宿敵と雌雄を決した(?) 祝!WBC2連覇
「僕は持っていますねえ。最後に神が舞い降りてきましたね。あの打席では、日本がすごいことになっているだろうと思って、自分で実況しながらやっていました。普通結果が出ないんですけど、壁を越えた感じです」…イチロー。
私はWBCが始まる前、神は、神審は、どこに行った?という記事の中でこう書きました。
「たとえば、もうすぐWBCが始まりますが、やっぱりあそこに『神』はいないような気がする。いや、イチローはそれに近いかもしれないけれど、しかし、何かが違う。彼は神から技を託されている存在かもしれないけれど、神を招来する働きはしていないような気がする。天覧試合でサヨナラホームランを打って、日本の経済を動かしてしまうような力はないような気がします」
まるで私の言葉をあざ笑うかのように、最後に「神」を招来してしまったイチロー。やっぱり彼は「神審」だった。いや、自身が言うように、今回初めてそういう境地に至ったのかもしれませんね。
それこそ、長嶋茂雄という生き神様が降臨したのかもしれないなあ。あそこでああいう仕事をするのは、実に長嶋的です。さすがに感動しました。鳥肌が立ちましたね。
9回にダルビッシュが打たれて同点になり、延長戦になった時点で、すでに奇跡が始まっていました。そして、10回、ランナーが出て、そして川崎があまりに簡単に凡退して、イチローにおいしいところが回ってくる。そして、そして、韓国がイチローと真っ向勝負してきたこと、それがまさに神の成せる業でしたね。あり得ません。もう物語として最高のお膳立てが揃っていました。
9回にダルビッシュがしっかり抑えて優勝していたら、私は「やっぱり神は降臨しなかった」と書いたでしょう。しかし結果はこれですからねえ。さすがに参りました。
さてさて、もうこの素晴らしい神事自体についてはこのくらいにします。世の中それ一色ですから。
私はその周辺の気になったことをいくつか。
まず言葉について二つ。韓国に対して「宿敵」という表現が何度も使われていました。また、韓国戦のことを「雌雄を決する戦い」とも言っていましたね。この二つの慣用表現について少し書きます。
「宿敵」というのはどういう意味でしょう。「敵」はいいとして、なんで「宿」なんでしょうか。「宿」の原義は、私たちのイメージの通り「そこにずっといる」ということです。ずっといるということは、昔から何かが継続しているということでして、ですから「宿敵」とは「古くからずっと敵対関係にある間柄」ということになります。「宿便」みたいなもんか(笑)。でも、考えてみれば、韓国とはそんなに古くからこういう関係だったわけじゃありませんよね。どちらかというと新しい敵対関係でしょう。そのへんについては何度か書いた記憶があるので繰り返しません。
それから「雌雄を決す」という言葉ですが、これって放送コードにひっかからないんでしょうか。フェミニストの方々は怒らないんでしょうか(笑)。今回で言えば、日本が「雄」、韓国が「雌」と決したわけでしょう。「雄偉」「雌劣」という言葉があるように、「雄」が強い、優れている、「雌」が弱い、劣っているというのが、本来のイメージです。これはまずいですよね。女性は怒っちゃいますよねえ。
男尊女卑だ!ということではなく、現代においては雌、いやいや女性の方が強いのは明確ですから(笑)。ああそうか、では今回日本が雌で韓国が雄ということでいいのか。そういう意味で雌雄を決したということで。
あと、全然関係ない話ですけど、今回ワンセグが大活躍したという話に関して。ええ、ワタクシもご多分にもれず仕事中の合間に(あくまで合間ですよ!?)テレビを観ていました。私は車の中のアナログテレビを観てたんですが、近くでどっかの中学の不良軍団がケータイのワンセグをみんなで観て盛り上がってたんですよ。
で、私はアナログじゃないですか。衛星中継のタイムラグはあるとしても、まあ1秒以下でしょうか。いちおう生中継ということでオッケーとしましょう。それがですね、御存知のようにワンセグ(や地デジ)はエンコードとデコードに大変時間がかかるので、およそ3秒遅れているんですよね。ですから、中学生が盛り上がるのが、私が盛り上がった3秒後になるわけですよ。
これはどんなもんでしょうか。生中継と言えるんでしょうかね。私はなんとなく優越感に浸ってましたけど。KeyHoleTVのところにも書きましたが、有事や災害時にはどうするんでしょうね。すぐに音声や映像固まるし。アナログ万歳!ですよ、まったく。
あっ、最後にもう一つどうでもいいこと。「イチロー」というネオ仮名遣い。これはなぜかみんな認めちゃってますね(笑)。
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コメント
都心の電車の中もワンセグ見ている人ばかりでした。
日米、日韓の実力というのは、本当に今回の結果の通りなのでしょうか?日米野球を見る限りでは、個々のチームレベル
も大リーグと日本の差はまだまだあるような気はしますし、日本と韓国についてもそれぞれの優勝チーム同士でやれば、日本の方がまだまだ。ちなみに、北京で日本に引導を渡したのは巨人の李、昨日イチローに打たれたのはヤクルトの林。
日韓は果たしてライバルといえるのか。専門家の意見を聞いて見たいものです。
投稿: AH | 2009.03.25 22:04
AHさん、おはようございます。
まったくそのとおりです。
盛り上がってるのは日韓両国だけでしょうかね。
それもマスコミによる扇動というか、なんというか。
まあ、うれしくないと言っては嘘になりますけど、
ちょっと違和感もありますね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.03.26 07:54