コーヒールンバの謎
今日は村の芸能発表会という渋いイベントに参加してきました。いちおう、歌謡曲バンドふじやまのミニライヴということで、一昨年以来の参加です。お客様はお年寄りの方々がほとんどですので、そんな皆さんに楽しんでいただけるよう、美空ひばりを中心に、昭和の歌謡曲を数曲演奏しました。
前回は上の娘が、そして今回は下の娘が初舞台を迎えました。彼女は、オープニングでリンゴの唄の1番を歌ったんですけど、マイクの調子が悪く、会場に声が聞こえなかったようでした。おかげで、心配した(可哀想に思った)客席のおじいちゃん、おばあちゃんたちが歌ってくれまして、のっけから盛り上がってしまいました。怪我の功名。
さて、そんな中、大人だけで演奏した曲の一つが、この「コーヒールンバ」です。ウチのバンドは基本コピーから入るんですが、どうもこの曲はコピーがしにくいんですよね。というのはですね、上のYouTubeを聴いていただければ分かると思いますけど、なんとも不思議なんですよね。
これは、関口宏さんの奥様であられる西田佐知子さんによる歌唱であります。これが日本では定番となっています。日本での、のちの多くのカヴァーも、この演奏を出発点としているようです。
日本ではコーヒールンバという名前ですが、純粋なルンバのリズムではありませんね。このリズムは原曲でも用いられています。原曲「Moliendo Café(珈琲を挽きながら)」はベネズエラのペローニ作曲。ペローニの甥っ子のウーゴ・ブランコによる演奏でヒットしました。下のものがその演奏です。
西田バージョンより、ちょっと早くなっていますけど、基本的なリズムは共通しています。このリズムはブランコのオリジナルだそうで、オルキデアというものだそうです(よく分かりませんが)。
両者を聴いてすぐに気づくのは、特徴的な打楽器のリズムですね。コンコン(キンキン)という、日本の拍子木のような「クラヴェス」の音が聞こえるでしょう。ラテンのみならず、いろいろな音楽でおなじみのシンコペーション五つ打ちです。しかし…。
この楽譜は、西田バージョンでの、メロディー(ギターによるイントロ)に入ってからのリズムです。もうお気付きの方もいるかもしれませんが、その前のベースが「ミレドシ」とやっている所(ちなみにこのミレドシの音程がめっちゃ悪い!)と、ウーゴ・ブランコのオリジナル全体は、1小節目と2小節目のリズムが逆になってますね。2+3になっています。なんか不思議ですね。
さらに、このクラヴェスのリズムがですね、西田バージョンではちょっと不思議なことになってるんです。もう一度、西田バージョンを聴いてみてください。なんか微妙にリズムがすれていませんか?なんか、少しずつ段々ずれてくる。
これって、ダビングの際、テープスピードが一定でなく、結果として微妙にすれちゃったんですかね。それをそのままレコードにして売り出して、そして定番と言われるほどヒットしたわけですから、不思議ですね。デジタル時代では考えられないことです。似たようなケースとして、以前紹介したサザエさんのオープニングがあります。どちらも完璧に直してしまうと、独特の味わいが消えてしまうのでしょう。
というわけで、この曲は完璧にコピーすることは不可能です。あの微妙なずれに関しては、ウチのバンドの優秀なパーカッショニストでも無理とのこと。単に下手でずれるのとはなんか違うんだよなあ…。
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