『科学シミュレーション 人類の消えた地球』 (NHKハイビジョン特集)
再放送を録画しました。17日に放映されたのを見逃してしまい(最後の1分だけ観た)、しまった!と思っていたんですが、助かりました。そして面白かった。これは教材として使えるぞ。
ある日一瞬にして人類がいなくなったら(なぜどのようにいなくなるのか、というのは問題ではありません)、その後の地球はどう変化するのかを科学的にシミュレーションした番組です。制作はカナダ。
人類が消えて数時間後、数日後、数ヶ月後、1年後、10年後、100年後…最新の科学者の研究をもとに、実写とCGを上手にまじえた映像でわかりやすく解説してくれます。
ま、実際突然人類だけ消えることはありませんし、消えた後のことは私たちには関係ないと言えば関係ないわけですから、この番組はSFそのものですね。でも、それを観ることによって、ナレーションにもありましたが、我々人類が地球にどれだけの負荷を与えているかということがわかります。それをきっかけに、人類のあり方、私たちの生き方を問いなおそうということですね。
そういう教育的な意味、啓蒙的な意味で、この番組、とても優れていたと思います。あくまで仮説ですから、異論反論もあるでしょう。それは当然です。でも、今はそれは置いておきましょう。そんなことより、今私たちがいかに危うく脆い現代文明の上に生きているかを考える方が賢明です。
やはり驚くのは、その現代文明の脆さですね。北米大陸では、たった200年で人類が生きていた痕跡はほとんど消え去ります。ニューヨークやパリはもとの森林や湿地に戻ってしまいますし、広大な農地はもとの砂漠に戻ります。
コンクリートや鉄でできた構造物はたった数十年で崩壊しますし、我々が出しまくっている二酸化炭素もあっという間に植物に使われ、波にさらわれて海底に閉じこめられます。原子力発電所の爆発によってまき散らされた放射性物質さえも、たった25年で地中に封じ込められます。地球の復元力はものすごい。自然は人間が1万年かけて奪い去ったものをほんの30年ほどで取り返します。
野生化した犬や狼、そして象も強いな。案外弱いのはゴキブリ。面白いですね。最強の生物はやはり植物でしょう。とにかく都市はすぐに植物に覆われてしまう。植物があれば動物が棲める。
これを観ていると、私たちがそうした脆く危うい構造物を一生懸命メインテナンスしていることに気づきますね。そのためにいったいどれだけのエネルギーを使っていることか。
ちょっと前の記事にもいくつか書きましたが、ここにはやっぱりエントロピー増大則に対抗する人間という図式が見えてきますね。ま、全ての生命の本質はそこにあるわけですけど、人間は特にその欲求が強いんですね。困ったものです。バラバラに散らばっていくいろいろなモノを、一生懸命に何かに閉じこめようとしている。そういういろんな容器のようなものを作り続けていますね。言葉とか音楽とかもそうです。私の言う「コト化」ですね。なんかむなしいよなあ。
人間がいなくなれば、こうしてみんな自然に散らばっていく。こんなに短期間でこんなにたくさん散らばっていくモノを、今も私たちは一生懸命閉じこめようとしている。私もこうして書くことによって、消え去るべきモノをコトバにして残そうとしている。あほらしいなあ。
このむなしさをどう乗り越えていくか。お釈迦様はそれを説いたんでしょうね。究極は私たちがいなくなればいいわけですが、それでもこうして存在し続けるわけですから、しかたない。もういっそのこと開き直って、刹那的に利己的に生きてやれ!というのも一つの方法でしょうし、私も含めてほとんどの人がそうしていることでしょう。中にはたとえばエコを叫んで小さな自己満足でそこんとこを乗り越える人もいるでしょう。本気で悩んで自らの存在を消してしまうとんでもなく賢い人もいるでしょう。
どうしましょうかね。自分でもよくわからないものを、生徒たちになんと教えればいいのでしょう。みんなで消えようというわけにはいかないし、みんなで修行して悟りを得ようというのも面倒だし、もう好き勝手やっちゃおうよとも立場上言いにくいし。難しいですね。
とにかくこういう迷いや悩みを生じさせてくれるという意味で、とってもいい番組ですし、いい教材です。なんか久々にSFの本来の意味を思い出しましたよ。少年時代読んだり観たりした数々のSF作品たち、そう言えば、その時々の自分や世界に、なんとも言えない違和感を抱かせてくれたっけ。あの感じを思い出しました。
「地球は人類なしでも存在し続けます。しかし、人類は地球なしでは存在できないのです」
最後に。なんだかんだ言って長く残るのは、ピラミッドや万里の長城なんかの歴史的建造物と、あと高分子のプラスチックなんですね。両者は人間の欲望の象徴なんでしょう。
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コメント
こんにちは!
この番組のことは知らなかったんですが、これって、(アラン・ワイズマン著、鬼澤忍訳
『人類が消えた世界』早川書房)の映像化でしょうか?
全米200万部突破のベストセラーだとか。
本の紹介ページです。
http://www.hayakawa-online.co.jp/wwu/wwu.html
発売されたときから興味があったのですが、まだ未読です。
投稿: kobayashi | 2008.09.26 20:42
kobayashiさん、そのとおりです。
本は私も読んでいません。
アメリカの人たちはこれを読んだり観たりして、どう思ったんでしょうかね。
今度録画を観てみてください。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.09.27 07:40
前略 蘊恥庵御亭主 様
愚僧が 小学生の頃
仮面ライダー様 御主演の「旧 日本沈没」笑
を廃艦×拝観◎致しました。
官邸での偉い先生の講義が・・・・
とっても・・「リアル」で とにかく とにかく
恐ろしかったのを記憶致しております。
そして・・・今回
家族全員で 「新 日本沈没」笑
を観ましたが「CG」と「アクション」の
連続で・・・「現実逃避」出来ました。笑
まぁぁぁ・・・
仮に今日 「日本沈没」が始まっても・・・・
愚僧の予想では・・・完了?までに
100万年以上はかかると水底× 推定◎
致しております。笑
それよりも「新種のウィルス」の方が
100万倍脅威を感じます。
「インフルエンザ」の方が・・・
「日本沈没」より悪者です。笑
「宇宙の成り立ち」を愚僧が論じること自体が
愚考の極みでありますが・・・・「宇宙自体」
人間の細胞同様・・・「常に生まれ変って」
いる様です。勿論 「人間の細胞の死滅・再生」
も「宇宙の営み」も自分の眼(まなこ)で実感は
難しいようですね。苦笑
諸行無常・・・うぅぅぅん。
愚僧自身 毎日生まれ変っているのかも
しれません。
まさに「一日一升×」「一日一生◎」です。
「無駄飯食らい」の愚僧が・・・
狂一日× 今日一日◎を大切に暮らしていくことが
最重要課題です。笑 百拝
投稿: 合唱おじさん | 2008.09.27 10:47
合唱おじさん様、こんばんは。
最近とっても世の中がシンプルに見えてきました。
まさに諸行無常で毎日生まれかわっているということですね。
ある意味そんな素晴らしいことに人は不安を覚え、なんとか変化しないように努力しています。
その努力自身が苦痛になってるんです。
なんとかその苦痛から解放されたいですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.09.27 22:35