『永久保存版 昭和の歌姫 美空ひばり』(NHK BS2)
いやあ…やっぱりいいわ。すごいわ。これは超えられないわ。
昨日「完本 美空ひばり」を読んで臨んだこの番組。本当に素晴らしかった。純粋に音楽としても最高級ですけれど、もちろんそれだけでなくて、美空ひばりの人生をなぞり、そして「昭和」という時代を思い返すのに最高の番組であったと思います。
この番組、6月に放映されたものですが、その日は…えっと、ああそうだ、昼間はレ・フレールのコンサートを聴き、夜はちょっとしたパーティーに参加していたんだった。で、見忘れてしまったんですね。
でも、こうして年末に昨日のあの本を読んでから観られたことはラッキーだったとも言えましょう。年の瀬、今年一年を振り返り、そして今は遠くなってしまった昭和をノスタルジックに思い出すには最高のシチュエーションだったかもしれません。
ちなみにウチの8歳の娘は実にマニアックで、この番組を微動だにせず食い入るように見入っていました。なんか白黒の昭和の映像とか大好きなんだよなあ。大丈夫か?…なんて、そういうふうに両親が育ててるんですけど(笑)。昨日も「8時だよ全員集合」に感動してましたっけ。
まあ、単なるノスタルジーではなく、あの時代の芸はすごかったんですよ。大衆芸能のパワーが異常に強力だった。たしかに美空ひばりにしてもドリフにしても、いわゆる「文化人」やら「教育関係者」からずいぶんとバッシングを受けました。でも、ある意味そういう逆風もあったから、あのパワーが生まれたとも言えますね。お行儀の良いところには時代を変えてしまうような力は生じません。
そうそう、そういう意味では、こうしてNHKがさかんに美空ひばりをとりあげるのも、ちょっと皮肉めいているとも言えましょうかね。御存知のように、あの「素人のど自慢鐘鳴らず事件」、そして山口組とひばりさんの関係から生まれたNHKとの微妙な確執がありましたから。
昨日の本にも書いてありましたけれど、やはりひばりさんにとってはNHKは権力の象徴、「文化人」の象徴、「教育関係者」の象徴だったのでしょうか。しかし、こうして今はそのNHKがひばりさんにひれ伏している。時代は変わりましたな。
そんな微妙な両者の関係のおかげで、NHKにはある時期のひばりの映像がないはずです。その頃の映像は民放にたくさんあるでしょう。いつか、両者の協力によって、「完全版」を作ってもらいたいですね。
さてさて、今日の番組でも本当に強く強く感じました。ひばりさんは、歌の世界はもちろん、映画や舞台など、本当に幅広くジャンルを超えて活躍したんですね。それはまさに枠にはまりきらない大衆のあり方そのものでした。好き嫌いを通り越して、そうした大衆の生きる力を結集させ、昭和という明るく希望に満ちた時代を作り上げた彼女の功績は、本当に大きかったなあと思います。
もう一つ彼女の功績として挙げられるべきは、日本の伝統的な歌を継承したということでしょうね。戦後の西洋化激しい音楽界にあって、彼女は日本の唄を歌い続け、日本の言葉を語り続けました。もちろん、ジャズやシャンソンなども歌いこなしましたけれど、それもある意味では、彼女の中の「日本」を際立たせることになったとも言えますね。実際原語で歌うよりも、日本語に訳した詞で歌う方が多かったようですし。
昭和のあの時代にこういう歌姫といいますか、歌神様が現れたのは、これはもう偶然ではないような気がします。必然的に時代が彼女を生んだとともに、彼女が時代をも作っていった。もうそういう運命だったとしか言いようがありませんね。
古き良き時代というふうに片付けたくない自分もいますが、やはり単純に実際古き良き時代なんでしょう。今年もたくさんの昭和の偉人が亡くなってしまいました。どんどん昭和は遠くなりますが、しかしまた、遠くなれば遠くなるほどに、あの時代のたくさんの大衆の姿はだんだん一つの点に近づいてゆき、まるで一つの星のように輝きを増すのでした。
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