『ヘンデル:王宮の花火の音楽/ヴェッキ:シエナの夜祭』 モントリオール・パロック他
Music for the Royal Fireworks, HWV 351
Montreal Baroque/Matthias Maute
NMLのトップページで推薦されていたので、聴いてみました。
今年没後250年を迎えるヘンデルの代表曲の一つ「王宮の花火の音楽」。その初演当時の編成を再現した演奏です。すなわち、次のような管楽器&打楽器編成ということです。
オーボエ24、ファゴット12、ホルン9、トランペット9、ティンパニ3。
古楽器でのこのような編成の録音は、ピノックやゼフィロによるものなど数枚あったと思います。
あと、いわゆる吹奏楽版というのは腐るほどありますし、実はワタクシめも二十年ほと前にある大編成吹奏楽バンドでこの曲と水上の音楽の指揮をしました。ありゃあひどい演奏だったな(笑)。後にも先にも指揮というものでステージに上がったのはあの時だけですな。あれでトラウマになっちゃった。
おっと、そんな話はいいとして、いやいや待てよ、やっぱりあの経験からいわゆる吹奏楽の世界が嫌いになっちゃったんだよなあ…。で、数十年経って、ようやく最近金管楽器トラウマから解放されつつあります。
そう、ここ数年、金管楽器を含む大きなオリジナル楽器オケで弾く機会が増えまして、やっぱりあのトランペットやトロンボーン群がパーンと鳴った時の、ゾクッとするあの感動はたまりませんね。演奏していても毎度鳥肌が立つんですよね。
特にヘンデルはそのへんをしっかり解っていて、金管楽器の扱いがうまいと感じます。おいしい所をおさえてくる。なんかとっても感覚的な表現ですけれど、とにかく演奏していて楽しいんですよ。最近で言えば、水上の音楽やメサイアをやりましたが、金管楽器の入るタイミングといい、パッセージといい、絶妙ですね。ある意味職人的な作曲だと思うわけです。
ああいう、演奏者のゾクゾクっとする感覚って、たぶん聴衆にも伝わってると思うんですよね。その点、バッハは辛いんだよなあ…。その辛さもちゃんとお客さんに伝わってるかな(笑)。あっ、マニフィカトはけっうこ良かったな。調性がちょっといやでしたが。
それでこの演奏ですが、さすがに迫力ありますね。もちろん、生で、それも野外で花火と一緒に聴いているわけではありませんから、ホンモノの迫力ではありませんが、録音からもそのエネルギーは想像されますね。
けっこうテンポも速めでして、どうでしょう、野外だったらこうも行かなかったかもしれませんが、しかし、野外はある意味残響がありませんから、案外速めのテンポで攻めたかもしれませんね。
このバンドはカナダの団体です。最近カナダのオリジナル楽器演奏、よく耳にしますが、なかなかいいですね。やはり、イギリスとフランス、双方の伝統が自然に融合している国ですから、ある意味有利かもしれませんね。
考えてみると、この「王宮の花火の音楽」は、ちょうど260年前の4月、オーストリア継承戦争の終結を祝う祝賀行事の中で演奏されたんですよね。オーストリア継承戦争と言えば、イギリスとフランスが中心になってやりあったんじゃなかったかな。で、たしかカナダでもイギリス人とフランス人がケンカしたとか。うむ、それがこうして今、カナダでイギリス系とフランス系のカナダ人たちを中心に演奏されるというのは、なかなか面白いですね。それにしても、よくこんなにたくさん管楽器奏者を集めたな。バロック・オーボエ24人集めるのはけっこう大変そう。いや、ファゴット12人の方が大変かな。
ちなみにカップリングのヴェッキはずいぶんと年代も遡りますし、どうして一緒に収録されているのかよく分かりません。いちおう「夜祭」だからでしょうかね。それにしても、全然雰囲気が違って、ちょっと続けて聴くのには抵抗があります。不思議なセンスだよなあ…。ピノック盤やゼフィロ盤のように、他のヘンデルの作品を入れるのが常套だと思うんですけど。
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