『スカシカシパンマン・ザ・ムービー』 中川翔子原案作品
生徒の妹さんがわざわざ貸してくれました。なぜ私に貸してくれたのでしょう。ぜひ私に観てほしいとのこと。
一つには私が「しょこたん」こと中川翔子を高く評価しているということがあるでしょう。また、アキバ的ヲタク文化を理解しているということがあるでしょう。そして、こういうくっだらないモノが根っから好きということがあるでしょう…てか、なんでほとんど面識のない妹がそんなこと知ってるんだ?(笑)
私がしょこたんに興味を持ったのは、娘たちが毎週観ているポケモンサンデーのおかげ、かというとそうでもなく、やはりこちらにも書いたしょこたん語のおかげでしょう。日本語学的に興味深い。
そういうしょこたん語にも感じられますが、彼女のセンスはまさに「タレント」というにふさわしいものがあります。一般人の気づかないところに気づき、それをデフォルメしたりエンファシスしたりして記号を作り出し、そしてそれを一般に流通させる。非常にクリエイティブな方です。
この「スカシカシパンマン」も実に彼女らしいセンスの産物ですね。実在する海洋生物、ウニの仲間(棘皮動物ウニ綱タコノマクラ目カシパン亜目スカシカシパン科)である「スカシカシパン(Sand dollar)」のその名前と姿にギガント萌えたしょこたんが、その独自のセンスによって擬人化…いや、人ではないな、スーパーヒーロー化してしまったのが、この「スカシカシパンマン」です。
公式ブログによると、彼はこのような人、いやキャラです。
■名前:スカシカシパンマン
■年齢:不明
■特徴:
女性をスカシ穴から透かし見る
※下着まで透かせる
スカシカシパン車輪を使いマッハ3で走ることができる
スカシカシパンを投げてくる
鼻がない
ただの変態
このDVDには、ケータイ用の簡易アニメ(フラッシュ風)10話が収められていました。秋葉原を舞台に、いちおう敵…なのかな、ハスノハカシパンマンとタコノマクラと壮絶な(?)闘いに挑むスカシカシパンマン。カワイイが体臭のきついエイ子ちゃんのためならどんな危険も侵す(?)スカシカシパンマン。
はっきり言ってどうでもいい内容であり、その脱力感が、スカシカシパン本来のあの脱力した軟弱感と見事に共鳴しあって、全く感動的でない世界を築き上げています。
どう見ても手抜きとしか思えない作画は、ほとんど紙芝居風であり、そのチープさとダイナミックな静止感は、なにかノスタルジーのようなものさえ感じさせます。まさにディズニーアニメの対蹠にあるジャパニメーションの極致でしょう。
随所に秋葉原的ヲタクネタをちりばめているのは、ファン層を意識しているとともに、アキバ文化を揶揄しているとも言えそうです。私は、オタク文化の一つの特徴は、自己卑下性にあると思っています。オタク文化には、外見的には非社会的というか、脱力的アウトローというか、そういう部分があって、それを自らが恥ずかしく思い、また卑下し、そして仲間内では傷をなめあうという、どうしようもないキモさがあります(もちろん私にも)。それを、太古の昔からどうどうと自然界で生き続けているスカシカシパンが笑っているんですね。人間はバカだなと。そんな気もしました。
ま、いずれにせよ、本来無表情なスカシカシパンに注目し、そこに「下着を透かして見る」という人間男性の根源的な欲望と、そういう自分を表面に出さず「スカしている」人間男性の社会性とを与え、一つのキャラクターを作り上げてしまったしょこたんに脱帽です。やはりこれも本体とキャラのギャップ萌えでしょうか。あるいは本体とネーミングのギャップ萌えでしょうか。
ただ一つ怖かったことがあります。オープニング近くで、スカシカシパンマンがマッハ3でアキバを暴走し、通行人が巻き込まれてバタバタと倒れていくシーンには、妙なリアルさがあって、ぞっとしてしまいました。これはちょっとシャレに昇華できませんでした。
特典映像では、スカシカシパンマンの声優さんである若本規夫さんの魅力をたっぷり味わえます。それに絡むしょこたんも見事。
あっ、ちなみに実際の菓子パンとして発売された「スカシカシパン」と「スカシカシパン〜しょこらメロンパン〜」はとっくに食べてみました。おいしかった。当然、それを顔の前にかざして「すかして」見てみましたが、残念ながら下着は見えませんでした(笑)。
Amazon スカシカシパンマン・ザ・ムービー
| 固定リンク
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- 最低漫画をめぐる田中圭一と岡田斗司夫の最高漫才(2025.03.17)
- 盾持人物埴輪&はにぽん(本庄市)(2025.02.20)
- 超一流はみんないい人(2024.06.04)
- 麻布十番での邂逅(2024.06.02)
- COTEN RADIOショート やなせたかし編(2024.04.15)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2025.05.17)
- 『砂の小舟』 丹波哲郎 監督作品(2025.05.08)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
- 『新幹線大爆破』 樋口真嗣 監督作品(2025.04.23)
- 『アルプススタンドのはしの方』 城定秀夫 監督作品(2025.04.01)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 佳子さま降臨(2025.05.16)
- 「超々広角」星空観賞用双眼鏡 Super WideBino36(笠井トレーディング)(2025.04.27)
- ホワイト社会?(2025.04.22)
- 小林一三『清く、正しく、美しく』(風々齋文庫)(2025.04.11)
- 綾小路きみまろ『爆笑スーパーミニライブ』(2025.04.02)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 地震と大相撲(2025.03.30)
- ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?(2024.06.03)
- 文字を持たない選択をした縄文人(2024.02.14)
- スコット・ロスのレッスン(2024.01.12)
- AIは「愛」か(2024.01.11)

コメント
今は女性が同性の体臭のことを書くんですねえ。別に誰にでもあるんですから当然なんですが、なにやらタブーのような気がしていました。
そういえば、以前から秋葉原や中野のオタ系ショップでは刺激系や酸味系の運動部系とは違った、よどんだような苦味のあるような臭いというか空気を感じていたのでしたが、そういうものなんでしょうかね。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.08.27 21:56
最近タブーがなくなってきてますよね、この世界。
そのせいで面白くなったり、面白くなくなったり…。
「よどんだ苦味のあるような臭い」…わかるなあ。
自分から多少香ってきますが…笑
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.08.28 09:45