小倉貴久子のノクターン
胃カメラ呑みました。いえいえ、定期検診です。一日一食ですので、胃の負担が小さく、なかなか健康的な胃だとのこと。根っからの楽天家ですのでストレスもありませんし。
しかし、困ったことに、検診後麻酔が切れなくて、何度も落ちかけました。一人スリーパーホールド状態。いかんいかん。
そんなわけでちょっと早く帰宅しましたところ、九州、関西を演奏旅行してきた音楽家の渡辺敏晴さんが、北九州で手に入れたとんでもないお土産を手にいらっしゃいまして、そこからは呑むわ呑むわ、しゃべるわしゃべるわ。アルコールによって麻酔もすっかり醒めまして、実に楽しい時間を過ごしました。
音楽やら歴史やら、まあ何を話したか忘れるほどいろいろお話しましたね。結局不思議な縁というか運命というのにたどりつくわけですが…。
さてさて、そんな中で、プロの音楽家たるもの時間を自由に操らなくてはならない、というような熱いお話がありました。私もそう思います。時間芸術たる音楽は、時間という流れに従いつつ、しかしそこからいかに脱却するか、そしてある意味淡々とした流れを打ち切ったり乱したりするか、そういうスゴわざでなければならないと思います。
ちょうど今日の昼間NHKで小倉貴久子らを中心とする「ショパンを19世紀サロンの響きで」が再放送されてまして、まあ全体に素晴らしい演奏会であったわけですが、特にあの有名なノクターンがですね、まさに「時間を操る」、これぞプロ!という演奏でしたので、それを紹介します。
まずはお聴きください。
美しいですねえ。美しいですねえ。涙が出ます。いろいろな意味で日常的な時間を超えてますね。楽器は浜松市楽器博物館所蔵のプレイエルです。当日は暗譜で弾いてらっしゃいますが、使用している楽譜も当時のもの。そして、聴いてお分かりのように、即興的に楽譜にない音を足しています。それがまた今生まれたかのように美しくきらめいていますね。完全に時間も空間も超えています。テンポの絶妙な揺れ、右手と左手の時間の流れのずれ、一瞬の沈黙。
この演奏会について小倉さん御本人のインタビューがこちらにありますので、ぜひお読みください。
小倉さん、毎年都留音楽祭でお世話になっております。そして毎度素晴らしい演奏とレッスンを聴かせてくれます。音楽に対する真摯な姿勢と、そして御本人のお人柄が、それらに存分に表れています。これからも時間を思いっきり操って、私たちをいろいろなところに連れていっていただきたいですね。
Amazon ノクターン~ショパンの愛したプレイエル
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