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2008.12.09

『悔しさを、情熱に〜バレエダンサー・岩田守弘』(NHK プロフェッショナル 仕事の流儀)

Iwata リショイバレエ団で、初の外国人ソリストとして大活躍の岩田守弘さんが本日のプロフェッショナル。
 まずはその卓越した技と表現に驚きました。年齢による衰えなど微塵も見せない、そのキレの良さと迫力に圧倒されました。
 なるほど体が小さいからこそできること、見せられることというのがありますね。それを徹底して追求したからこそ、世界一の場で世界唯一になれたのでしょう。
 考えてみれば、岩田さん、日本人としても小さい方ですからね。普通ならとっくに諦めてしまうでしょうし、自らボリショイに乗り込んでいこうとは思わないかもしれません。
 インタビューを聞いたり、岩田さんのブログを読んだりして印象に残るのは、彼が「自信」と「謙虚さ」を両方バランスよく持ち備えていることです。これは案外凡人には難しい。自分と他者を同等に愛する、大切にするというのは、実はとっても難しいことだと思うのです。昨日の「悩む力」ではありませんが、大概の人間の悩みというものは、そこのところのバランスの悪さから生じるものなのです。
 もう一つ昨日の記事に関連して印象に残ったのは、彼が「悩み」や「苦しみ」を成長そのものだととらえている点です。もちろん、私のような怠け者の話とは次元が違いますが、こんなことを話していました。

茂木さん「芸術家の本能として、苦しさをあえて求めるみたいなところがあるんですか?」

岩田さん「ありますね。いい。うん。苦しければ苦しいほどいい(笑い)。そうすると、磨かれてくるんじゃないですか、外からも中からも。人間っていいことが重なっている時って、結果はでるけれど、成長していないと思うんですね。悪い時に絶対成長してる…悪い時というのは、ご褒美、宝物なんですね。そういうのを得てきて、ずっと続けている人が、本当に人を感動させられる踊りをする人たちだから…そういうふうに生きたい」

Photo01 やはり、「悪い時」をこのようにプラスに考えられる、とらえられる人が一流になっていくんですね。我々凡人には、そういう意味での「悩む力」がない人が多いんじゃないでしょうか。これはもちろん誰しもができることではありません。まずは、そういう実感、苦しみの末成長した自分を認める経験が必要です。それをどういう場面で、どういうタイミングで経験するかが、人生にとっては非常に重要なポイントになりますね。
 そういう意味では、今私のクラスの生徒が真っ只中にいる、いわゆる受験というものも、決して悪い経験ではないと思います。最近も同僚とよく話すのですが、受験を通じて、短期間に見違えるほど成長する生徒がたくさんいるんですね。それに関われる、携われるのが私たち教師の喜びだったりします。
 さて、最後に全然バレエとは関係ない話。この番組のテロップで、何回か「〜づつ」という表記が見られました。もちろん、これは現代仮名遣いでは「〜ずつ」と書かねばならないところです。この番組では、以前、こちらでアクセントのことについても苦言を呈しました。NHKさん、プロフェッショナルな仕事をしましょう(笑)。

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