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2008.08.19

第23回宴会芸@都留音楽祭

080819 楽祭四日目。午前中の個人レッスン、お昼のフリーコンサート、午後のワークショップに全体アンサンブルの練習と、比較的スムーズに進行。合間に交わされるスタッフどうしの会話も楽しく、忙しいながらも楽しい時間を過ごさせていただいています。
 夜は東洋古楽コンサートと古楽コンクール入賞者によるコンサートを鑑賞。仕事の関係上それぞれ一部しか聴くことができなかったのがちょっと残念。今年の東洋古楽は「タイの音楽」でした。もう少しじっくり聴きたかったかも。西洋古楽にどっぷり漬かっているので、脳の回路が瞬時には切り替わりませんでした。いつも書いていますし、今回スタッフとも話したんですが、いわゆる西洋音楽は、世界的に見ると非常に特殊で狭いジャンルです。それを享受する脳の回路というのも、ちょっと特別な位置にあるのではないか、またそれはとっても厄介なものではないのか、と思う今日この頃であります。
 さてさて、そんな私の実感と言いますか、私の信念と言いますか、いや、そんな高尚なものじゃないな、単なる思いつき、いやいや奇を衒った「ウケ狙い」のレベルですかな、まあとにかく西洋音楽モードになっている皆さんの頭の中に、笑いの嵐を起こそうとして毎年やらせていただいているのが、クロージング・パーティーにおける恒例の宴会芸であります。
 今年で宴会芸も23回目かあ…こんなに継続してることはほかにないぞ。仕事より長い(笑)。当初はご存知「お琴ブラザーズ」という名でやってましたっけ。西洋古楽を邦楽器で演奏すると、こっちは大真面目にやってるのに、いや大真面目にやればやるほどウケるんですね。邦楽界で同じことをするとそれこそ真面目に感心されるんですが(笑)。これってその回路の問題だと思うんです。
 で、最近は「お琴ブラザーズ」が活動停止中なので、洋楽器を伴奏に演歌などやっていましたが(つまり、反対のアプローチ)、今年は久々に本来の形、洋楽器以外の楽器で西洋古楽を演奏するというのをやりました。
 ん?待てよ。あの私が演奏した楽器は、は果たして洋なのか邦なのか、微妙ですな。まあいいや、とにかく回路を混乱させるには充分な取り合わせでしょう。演奏したのは、オープニング・コンサートでも披露されていた定盤中の定盤、バッハの「G線上のアリア」です。というか、私の中ではですね、あれは「アリア」ではなくて「エアー」でありまして、すなわち「空(くう)」なのでありました。まあ誰もそんなことに気づいていなかったと思いますけど(笑)。
 編成と演奏者は次の通りです。

 マトリョミン 山口隆之
 胡弓 渡辺敏晴
 バロック・チェロ 武澤秀平
 チェンバロ 前田恵子

 まあ、この組み合わせはさすがに世界初だよなあ。世界初にして世界最後でしょう。私は1stヴァイオリンのパートを、胡弓はヴィオラのパートを演奏し、2ndヴァイオリンのパートはチェンバロの右手にお願いしました。本来の位置と本来の役割はチェロだけですね。一つだけまともなものを入れるのもミソであります。
 私は剃りたての坊主頭と作務衣で登場。風呂敷にマトリョミンを隠して床に置き、合掌礼拝してからおもむろにチューニング。その時点ではいったい何が起きているのか、ほとんど誰もわからなかったのではないでしょうか。一部の勘のいいマニアの方は「テルミンだ!」と気づいたようですが…その人たちもある意味すごいよな。
 後半の2回目には私の究極の裏技もやっちゃいました。すなわち、マトリョミンを手ではなく坊主頭で演奏するという荒技であります!これはさすがにウケてましたね。なぜか手より巧いし(笑)。まあ、最後まで私が何をしているのか理解でなかった人も多かったようでして、終演後マトリョミンを持って客席の方に行きましたら、皆さん集まってこられて不思議そうにマトリョミンに手をかざしていました。そこで初めて事態を理解した方も多かったようです。
 西洋音楽は基本、1オクターブを12分割してそれぞれの音程を固定するじゃないですか。そこからはずれると怒られます(笑)。でも、たとえば邦楽の世界、邦楽器の世界ではそれぞれの間の音なんて無数にあって、ある意味固定された音程にこだわると怒られます。今回の胡弓とテルミンはまさに中間的な音、経過的な音を避けて通れない楽器です。構造上、あるいは演奏技術上、「音と音の間の音」が圧倒的に多くなってしまいます。それが西洋音楽モードの脳には面白いんですね。そう、宴会ではそれは許される。先生たちも笑って許してくれる。いや、先生たちの方が大笑いしてくれる。いやあ、つくづく私、いいポジション(ずるいポジション)にいますね。怒られないどころかほめられちゃうんですから(笑)。
 と、こんなわけで、今年もまたくっだらない芸をやらせていただきました。毎年くっだらなさすぎてごめんなさい。まあ、私ととしては、皆さんに笑っていただくのが一番。こうして皆さんの硬直化しがちな脳の回路をもみほぐすことが出来れば本望であります。
 音を載せてもいいんですが、一般の方にとってはかなりきつい音世界だと思うのでやめときます。通常の脳では破壊される可能性があります(笑)。
 ふう、面白かった。来年もこのシリーズでやろうかなあ…。他の宴会芸、つのだ組、吉沢組、すみれちゃん、浜中組も、相変わらずのクオリティーの高さでありました。そちらについては、チェンバロ・スタッフにしてスーパー・コーディネーター梅岡さんのブログでどうぞ。皆さん、どうしてそこまでやるの!?

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