富士山の鹿に思う
この写真はもらいものです。かわいいですね。
ここ数年ウチのあたりでよく鹿を見かけます。出勤や帰宅の際に突然群れで飛び出してきて、轢きそうになることもしばしば。今のところ私は事故を起していませんが、1年に1回くらいは事故現場に出くわします。鹿も大変ですが、車もそうとうのダメージを受けていますね。
また、飛び出すのではなく、道の真ん中に数頭の鹿が佇んでいて困ることもよくあります。車が近づいても全然逃げないんですよね。まあ、急いでいるのでなければ、野生の鹿を間近に見られるのでラッキーとも言えますが。しかし、実際近づいてみると、とにかくデカイ。あんなのに襲われたらたまらんな。まさにシシ神といった風情。でもやっぱりデザイン的に美しい。子鹿はカワイイし。
ウチのカミさんなんて、道に鹿を発見すると車を停め、ウィンドウを開け、そして何をするかというと…「はりつめた〜ゆみの〜♪」と米良さんのものまねを始めます(笑)。全曲鹿に向かって歌います。鹿は金縛りにあったように微動だにしません(笑)。
とにかく最近人の住んでいるあたりに鹿がたくさん出没しているわけですね。それでいわゆる食害を起している。農作物を食い荒らしたり、樹皮を食べまくって木を枯らしてしまったり。
そうした鹿による食害を防ぐために、最近ウチの周辺でもたくさんのフェンスが張られているんです。今日もたまたまニュースで南アルプスのある山のことがとり上げられていましたっけ。貴重な高山植物や樹木を守るために延々とフェンスを敷設するとのこと。自然保護の観点からそうします、と担当者は言ってましたが、これはどうなんでしょうね。
まず、ウチの周りでさえもかなり景観が損なわれています。登山者に聞くと、やはり山中に突然あの人工的なフェンスが現れるとガッカリすると言います。景観も大事な自然の一部だと考えると、ちょっと問題があるような気もします。写真はウチの近所のフェンスです。見ての通り、ちょっと回り込めば鹿ちゃんも中に入れます。ほとんど意味がないどころか、延々と道沿いに張り巡らされているので、鹿が道を歩くことになって、よけいに危険なんです。食害に対してはホントに気休め程度のしろものですよ。
もちろん、我々にとって大切な農作物や貴重な高山植物、自然林を守ることは大切だと思いますが、では、鹿という自然に対してはどう考えればいいのでしょうか。
よく言われているとおり、人間が保護したがる「自然」というのは、あくまで人間にとって有益な、あるいは愛情の対象になる「自然」であって、たとえば害虫などは保護どころか駆除の対象になってしまいます。何をもって「自然」とするか、これは難しい問題ですね。
世界自然遺産の知床で、自然保護のために野生の鹿や熊を駆除することを環境省が決めたりしてますね。これもまた妙ちくりんな矛盾に満ちています。まったく人間は身勝手なものです。
またどこかの村は村ごとフェンスで囲ってしまったそうですね。檻の中の人間(笑)。
で、最近こうして鹿や熊が里に下りてくる(ウチのあたりを里とは言えないかもしれないけれど)のは、たしかに気候変動による植生の変化というのもあると思います。しかし、多少長い目で見ても、それほど劇的に変化しているわけではありません。では、どうしてこういうことが起こるのでしょうか。
いろいろな要因が複合的に働いているのは分かりますけれど、私はやはり原因の根底に人間の生活があると思いますね。温暖化が人間のしわざかどうかは置いておいても、こうして森を切り開き、道路を舗装し、家を建てていること、つまり本来鹿の棲む領域に人間が進出している罪は大きいでしょう。鹿は普通に生きるために食物を探しているだけです。そして、だんだん人間に対する警戒心も薄れてくる。
あと、やはりですね、里で犬の放し飼いが減ったことも大きいでしょう。鹿や猪や熊にとって、野犬ほど怖いものはないですからね。昔のように村の中に犬が闊歩していれば、なかなか彼らは畑に入れません。ところが、最近は、「犬はつないで飼いましょう」的な、まさに文明的人間のわがまま(?)からか、ほとんどの犬は自由を奪われて、結果彼らを見つけても遠くでむなしく吠えているのが関の山という状況になってしまいました。犬もさぞ悔しいでしょう。そのうち、獣たちは犬に襲われないことを知り、我が物顔で畑や里山を荒らすようになります。犬の方もやる気を失っちゃう。そりゃあそうでしょう。
というわけで、ずいぶんと人間は身勝手なことをし、身勝手なことを言い、愛憎をすぐに逆転させ、あるいはそんなことは棚上げして自己満足的アクションに走る…。
まあ、人間も所詮は動物であり、自然の一部なわけですから、きっとどこかで誰かに恨まれて駆除されるのかもしれませんね。というか、増殖しすぎてお互いで駆除しあうという素晴らしい種なのかもしれませんね。
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コメント
不謹慎にも食べながら読んでいたので、ここを読んで
>鹿は金縛りにあったように微動だにしません
吹きそうになってしまいました。
セコンド様すみません。
でも、Power of Musickのなせる業かもしれませんよ。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.09.09 16:22
こんにちは。
雄鹿はでかくて怖いですよね。私が通っていた中高は、しばしば鹿が校内に入ってきて、追いだすのが大変でした。登校の時とか、野犬に鹿が追いかけられているのに出くわしたこともよくあります。驚いて走る時には尻の毛が白く見えるんですね。
投稿: TKJ | 2008.09.09 21:06
伯爵さま、こんばんは。
まったくカミさんは困ったものです。
鹿はあの目をクルクルさせて狼狽してます。
野犬よりたちが悪いっすね(笑)。
TKJさま、お久しぶりです。
そう、雄鹿のあのツノなんか、反則ですよ。
しかし、校内に鹿が侵入とは素晴らしい環境ですね(笑)。
たしかに逃げる時のお尻は白くてちょっとカワイイっすね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.09.09 22:03
鹿対策に狼の導入 参照 http://japan-wolf.org/content/faq/
投稿: 名無し | 2013.01.28 10:15