『フェルメールの暗号〜光の天才画家の作品と生涯の謎を解く〜』 (TBS)
「文化の日」・第一生命スペシャル 世界芸術ミステリー
文化の日です。音楽、文学、美術と自然を満喫(?)。
昼間は自分たちのトリオのライヴがありました。風で楽譜が飛んだりして、まあ散々な内容でした。だいたい楽譜がないと弾けないっていうのがダメダメですね。練習不足です。
家に帰ると、ウチの障害ネコが脱走して、庭で格闘すること1時間。ひっかかれて血だらけになった末、取り逃がしてしまいました。うむ、自然の厳しさだ(笑)。結局夜帰ってきたカミさんが発見捕獲してくれましたが。
テレビではNHKが源氏物語の特集を放映しておりました。みんな語る、語る。1000年の時の中でどんどん肥大、成長してしまった「物語」。優れた芸術こそ、他者の人生を呑み込んでどんどん成長していくものです。しかし、時に大きくなりすぎてしまって、本質が見えなくなることもあります。
フェルメールに関する「伝説」や「神話」というのにも、ちょっとそういう傾向がありますね。謎が多い画家なだけに、他者の入りこむ余地が大きいということでしょう。というわけで、夜はTBSの作ったこの番組を観ました。まあ面白かったかな。
「暗号」というのは言いすぎだし、いろいろな男のドラマを混沌と紹介しすぎたために、なんとなく消化不良というかなんというか…。ふだんNHKばかり観ているので、どうしてもこういう民放的演出には抵抗を感じますね。引っぱっといて、オチがないというか(笑)。
興味を引いたのは贋作画家のハン・ファン・メーヘレンですね。彼のことはあんまりよく知らなかったので、そこのところは面白かった。たしかに「エマオのキリスト」なんか、今となってはちょっと出来すぎに思えますけど、純粋に新作として観ても充分に魅力的な作品ですよね。そう考えると、たとえば音楽にも結構贋作がいろいろあるんだろうなあとか、あるいは自分も死ぬ前に一つくらいバレないくらいのレベルのニセモノを造ろうかな、なんて思っちゃいました。なんのジャンルにしようかな…なんちゃって(笑)。
そうそう、フェルメールについては、ずいぶんと前に書いていました。この記事です。焦点距離とラチチュードの感じがカメラ(写真)的だと。今思うと、写真は写真でも銀塩じゃなくて、かなりデジカメ的ですね。
私が初めてフェルメールに出会ったのは、高校3年の時だと思います。何かの雑誌で「デルフト眺望」を観て衝撃を受けました。当時私は、まだちょっと美術的な生活をしていましたし、将来はそっち方面に行ってもいいなと思っていましたので、そのショックは実に大きなものでした。特に、画面上部に描かれた雲の陰影には、本当にひっくり返るほど驚きました。うわっ、こう来たか。印象派の模写なんかしながら、雲の描写には人一倍こだわりを持っていたものですから。
その後、バロック音楽をやるようになってからは、やはり彼の絵に描かれている楽器や、あるいは全体や細部に観られるフィクショナルなリアリズムというか、ある種の嘘臭さや胡散臭さ、物語性のようなものに興味を持ちましたね。上に貼った「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」なんか、出来過ぎですよ。今で言えば「萌え」的な要素が多すぎる。これが誰であるかなんて関係ありません。2次元アイドルみたいなものです…なんていうと不謹慎でしょうか。でも、私には非常に記号的に感じるんです。まあ、そういう意味ではイコンというかアイドルというか…。
というわけで、やっぱり今開かれているフェルメール展には絶対行かないとな、とは思いました。今回を逃すとなかなか観られないような作品も来てますからね…なんて、結局TBSの(第一生命の)意図に見事に引っかかっている自分でありました。いや、でも、ホント、フェルメールはいい。萌えだ。
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