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2008.12.19

地域発!どうする日本「変わる義務教育 学ぶ力をどう伸ばす」 (NHK)

1 放送されていた生番組。公立小中学校での取り組みが紹介されていました。私立に勤めるものとして、それなりに興味深い内容。
 ま、私たちから言わせると、公立で行われる新しい取り組みや改革は、私立の二番煎じがほとんどなんですけどね。だいたい10年くらい遅れている。
 ただ、それはそれで脅威ですよ。だって、同じサービスを格安で提供されたら、こっちはさらなるサービスをしなければならなくなるわけですから。
 おかげで私学もどんどん良くなっていくので、結果として子どもたちや親御さんにとっては悪いことではないのかもしれませんが。まあ忙しくなっていくのはたしかですね。そして、家庭の役割までサービスしなければならないというのは、本末転倒というか、なんというか…。
 さて、今回の番組の冒頭は、やはりあの対立構図でした。秋田vs大阪。まるで桜庭和志vs秋山成勲みたいですよね(笑)。秋田がベビーフェイスで、大阪がヒールみたい。
 そう、あの全国学力テストの成績で軒並みトップクラスだった秋田県と、ボトムだった大阪府の学校や家庭の様子が紹介されてましてね、なんだか正直大阪が可哀想なほど秋田が美化されていて、ちょっと笑ってしまいましたよ。
 秋田側は東成瀬中学校が紹介されました。少人数制によるきめ細かい指導と家族が一丸となった家庭学習。うん、たしかに理想的に映りました。
 ただどうでしょうね。桜庭がIQレスラーとか言われて、本人がこそばゆい思いをしているのと同じで、決して秋田が特別なわけではないはずです。番組で映っていた先生を見て、「あっ同級生の○○くんだ!」と叫んでいたウチのカミさんや、東成瀬のすぐ近くで中学校教師をしているカミさんの妹夫婦によれば、実際かなり気恥ずかしいらしい。最近はやれ視察だなんだと全国からいろんな人が来るのだと。大変ですよね。そういう時は慣れない標準語を使わなければならないでしょうし(笑)。
 私もですね、秋田を愛する者として、あえて言いますが、秋田の成績が高い理由にはいろいろなからくりがあります。もちろん、純粋に勉強量が多いとも言えますよ。なにしろ娯楽がありませんから。大阪や東京のような誘惑はありません。特に冬場は雪に閉ざされますから、正直ひきこもり率が高くなります。自然机に向かう時間は増えるでしょう。実際朴訥でまじめ、そして忍耐強い人たちが多いし、勉強して成り上がろうという、豊かな都会への反骨心も強いかもしれない。
 ただ、やっぱりそれだけではありません。ちょっと意地悪に言いますとですね、少人数制というのは「制度」ではなく、実際は過疎化の結果だったりします。ウチのカミさんは6年間1学年4人だったそうです。超少人数制ですな。たしかにきめ細かい指導が可能…と言うかそれしかできない(笑)。
 あと、あの学力テストは私立の参加率が低いじゃないですか。で、都会でははっきり言って上位層はみんな私立に行くわけですよ。だから、どうしても平均点は低くなる。その点私立の極端に少ない秋田県は上位層がみんな公立に行きます。だいいち、私立が公立より上位とは言えない実情ですし。
 そんなこんなで、全体としては田舎が有利、都会が不利となるのは、本当の「考える力」を持っている人なら簡単にわかることだと思うのですが。だいたいが、学力1位の成れの果てが自殺率1位ではたまりませんよね。しゃれにならない。ま、かたや犯罪数1位ですけど(笑)。
 中山さんが言っちゃって物議を醸した、「日教組が強いところは学力が低い」というのも、もちろん一理あります。ああいう集団の逆説的存在意義は認めますが、原理主義こそ「考える力」を殺すものであるというのも事実ですから。
 …と、なんかずいぶんと毒舌になってしまいました。反省してもう少し毒舌を吐かせていただきます(笑)。
 今日はゲストとして、茂木健一郎さん、金子郁容さん、本田由紀さん、牧野剛さんが参加されていました。一番まっとうな意見を言っていたのは牧野さんでしたね。さすがでした。本田さんは、母親としての素直な気持ちが、学者としての気持ちよりも優先していてよろしかった。金子さんもまあ理想的なことをおっしゃっていましたね。ちょっとエリート臭がしましたけど。そして、一番はしゃいでいたのは、やっぱり茂木さんでした。ぜひ、イチローと中継を結んで、ガツンと言ってやってもらいたかったっす(笑)。
 皆さん一様に「大学入試が目標になるのはよくない」みたいな話をしていましたが、皆さん東大や慶應をお出になっているので、あんたたちに言われたくないよ、と思いました。その点、そういうことを仕事にしつつ(河合塾の講師ですね)、大いに矛盾に苦しんでいる、つまり、受験勉強はダメだ!こうするべきだ!とは言い切れないで悩んでいる牧野さんが一番立派に見えました。同じような仕事をしていて、同じような悩みに常にさいなまれている私は、強く共感したのでした。学者はダメだなあ。特に教育学者は…。

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