『爆笑問題のニッポンの教養「“学校の怪談”のヒ・ミ・ツ 常光徹」』
おっとまたNHKネタだぞ。ここのところ新旧NHKネタばっかりですね。NHKさんがなかったらこのブログは成立しませんね。お世話になります。
「爆問学問」を取り上げるのは久しぶりにですね。ほぼ毎週観てますが、ここのところちょっと太田くんの語りが強すぎてやや引きぎみだったので。
で、これは昨日の放送分。録画しておいたのを今日観ました。
まあ、怪談とか妖怪とか都市伝説とか、たしかに面白いですよね。私も自称霊能者(?)だし、モノノケ研究家だから、そりゃあ興味がありますよ。だから、中学校の先生から、そっち方面の研究家になられた常光さんには、ちょっと嫉妬してしまいます。
しっかし小学校で語られる怪談っていうのは、ホント面白いですよね。見事に語り継がれていく。トイレ系とか音楽室系とか、驚くほど完璧に継承されています。だって私が35年くらい前に東京で聞いていた話を、今この小さな村の小学校に通う娘が、ほとんどそのまんま語って聞かせてくれるんですから。
いったいどういう伝播をしてきたのか。ホント知りたいですね。
なぜ、こうした「物語」が継承されていくのか。これは「モノ・コト論」「物語論」をやっている者としては、大変に興味のあるところです。
まず、絶対的に信じるという瞬間が人々にないと、こういう話は生き続けません。つまり、多少大人になって「そりゃないよな」と客観的に思ってもですね、昔信じていた自分、あるいはすっかり騙されていた自分というのがありますと、その経験に基づいて、次世代の聞き手を騙すという行為を必ずするんですよ。それも怖い話だとなおさら。自分もションベンちびるほどビビったくせにね。今度は人の怖がるところ見たいんですよ。
実は、子どもの怪談に限らず、大人の世界での伝説や神話なんかは、みんなそうやって継承されてきたんですね。ある意味では、物語を通じての「共感」が目的なんです。それによって、共同体としての仲間意識が強まることもありますし、自分自身が安心を得ることもあります。
つまり、そこで語られる「情報(コト)」が重要なのではなくて、それによって喚び起される「何か(感情・モノ)」が大切なんですね。その自分の中の「何か(モノ)」を言葉(コト)によってカタチづくることを「モノガタル」というとも言えるのです。
私もひょんなところで娘とつながることができて、大いに安心しましたよ。
あと「モノ・コト論」的に興味深かったのは、学校というシステムやルール(まさにコトそのもの)の中で見えざるモノが暴れるということですね。怪談で怖がること自体がカタルシスになっている。息抜きになっている。発散になっている。これはありますね。子どもたちにとっては、小学校がほぼ初めての「社会」です。息苦しい社会体験です。そんな中、「物語」という装置が発動するというのは、たしかに面白いですね。大人の社会での発散方法より、ずっと健全ですが。
さて、今日の番組の中で、やっぱり不思議に思ったのは「トイレ」という空間のことです。彼らもトイレは非日常的な空間だ、学校であって学校でない、というようなことを言っていましたけれど、私も昔からトイレという空間の持つ、一種独特な空気というものにひかれてきました。怖いんだけど、反面安心もするんだよなあ…。そう言えば、ディズニーランドのトイレについてもこちらに書きましたな。あれなんか、まさに異空間でした。ただ、あれは非日常の中の日常として語りましたね。ああそうか、非日常の二重構造になってるんだな。負×負=正…いや、トイレという第一種非日常によって、第二種非日常からほんの少し日常に近づけるってことかな…いや…。
これはいずれじっくり考えてみましょう。トイレ学というのもきっとあると思いますが、私も自分のスタンスでやってみようかな…なんて考えてたら、急にトイレに行きたくなってきたぞ。では、研究に行ってきます!
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