むすぶ
UインターすなわちUWFインターナショナルについて、ちょっと復習というか勉強しなくてはならなくなりました。プロレスを語る時、彼らの存在は避けて通れませんからね。ちょうどいい機会です。
で、たとえばこの「インターナショナル」という言葉ですが、まあ「国際」などと訳されることが多いじゃないですか。ま、「国際」という言葉に抵抗があって、「世界」と訳す場合もありますが。
そうそう、今年は「世界天文年=International Year of Astronomy」なんですよね。ガリレオ・ガリレイが、望遠鏡を発明して、初めてレンズを通して宇宙を観測したのが1609年だそうで、それから400年のメモリアル・イヤーなんだそうです。で、「国際天文年」ではなく「世界天文年」と訳したと。
もともと、「international」とは「複数の国家間の」という意味です。「inter」は、辞書によれば「…の間」とか「相互に」という意味があるようですね。「nation」は国ですから、「international」はそういう意味になります。
ただ、私の語感としては、「inter」は「結ぶ」というイメージが強い。インターチェンジとか、インターネットとか、インターハイとか、インターフェイスとか。
音楽で「インタープレイ」という表現も使いますね。親密なアンサンブルです。これも単に相互とか、複数でというより、強い紐帯の存在を予感させます。
で、日本語の「むすぶ」という言葉を考えてみますと、ちょっと面白いことに気づきます。
御存知のように、日本語の「むすぶ」にはいろいろな意味があります。大きく分けると四つの意味でしょうか。
まず単純に「紐を結ぶ」や「縁を結ぶ」のように、離れた複数の存在をつなげる意味がありますね。二つ目は「実を結ぶ」や「草庵を結ぶ」のように、形を成すというような意味。三つ目は「文を結ぶ」や「結びの一番」のように何かを完成、終結させるという意味です。
そして、一番面白いのが、上の三つを総合したような「生む」という意味です。日常生活ではあまりそういう意味は意識されませんが、実は日本人の最も根源の部分にかかわる意味なのです。
古事記をひもときますと、最初に天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)が現れます。そして、次が高皇産霊神(たかみむすびのかみ)そして神皇産霊神(かみむすびのかみ)が現れます。この三神は「造化の神」と言われ、いずれも創造・生成を司る神とされています。
ここに現れる「むすひ」という言葉は「生む」「むす」+「霊」だと説明されることが多いのですが、私はなんとなく「むすぶ」という動詞の連用形「むすび」だと思っています(あまり根拠はありません)。
たしかに、我々は互いに結ばれて新しい生命を生み出します。また、実際の生命に限らず、いろいろな力が結びついて新しい価値が創造されたりしますよね。
そう、昨日のコバケンの記事やダンスの記事、そしてプロレスの記事でもわかるように、幸せな結合が生む「愛」「芸術」「感動」こそ、生きる「歓び」であり、「面白さ」ですね。
そうそう、また話がどんどんそれますけど、「ライスボール」のこと、皆さんはなんと呼びますか?「おむすび」ですか?「おにぎり」ですか?
この両者の違いについてはいろいろと説があります。西日本は「おにぎり」、東日本は「おむすび」というシンプルな説。「おにぎり」の方が古くて、「おむすび」は女房言葉だという説。そして、「おむすび」は三角形、「おにぎり」は丸という説。あるいはその反対で、「おにぎり」は三角形で、「おむすび」は俵形という説。もう何がなんだかわかりません。
でも、最近はですね、コンビニで「おにぎり」が売られるようになったからでしょうか、「おにぎり」が優勢なようです。
私はなんとなく、自分の持つ「むすぶ」という言葉のイメージからか、お母さんの握った「愛」のこもった「おむすび」、命の源である「おむすび」が好きなんですけどね。時代は「愛」より「手軽さ」を重視するのでしょうか。
実は「おむすび」が三角形というのには、実は深い意味があるとも言われています。先ほど書いた「造化の三神」を象徴しているというのです。「握り飯」ごときに世界創造の神を見る日本人、とっても素敵ですね。あっ、そうだ。「ライスボール」じゃ、球形ですね。英語じゃ神は宿らないということですか(笑)。
今日は話がメチャクチャでしたね。ごめんなさい。
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コメント
東日本ですが、
秋田では にぎりまま です(゚▽゚*)
にぎりまま けれ。
(おにぎりをください。)
投稿: 庵主セコンド | 2009.02.17 17:01
ふむふむ。
たしかにそう言ってましたな。
で、秋田語では「むすぶ」という言葉の意味はどんな感じかな?
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.17 17:04
契約をむすんだ。などとは言いますが
一般的には登場せず、最初で最後の機会に
童謡の"むすんでひらいて"を歌う時があります(・∀・)
投稿: 庵主セコンド | 2009.02.17 17:36
では、紐を結ぶというのは何というのかな?
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.17 17:51
前略 薀恥庵御亭主 様
「おむすび」は日本の至宝ですね。
母と子の絆を結びとめたり
村の農作業の仲間を結んだり
遠足で友達の輪を結んだり
旅の空で家族を懐かしんだり
まぁぁぁぁ・・・最高ですね。笑
まさに・・・
「おむすび」は最高芸術作品です。
芸術といえば・・・・
最近では「おくりびと」を
映画館で家内と観にいった時・・・
館内が一体化しておりました。ハイ。
笑うも一緒 泣くも一緒。
大爆笑であり・・・大嗚咽であり
愚僧は初めての体験でした。
確かに素晴らしい作品でした。
館内を「感動の輪で結んだ作品」でした。
えぇぇぇ・・・それから・・・
ミュージカル「ミス・サイゴン」では
市村正親様の演技力によって観客と演者が
「完全結束化」致しておりました。笑
芸術というものは「ひと」と「ひと」
の「縁」(えにし)をむすぶ舞台なのでしょう。
「おくりびと」といい「ミス・サイゴン」
といい夫婦の絆をしっかりとむすびなおして
くれたものと感謝いたしております。
合唱おじさん 頓首百拝
投稿: 合唱おじさん | 2009.02.17 18:05
純粋に紐自体を結ぶときは、
する、かなあ。このごろは結ぶと言うかもしれないけど。
靴の紐をちゃんと結びなさい。=靴の紐っこ ちゃんと せ。
投稿: 庵主セコンド | 2009.02.17 18:06
合唱おじさん様、こんばんは。
そのとおりです。
エンターテインメント(entertainment)は間(enter=inter)を取り持つ、保持する(tain)という意味ですよね。
まさに結びつけだと思います。
なんか、このコメント欄でウチの夫婦もやりあっております。
もうすぐウチで会うというのに(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.17 18:12
セコンドよ、もうすぐ帰るので、続きはウチで。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.17 18:13
はっはっは。お父さんだって、おむすびこさえちゃうよん。計ったように正三角形の角の立ったおむすびを、同じサイズで量産出来るのであった。嫁が面白がります。過酷な居酒屋でのバイト経験が、私を悲しいおむすびマシンに変えてしまったのさ。
>セコンドよ、もうすぐ帰るので、続きはウチで。
む。結構興味深い会話だったのだが。二人だけの秘密なのだな。ちっ!
投稿: LUKE | 2009.02.19 04:42
LUKEさん、おはようございます。
なるほど、失礼いたしました。
おとうさんのおむすび…最強ですね。
それも正確な正三角形。
まじかっこいいです!
プロっぽいなあ。
セコンドとの会話ですが、
実は帰宅後、方言と文化を巡って大げんかになってしまいました。
子供たちが止めに入るほどの…笑。
犬も猫も食いませんよ。
ここで会話しとけばよかった。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.19 08:38
>それも正確な正三角形。
>まじかっこいいです!
あまり美味しそうに見えないのが弱点です。
>方言と文化を巡って大げんかになってしまいました。
なんて高尚な夫婦げんかなんでしょう。
ウチなんか思い出しても何で喧嘩したのか分からないほどですからね。
投稿: LUKE | 2009.02.21 02:11
LUKEさん、こんにちは。
いやあ、なんか正三角形って、男らしくていいですよ。
なんとなく武士道っていう感じ…。
ウチの夫婦げんかも全然高尚じゃないですよ。
方言と文化…なんて書きましたが,結局お互いの性格批判でした(笑)。
ははは。
性格を文化のせいにしちゃいけませんねえ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.02.21 11:27
おにぎりに一票!
秋田の田舎では(秋田でも、都市部と街と田舎の区別がある)、『にんぎりまんま』と呼んでました。
直訳すれば、握り飯。
一口かめばホロッと崩れるような上品な握り方ではなく、野外でもこぼさず食べられるよう、しっかり(笑)握られてました。
投稿: の・いそじん | 2012.03.14 04:50