« 東京クラシカルシンガーズ&オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ第7回演奏会 その他もろもろ | トップページ | あんたがたどこさ »

2008.10.06

NICO Touches the Walls 『Who are you?』

516emqsaul_sl500_aa240_ 楽ネタが続いてるところで、もういっちょ行ってみましょう。
 8月末の「SWEET LOVE SHOWER 2008 in 山中湖」でいくつか気になるバンドに出会いました。この NICO Touches the Walls もその一つ。すんなり耳に入ってくるロックでありながら、なんとなく心に残る存在感のあるバンドでした。
 そのNICOのデビュー・アルバムが出たので聴いてみました。
 なかなか良かった。まだ二十台前半の彼ら。たしかに洗練されていない若さを感じさせる部分もありましたが、適度な統一感と変化によりまとまりのあるアルバムになっています。
 いい部分はたくさんのファンの方々がたくさん言及してくれるでしょうから、今日はあえて気になった点をいくつか指摘しておきましょう(偉そうに…笑)。
 ライヴでは、いかにもロックという、会場との一体感を目指す演奏を目指していたようですが、アルバムでは一音一音大切に演奏している感じが伝わってきます。ミキシング(特に定位)のクセなのか、ややアンサンブル感が希薄に感じられるとい言えば言えますけど、まあそのおかげで各パートをじっくり聴き分けることができました。でも、もうちょっと工夫した方がいいかな。そのせいで全体が単調に感じるのも事実です。
 なんというか、そういう定位の感じというか、距離感だと思うんですよね。ミキシングの妙は。最近のデジタル・レコーディングは特に平面的になりやすい。なんでかよく分かりませんが、ベターっとしちゃうんですよね。最近の若者はスピーカーではちゃんと聴きませんからね。次元が違うのかもしれませんが、どうも最近の録音には立体感がない…ような気がする。結果として、どうしてもコラージュというかパッチワークというか…。ま、最初にライヴで空気感を味わってしまっているのでしかたないかな。
 で、このバンドはギター2、ベース、ドラムスという四人組です。ここのところスリーピースを聴くことが多かったので、こういうリズム&リードというある意味基本的なギターの音作りを聴くと、なんとなく懐かしく感じてしまいますね。ただ、さっきの録音的なこともありますが、ずっとそれぞれの役割がはっきりしすぎていて、単調になっているのも事実です。各パートの編曲に有機的なつながりがあるともっと説得力が増すでしょう。
 逆に言えば、彼ら自身が、自分たちの音、というものを確立したいのでしょう。それぞれの楽器の音も比較的クリーンなものを求めて、それを徹底しているように感じました。
 楽曲はシンプルでありながら、いろいろな色合いのものが並んでいて、なかなかよろしい。そういう意味では飽きさせない。作曲の能力としては、かなり高いものがあると思います。平均点以上の曲がほとんどです。どれもどこかで聴いたことあるような気がしますけど(笑)。これから、どうやって自分たちらしさを作るかが課題でしょう。なんとなく心に残る…ではなくて、攻撃的にでも心に刻まれるフレーズを作っていきたいですね。ロックなんですから。
 最初に書いた若さというのは、あまりに正直なギターのフレーズに最も表れています。それが今は、ギリギリの良さにつながっていると思います。変に作られた感じがなく、どちらかというと学生バンド風で、そこにちょっと甘酸っぱいというか、ちょっと気恥ずかしいというか、そういうギリギリな魅力を感じますけどね。これからどうやってキャリアを積んでいくか楽しみです。ロックはやっぱりギターのフレーズ・センスですからね。あと、音を削っていく勇気。頑張りましょう。
 ヴォーカルは一瞬ミスチルの桜井さんぽく聞こえます。声質や歌い方もそうですけど、言葉の譜割りですね。そう、サザンの桑田さんが創始し、ミスチルの桜井さんで一つの完成を見た、あれですよ。簡単に言えば英語風な譜割りですね。開音節構造のために、それまで基本的に一音節一音符という縛りがあった日本語の、その母音を圧縮する(場合によっては発音しない)ことによって、まるで複数の子音の並んだ英語の一シラブルのように、一音符にいくつかの「カナ」を押し込んでしまう歌い方です。私は、これがどうしてもできません。カラオケでも絶対に歌えません。歌詞を伝えるという意味でも、この歌い方には私は賛同できません。古い人間なんで(笑)。
 これからどういうプロデューサーに出会って、どう成長していくか非常に楽しみなバンドですね。また、生で聴く機会があることを期待しています。

NICO Touches the Walls 公式

Amazon Who are you?

不二草紙に戻る

|

« 東京クラシカルシンガーズ&オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ第7回演奏会 その他もろもろ | トップページ | あんたがたどこさ »

音楽」カテゴリの記事

コメント

NICO!SLSで見るのを楽しみにしていたバンドです!
生はやっぱりカッコ良かった。一番楽しかったです。
アルバムも買いましたよ♪今後に期待です!
ところでSLSではお会いしませんでしたね…またどこかで♪

投稿: ユキ | 2008.10.08 23:36

ユキねえさん、なんかお久しぶりです。
生NICO良かったっすね。
これから素直に成長していってもらいたいバンドです。
いろいろいじくられてつぶれてくバンド多いですからねえ。
またなんか行きましょう!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.10.09 07:45

こんにちは!久しぶりに来てみたらNICOの記事が!
そしてユキさん、こんにちは!
SLSでは踊っちゃいました。武家諸法度とTAXIが◎。
これまた甥っ子に文化祭でコピーやるから聴いとけ~
と勧められ、ハマッたのが2年前でした。
ライブハウスも何度か。
最近はメジャーデビュー前の狂気が薄れ、
(多分ポッキーのCMの頃から)
小奇麗になってきて寂しいと思う今日この頃です。
アルバムタイトルは昔のがセンスいいかと;
今後もクセのある曲を書き続けてほしいんだけどなー。

投稿: くぅた | 2008.10.13 14:00

くぅたさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。
SLS、なかなか良かったですね。
遠くからですがよく聴いてました(笑)。
どのバンドもメジャーになると角が取れちゃいますね。
某バンドとか、あのバンドとか…。
難しいですね。
それを洗練というべきなのか。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.10.14 17:51

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/42711670

この記事へのトラックバック一覧です: NICO Touches the Walls 『Who are you?』:

« 東京クラシカルシンガーズ&オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ第7回演奏会 その他もろもろ | トップページ | あんたがたどこさ »