『爆笑問題のニッポンの教養スペシャル 爆笑問題×早稲田大学』 (NHK)
平成の突破力~ニッポンを変えますか?~
東大の時と同様、最強は日芸ってことですか(笑)。まあ、ある意味そうだよなあ。
最近も日芸に行ってる教え子と話す機会があったんですけど、やっぱり異様な突破力を持ってるなと。何しろ人の力を使うのがうまい。人と関わって自分の未知の世界へ飛び込み、未知の自分をどんどん開発してしまう。ある意味「個」に対する執着がないんですよ。
いや、今回の番組、「突破力」がテーマであったのにもかかわらず、話は「個性」の方に行ってしまってましたね。で、間接的に語られましたけど、やっぱり本当の突破力って、残念ながら「社会性」なんですよね。個を活かすためには、社会への懐柔も必要なのは当然です。というか、「個」の活動の場が「社会」しかないのですから、そのリングのルールに従わねばならないのは当り前です。
私たちが「個」とか「自己」とか認識している存在は、実は他者と不二なものであり、お釈迦さまが言うとおり、「個」として取り上げてしまうと全て「空」になってしまうことだけは自明ですから、やっぱり昨日までの話じゃないけれど、いかに「個」を捨てて、他律的で社会的な自分を育てていくかといことじゃないでしょうかね。
そういう意味で、太田が最後に語った、社会に対する「表現」や「伝達」や「芸」こそが、結局「突破力」であり、「個性」だったというオチなのでしょうか。
また、早稲田のセンセイ方の話は、みんな知ってる通り一遍な話で、あんまり刺激的でなかったのに対し(それぞれもっとしゃべりたかっただろうなあ…)、太田の北野武論は面白かった。これが今回の一番の収穫かなあ。あれだけとっても、「個性」が相対的なものであることがわかります。あっ、田原総一朗はぶっとんでて面白かったか。あれはやっぱり「芸」ですね。そして、実は絶妙なバランス感覚に基づいた「社会性」だと思いました。
早稲田の学生たちは、東大よりもある意味純粋かなと。それは「痛い」という意味でもありますが、なんというか高校の延長という気もしないでもないし、案外自意識が強く子供っぽいかなとも思いました。もちろん、それがいいところですし、あの大学の魅力だと思いますが。私にとっても、生徒たちにとっても憧れの大学ナンバーワンですからね。
もう一度「突破力」の話に戻りましょうか。「個性」は実は「社会性」だったというオチは置いておいて、一般的に言われる「個性」は一般的に言われる「社会性」とぶつかることが多く、結果として「突破力」になりえないのが普通です。しかし、学生の誰かも言っていたように、たとえば太田なんかは、「個性」で成功しているとも言えますね。田原総一朗さんもそうです。でも、彼らには「才能」もありました。
「個性」と「才能」は別のものです。「才能」にもいろいろありますが、特に「突破力」として有用なのは「忍耐力」でしょう。社会との衝突に堪えるのも大変でしょうし、社会に懐柔して「個」を活かすのも辛いでしょうから我慢が必要ですよね。そういう時の「忍耐力」が足りないのがフツーの人たちです(私も)。
違う言い方をすれば、「個性」を「社会性」にし、「社会性」を「個性」にするだけの基礎体力みたいなものが必要なのです。また、なんだか禅問答みたいになってきましたね。「色即是空・空即是色」だな、こりゃまた(笑)。
まあ、とにかくこの番組で再び確認したのは、大学というのは面白いところだということです。なんだか洒落っ気のない感想ですけど…。道元さんから学んだことを応用してみますと、大学というのは「モノ→コト(空不異色or空即是色)」の修行の場であり、その後の「大人」としての人生における「仕事(コトを為す)」基礎部分であり、また人生の頂点たる「モノ'」を目指す入り口であり、また、人生後半の愛すべき下り坂のダイナミズムを生む助走みたいなものだなと、そんなふうに思ったのでありました。
そうしますと、私の出た地方の暗く地味な公立大学は、ちょっと物足りなかった…のかなあ…。
| 固定リンク
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 「怒り」=「生かり」(2012.05.26)
- 恐山の院代が語る「死と生」(2012.05.23)
- 大宮八幡宮薪能〜藤戸(2012.05.12)
- 杖突峠を越える(2012.05.06)
- 『東方求聞口授 ~ Symposium of Post-mysticism.』 ZUN (一迅社)(2012.05.04)
「教育」カテゴリの記事
- 「怒り」=「生かり」(2012.05.26)
- 田植えという神事(2012.05.24)
- 金環日食…だったのかな?w(2012.05.21)
- 頑張れ!虚構新聞(2012.05.15)
- 組立天体望遠鏡 35倍 (星の手帖社)(2012.05.16)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 恐山の院代が語る「死と生」(2012.05.23)
- ブラックボード〜時代と戦った教師たち〜(TBS)(2012.04.07)
- 2011年3月9日三陸沖地震M7.3を忘れてはいけない。(2012.03.09)
- 首都直下地震震度7のおそれ…東京の防災について(2012.03.07)
- BBCドキュメンタリー「津波の子供たち」"Japan's children of the tsunami " 3.11(2012.03.06)

コメント
僕も見ましたよ。
太田の才能はあなどれませんね。恐れ入りました。
田原総一朗もやたらと目立っていましたが、どれも頷ける発言でした。
今日は教室で「昨日、爆笑問題の番組見たか? もう一度大学生やりたくなったけど、無理だなあ。君達はこれからだからいいなあ。」なんて話をしてしまいましたよ。
あまりテレビを見ないので、こんな面白い番組があったとは知りませんでした。
投稿: mf | 2008.11.26 21:32
mfさん、こんばんは。
ウチでもさっそく2年生に録画を見せました。
この番組、レギュラー枠も面白いですよ。
高校生に大学の学問をイメージさせるには最適ですので、時々見せてます。
で、だいたい私もなんだかうらやましいというか、もう一度…と思ってしまいます。
ま、もう一度大学生活を送っても、きっとまたスカスカになるんでしょうけど(笑)。
たしかに高校生がうらやましいですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.11.26 21:46