そう言えば昨日卒業式でした(笑)
おっと、忘れてた。昨日卒業式でした。ウチのクラスの生徒たちも学舎を巣立って行ったんでした。
なにしろ、まだ国立の発表前だし、教室も全然片付けてないし、後期の勉強に来るヤツもいるので、卒業という感じがしません。生徒もそんなにセンチメンタルになってる場合じゃない。最終進学先は国立の結果次第なんですが、みんないちおう行くところはあるので、どちらかというと受験から解放されてルンルン気分ですね。
実際、最後のホームルームをやろうとしたら、もうあいつら帰っちゃってた(笑)。まあ、ウチの学校は日常あまりに濃い関係を築いていて、まるで家族みたいな感じなので、改めて感動的な雰囲気を作るとお互い気恥ずかしいというのがありますね。
というわけで、今日は卒業の時に配られる学校の冊子に書いた私の文章を転載しておきます。1月のはじめに書いた文です。掉尾の一文は全くの杞憂に終わりました(笑)。では、くっだらない文章ですが、興味のある方はどうぞ。世の中の真理が書かれていますよ。
「夢は夢のままがいい」
正直に言うと、大学生の時は女子高の先生になりたいと思っていた。自分自身もほとんど女っ気のない高校に通っていたし、本当に単純に憧れのようなものがあったのである。
実際、私は友人と、東京のとある新設女子高の採用試験を受けに行こうと画策していた。しかしその後、縁あって本校に奉職することになり、残念ながらその夢はついえてしまったのだった。
そして、数年後、その東京の女子高に、今はジャン・アレジの奥さんになってしまった後藤久美子という美少女が入学したと聞いて愕然とした。さらにゴクミは天文部に入部したというではないか。私は地団駄踏んだ。当時私は天文マニアであり、その高校に勤めていたら、天文部の顧問になっていたに違いないと勝手に妄想したからである。
まあ、そんなことはどうでもいい。
それから二十年、若かりし日のそんな淡い夢を、君たちが実現してくれた。晴れて女子クラスの担任になったのである。
そして三年が経とうとしている。
言うまでもなく、私の若かりし日の夢の中身は、いとも簡単に打ち砕かれた。いや、もう私も若くないし、ある程度の覚悟はできていたのだけれども、あまりの夢の完敗ぶりに、さすがにショックを受けたとも言える。
結論。女は男がいて女である。実に単純で明快な真理であった。
君たちにとって、私は君たちのお父さんと同世代であるからして、もうすでにいわゆる男ではない…それは分かっていたが、それにしても、見事に君たちには(一般的に言われる)女らしさがなかった。潔いほどだ。この歳になって、世の真実を知らされた気分である。
いや、そういうことを教えてもらっただけでも感謝すべきだし、いやいや、それ以前に仕事的にはとても楽をさせてもらったので、本当にありがたく思っている。
少し変なやつもいたが、基本的には世話がやけないクラスだった。勉強も勝手にしてくれた。行事などにも積極的に参加するし、面倒な人間関係の問題なんかもほとんどなかった。
だから、私の仕事と言えば、君たちに頼まれて本やCDを注文すること、CDをiPodに入れてやること、メイド服を揃えてやることくらいしかなかった。あとは加齢臭が臭いとか、ウ○コ以下だとか言われていじめられることくらいだろうか(これも立派な仕事である)。
ま、そんなこんなで、君たちは、私の教師人生の中でかなり濃い記憶として残るに違いない。
あと数週間でセンター試験、そしてそれぞれの入試があり、あっという間に春が来て卒業、進学ということになる。
こんなことを言うと、また気持ち悪がられるに違いないが、実はここに来て、ちょっと私は切ない気分なのだ。私はもうちょっと君たちと馬鹿な話で明るく笑っていたいのである。
私もそれなりの年齢になったのだろう。なんとなく娘を嫁に出すような気持ちなのかもしれない。卒業式で泣かないよう頑張りたい。
ps ウチの生徒たちの頑張りの結果はこちらでご覧下さい。
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コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
皆様 御幸せな御顔をなさっておられます。
御卒業 誠におめでとう御座います。
素晴らしい先生との出会いがあり
生徒様方 本当に御幸せで御座います。
合唱おじさん 頓首百拝
投稿: 合唱おじさん | 2009.03.02 20:37
合唱おじさん様、おはようございます。
生徒たちは本当に日本一幸せな高校生活だったと思います。
私以外の先生方のおかげですよ。
本人たちも私には何の恩義も感じていないようです(笑)。
少しは「仏様の指」に近づいたかな…な〜んて。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.03.03 10:02
前略 薀蓄庵御亭主 様
薀恥庵御亭主様も素晴らしい先生との
出会いがあられたのですね。
とても御幸せなことです。師匠は・・・
「葬儀の導師をする時 亡者はお前の
親だと思って司(つかさど)れ」
が口癖でした。苦笑
医師も教師も・・・そして坊主も・・・
接する御方々が自分の「親」「息子」「娘」
と思って接することが・・・
何よりも大切だと感じています。
合唱おじさん 頓首百拝
投稿: 合唱おじさん | 2009.03.03 10:29
ご卒業おめでとうございます!
旅立つ方より、残される方が寂しいものですね。
>結論。女は男がいて女である。実に単純で明快な真理であった。
私は高校の三年間を男子クラスで過ごしました。その経験から言うと、男は女が居なくても男でありました。入学当初こそ、クラス内に女子が居ないことを嘆いたものですが、あっけらかんと本当に充実した楽しい三年間でしたね。これが全くの男子校だと話は違ってくるのかも知れません。
そういえばアメリカでは、共学でありながら実験的に授業を男女別クラスに分けて行う学校が増えてきたとか。男子と女子では指導法を変えた方が効率よいそうです。例えば男子クラスだと、少し生徒間の競争心を煽ってみたりとか、女子クラスだと物事を解決する手段をいくつも提示して、好みの方法をとらせる方が馴染むのだとか。
ま、色々問題もあるのでしょうが、私の母校の先生方も、「男子クラスはやりやすい。」みたいなことを当時言ってた記憶がありますね。
投稿: LUKE | 2009.03.04 02:30
合唱おじさん様、おはようございます。
3年間担任してますと、本当の家族よりいっしょにいる時間が長くなりますから、もうほとんどファミリーですね。
きっと、彼女たちの結婚式で泣いちゃうんでしょう、私。
LUKEさん、ありがとうございます。
ハハハ、私も共学校の男子クラスでしたよ。
たしかに、男は女がいなくても男でしたね(笑)。
現場でも、とにかく男子クラス、女子クラスの方が圧倒的にやりやすいです。
最近また男子校、女子校が人気ですね。
いずれにしても、遠くで眺めてるのが一番幸せかも(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.03.04 07:53
くだらないコメントで申し訳ないのですが、後藤久美子ですが、私の認識では多摩大学付属聖ヶ丘校だったと思うのですが。。。。。。。確かにあの学校には、結構しっかりした観測室と望遠鏡がありますよね。
ちなみに私にとってのゴクミは、寅さんの甥の満男のマドンナの泉です。かならずしも演技は上手いと思えなかったけれど。。。。。
投稿: 石野 | 2009.03.06 11:22
石野さん、お久しぶりです。
全然くだらなくないですよ。
そのとおりです!大正解!
おかげでリアリティーが増しました(笑)。
生徒は、ゴクミって誰?アレジって誰?ですからねえ。
ジェネレーション・ギャップを感じますね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.03.06 14:21