい(…嫌いな言葉ですけど…笑)と思いますよ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.04.21 17:09

>厳密に言うと影響がないとは言えないでしょう。

そこなんですよ。私も全地球的にみれば良いのかも知れないな、とは思うのですが、もっと小さい目線で考えるとどうかなと、考えちゃうんですね。つまり、地球に優しくても、人間には厳しいことにならないのかな? と。
例えば首都圏でのヒート・アイランド現象なんかも、地球規模で考えれば局地的な出来事なんですが、当事者にとっては深刻だったりしますよね。人間がエアコン(だけじゃないけど)使うだけで、局地的であれ気候を変えてしまう。思ったよりエネルギーを使ってるわけで、地熱を地球に優しくなるまで大規模に利用するとなると、最低限ヒート・アイランド現象規模のしわ寄せがどこかに現れてしまうのではないかな、と。
何処の話だか失念いたしましたが、トンネルを掘ったら、その場所から数十キロ先の住宅地で地盤沈下が起きてしまったとか。(トンネルを掘った際に吹き出した地下水を逃したのが原因らしいのですが。)所詮、人ごとといったらそれまでですが、地球規模で見たらたいしたことではなくても、当事者には死活問題だったり。
何が言いたいのかといいますと、微妙な均衡で成り立っているのが世の中で、そう考えますと、100年くらい化石燃料を消費し続けて、それなりにやってこられたというのは割と正解だったのかなと。結果論ですが。

ちょうど今さっきNHK(爆笑問題のニッポンの教養)で同じような会話がありました。こういうことは結局やってみないとわからないみたいで。(^-^; そりゃそうか。

投稿: LUKE | 2009.04.22 00:28

LUKEさん、タイミングよかったですね。
私も観ました。記事にもしましたよ。
なんか私自身言ってることが矛盾してますけど、
こちらの記事は、あくまで妄想ですので、実体ではありませんよ(笑)。
はっきり言って、私はエネルギー問題は、私たちが身の丈の生き方をすればいいだけだと思ってますから、ホントは。
やってみなきゃわからない…これこそ科学の本質ですし、それでもやっちゃう人間という存在ですね。
それで結局マッチポンプになっちゃうわけです。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.04.22 09:33

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