「儲」…漢検協会やるな!
↓信者?
昨日のニュースで、「漢検協会、儲けすぎ」というのがありました。なんでも資産73億円もあるのだとか。いよいよ文部科学省が立ち入り調査するらしい。そして、今日はまた、理事長の企業に8億円の事業を委託していたとして指弾されておりました。トホホ。
どこかにさりげなく書いたんですよね、私も。漢検、妙にセールスに熱心だって。気持ち悪いくらい電話がかかってくるんですよ。仕事柄お世話になってるんで、あんまり悪口言えないなあと思っていたんですが、おおっぴらになったので言っちゃいます。漢検協会さん、逆恨みしてウチの学校の答案辛くつけたりしないでくださいよ…と先にクサビを打っておく(笑)。
まあ、サービスと言えばサービスなんですけど、京都弁の(協会の本部は京都にある)カワイイ声の女性からいつも電話がかかってきて、なんか気持ち悪いほど丁寧にいろいろなことを確認してくれるんです。最初は、ずいぶんしっかりしてるな、くらいにしか思わなかったし、たまにこういう舞妓さん(違う違う!)と話するのも悪くないなって思っちゃってたんです。でも、回が重なると、ちょっと不審に思うようになってきた。
どうも、公益事業の協会らしくないなと。妙にこなれている。マニュアル通りな気もするし、だいいちこんなカワイイ声の人たちばかりいるはずがない(いつも同じ舞妓さんなのかもしれないが)。そうとう受検者集めに力を入れてるなと。これでは、あのマンション経営や某出版社の勧誘と一緒ではないかと。
漢字検定の料金は最近値下げされたとか言ってますが、正直高い。私は生涯2回だけ漢検を受けてます。そう、一昨年の初受検にして1級玉砕と、昨年の準1級満点合格計画失敗です。この2回だけで、私は漢検協会に1万円以上上納しております。たしかに高い。あんな紙キレのためにね。
そうそう、今週末ウチの学校が英検の会場になるんですけど、英検は実施にもいろいろと手間がかかるし、人手もいるんですよね。見ているとよく分かります。そして、2級以上は面接試験もありますから、これはある程度受検料が高くなってもいい。
しかし、漢検はですね、1級でも筆記だけですし、いろいろな手間や資材は、どの級でもそれほど変わりません。なのに、2級から突然倍以上の受検料になったりする。これはおかしいと思っていました。
私はこの前書いたように、近代ヤクザを否定しない人間なので、あえてこういう言い方をさせていただきますが、はっきり申して漢検協会のやり方はヤクザなやり方です。公益、教育、公認、正式、公的などの「漢字」を振り回し、クリーンでノーブルな「感じ」を売りにして、じゃんじゃん稼ぐ、どんどん儲ける。
ただですね、困ったことに、そういうヤクザな商売の下っ端として、我々国語科の教員が雇われ、そして養われているという事実があるんですよ。まあ、どこにでもそういう構造というのはあるとは思いますけど、あえて具体的に書いちゃいますと、つまり私たち教員は、生徒に漢検を受けさせるとですね、報酬をいただけるんです。つまり一人当たりなにがしかの手当てをいただける。もちろん、それは監督料とかなんとか言う名目になるわけですが、まあ実態はリベートですね。我々みんながそういう意識で、つまり、漢検協会の鉄砲玉みたいになってるわけじゃありませんが、お金が回ってくるのは事実です。
片棒担いでいるのはたしか。教育という名のもとでこういうことが行われているのは、これはいかんですな。困ったものです。というか、やりすぎ、調子に乗り過ぎはいかんということです。
で、こういう構造というのは、利益の追求を目的にしている企業には普通に見られますね。それはいいんです。現行の経済システムでは、それが許されるので。法に引っかからない限りにおいて、人を(ある程度)だまして、人を使って、人を集めて、お金を回収するのが一番手っ取り早い。
そうするとですね、これはまさに宗教の勧誘にも近くなってくるわけです。作られたイメージと勧誘。つまり、漢検に関して言えば、「漢字」が神格化され、そこに信者がたくさん集められていたわけですね。そして、神=お上(実際は紙)からの証明書をいただくためにたくさんお布施をしているということです。
ここで、あえて「漢字」で勝負しますよ。もうけると読む「儲」という漢字、これは「イ(にんべん)」に「諸」がついた漢字なんですけど、ちょっと切り口を変えてみますと、「信者」と読めますね。このいかにもイカサマな説明は、よく経営セミナーなんかで使われる、それこそ胡散臭いフィクションなんですけど(いや、真理をついてるのかも)、まさに漢検教会…いやいや協会は「信者」を集めて「儲」けすぎたのかもしれませんね。
本来の「儲」という漢字は、利益を得るというよりも、「たくわえる」という意味です。ということで、漢検協会が発表する「今年の漢字」、2009年は「儲」で決定ですね(笑)。
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コメント
諸事うるさい昨今では、国公立学校の先生はひやひやしているかも。
OSCIという大学間共通実技試験の試験官で、他の大学から日当や交通費をもらうときでも、いろいろな書類の提出が必要でしたよ。
投稿: 貧乏伯爵 | 2009.01.24 22:27
世の中にある数多の「~検定」なるもの。大抵は何の役にも立たないものであるが、それ以前に、その検定とやらを実施する主宰団体も、何を根拠に自信を持って検定を仕切っているのかよく分かりませんね。先駆というより、殆ど言い出しっぺというか思いついた人が、勝手に権威付けしているとしか私には見えません。
世の中にある数多の「~免許」なるもの。大抵はわけの分からぬ財団法人のもと、天下りの役人どもを養う集金システムにしか見えないのは私だけでしょうか。
資格とかそういうのを有り難がる人多いから、儲かるのでしょうね。...漢字検定なんて、自分で漢字辞典一冊買って、全部覚えたら名人ってことにして、「俺80%だから、2級にしとくかな。」で、何か問題有るのでしょうかね?(゚ー゚;
投稿: LUKE | 2009.01.25 04:30
伯爵さま、どうもです。
そうですね、きっとヒヤヒヤものでしょう。
そういう古き良き時代(笑)は終わっちゃうのでしょうか。
「先生」業はどこもこれから大変でしょうね。
ま、普通になるとも言えますが。
LUKEさん、おはようございます。
まったくその通りですよ。
でも、現場ではやはりつい利用しちゃいます。
助かりますから。
ま、一つのご褒美みたいなもんなんでしょう。
人はなぜか「権威」みたいなものを欲するんですね。
しかし漢字検定っいうのは変ですよ。
一番役に立たないでしょう。
本家中国人よりマニアックな漢字知ってますからね、日本人は。
と言いつつ、私も勉強しちゃったんですけど。
全く役に立ってませんし、不快な思い出です(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.01.25 09:19
毎度悪気はないのですが、ついつい批判めいたコメントを書いてしまうのは、悪い癖でもなんでもなくて、単にディベートを楽しんでいるだけなのです。どうかご理解下さい。
>現場ではやはりつい利用しちゃいます。
>助かりますから。
それで良いんだと思いますよ。今回の件は要するに、利用者(庵主様のように、あえて乗っかった人も含めて)が結果的に漢字検定の価値を高め、バブルが弾けてしまっただけの話でしょう。検定料が高いと言っても、皆がその価値を認めていなかったら、73 億円ものプールは出来ませんもの。で、冷静になってよく考えたら、そこまでの価値はなかったなと。
>一番役に立たないでしょう。
あの、前回のコメントと矛盾しているようですが、私は役に立たない勉強こそ貴いと思っています。
>と言いつつ、私も勉強しちゃったんですけど。
結局そうやって面白がってやる勉強が一番。
>全く役に立ってませんし、不快な思い出です(笑)。
貴い経験ですよ。ブログ書くにも役立ってるようですし。ψ(`∇´)ψ
投稿: LUKE | 2009.01.25 23:49
LUKEさん、全然気にしないでください。
私の書けないことも書いてくれるので、それこそ助かってますよ(笑)。
漢検は全く役に立ってないのですが、なんだか時々また受けたくなるんです。
とっても苦痛だったんですけど、なんというか、あの無駄な、ほとんど無意味なことを一生懸命やりたいと、なぜか思うんですよね。
ある意味現実逃避の手段かもしれない。
考えてみれば、受験勉強なんてみんなそんなもんかも。
今、まさにウチのクラスの娘っ子たち、その無駄なことを一生懸命、しかし楽しそうにやってます。
今が3年間で一番楽しいとか言ってますから、大したものですよ。
意味とかでなく、単に与えられたタスクをこなすというのも、実は面白いゲームみたいなものなのかも!
で、悔しさとかもあるんで、習慣性というか、麻薬性があると。
そして、ついついヤクザに貢いじゃうんでしょうかね(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2009.01.26 18:14
今さらですが当時学校の先生方に電話してたのは、協会がその為にだけ雇ったバイトです。確か時給1300円くらいですかね。派遣会社経由なんで協会側はもっと支払ってるでしょうけども。検定で儲けたお金で似合いもしないブランド物のスーツや靴でレースクィーン連れてファーストクラスで海外に行ったり良い御身分でしたよ。副理事長さんはね。
投稿: 通りすがり | 2014.04.03 22:06