『パチンコの経済学』 佐藤仁 (東洋経済新報社)
パチンコはやりません。むか〜し、学生時代に少しハマりましたが、今は全くやりません。
しかし、この日本独特の遊技であり賭博であるパチンコの文化的な部分や、経済、政治的な部分には、非常に興味があります。このご時世、以前にも増して巨大化しているように感じるパチンコ業界。今、プロレスや総合格闘技のスポンサーは、みんなパチンコ業界です。芸能界もそうですね。つまり、以前ヤクザの仕事だった部分を、彼らが担っているという感じもします。そういう裏側の構造に、特に興味を持ってしまいますね。
この本にも書かれていましたとおり、パチンコの世界も大きく様変わりしてしまいました。ちょうどプロレスが総合格闘技の影に脅かされていったように、ある意味、八百長を許さず、人間臭さよりも機械による公平の方へ行ってしまいました。それはそれで世界標準に近づいたということで、まあ悪いことではないのかもしれませんが、しかし、そこで失われた日本的なものがあるのも事実です。
あまり単純化するのはよくありませんが、やはり、日本人もすぐに結果を求めるようになってしまったような気がします。経験をして、技を身につけて、思い込みや思い入れを深めて、勝敗を超えた「人生」を観じるというような、対象へのそういう関わり方というのは、今では古くさくダサく非経済的だと考えられてしまうようです。
私がパチンコをやらなくなった時期は、ちょうどフィーバー機が現れた頃でして、パチンコの大きな革命が起きた時代です。私はその変化についていけない古い人間だったということでしょうか。射幸性が高く、ハイリスク・ハイリターンになり、釘を読むというような経験や技というより、その場での単なる情報処理(結局はほとんどが運なわけですが)が重要になっていった、そういう変化に魅力を感じなかったのでしょう。
パチンコのような賭事に我々がのめり込むのは、ワタクシの「モノ・コト論」で申しますと、モノとコトのバランス、不随意性と随意性のバランス、変化と法則のバランスが絶妙だからです。もちろん、そういうふうにシステムが工夫されているわけで、私たちはそこに乗せられているわけですね。しかし、そういうモノとコトのバランスというのは、たとえば音楽やスポーツなどにも共通しているものですし、いや、それ以前に、人類の歴史や、個人の人生にも共通しているものです。
この本にも引用されていました「人間の楽天性」というのも重要ですね。失敗しても懲りないというのは、人間の美徳であります。それがなかったら、パチンコなんてとうの昔になくなっていたでしょうし、いやいや、それ以前に人類は絶滅していたでしょう(笑)。
さてさて、本題の経済学でありますが、まあこの本で解説されていた範囲でのシステムというのはよく解りました。よくできていると思います。しかし、かなり硬直化しているのも事実ですね。
で、その硬直化の主因であろう利権問題があまり取り上げられていないのは、ちょっと残念でした。まあ、以前ならヤクザの世界との関係でしょうし、今なら単純に政治家との関係でしょうし、なかなか書き切れない部分なんでしょうね。
もちろん、あと、在日社会との関係、某宗教団体との関係、警察との関係とか、これは完全にタブーなんでしょうか。ま、そういうところは、チラ見えする部分から勝手に想像したり、物語として自分でストーリーを作り上げる方が面白いんでしょうね。なんでもそうですが、露骨に見えちゃうと萎えますからね(笑)。
それにしても、パチンコの盛んな(この本的に言うと下流社会なのか?)この土地でも、ここ10年でパチンコの勢力地図が大きく変ってしまいました。他の地域と同様、地元に根ざした中小のパチンコ屋は一気につぶれ、全国チェーンの大型ホールがどんどん進出してきています。これはまさに、地元に根ざしたヤクザの衰退の図と重なっていますね。私には残念でなりません。
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