『スーパーライブ Dragon Ash〜10th Anniversary〜』〜World Premium Live(NHK BS2)
昨年11月に放映されたものの再放送。彼らのライヴ・パフォーマンスは初めて観ました。なかなかいいですねえ。ただものじゃないな。
Dragon Ashはあまりメディアに露出しませんので、これは貴重な映像&音源であります。昨年結成10年を迎えたということで、それを記念してかNHKの101スタジオで行われたライヴの模様です。スタジオ・ライヴということもあってか、非常に濃厚な時間と空間が演出されていましたね。これは盛り上がるわ。
名優古谷一行の息子にして最近めでたくMEGUMIのダンナとなった降谷建志くん率いるDragon Ashは、日本の音楽シーンの流れで言えば、ラップをフィーチャーしたヒップホップのブームを作った立役者という感じでしょう。私は、その後の日本のヒップホップシーンに対しては正直眉をひそめてきた立場です。それはつまり、あまりに音楽的に稚拙な、いわゆる売れ線ヒップホップがヒットチャートにひしめいていたからでして、本場のヒップホップや、商業的ではない本物指向のヒップホップを否定するものではありません。
昨今のヒップホップ風な音楽の隆盛はすなわち、日本の音楽家たちが優れたメロディーを書けなくなった事実の裏返しですね。最近ようやく改善の兆しが見え始めましたが。
さて、そんな中でDragon Ashの活動はかなり異質なものでしたね。彼らが目指したのはあらゆるジャンルを超えた、あるいはあらゆるジャンルを取り込んだ音楽でした。私はそれなりに彼らのアルバムを聴いてきましたが、どのアルバムも常に実験的であり、それこそ毎回違った感じ、あるいは毎曲違った感じがしました。
ただ一つ全体に共通した印象というのがあって、彼らには不思議な優しさを感じるんですよね。音楽としてはけっこう激しく聞こえますが、その後ろに漂う優しい空気のようなものが常に私を魅了してきたんです。今回の番組でもそれはたしかにありました。
それってやっぱりシンプルさだと思うんですね。いろいろな挑戦として、けっこう複雑な音楽的作業を彼らはやってますけど、基本は私たち聴衆に対するサービス精神があるような気もするんです。いかにライヴでストレートに伝えるか。それはある意味わかりやすさとも言えます。ライヴな音楽には絶対にある種のシンプルさ、わかりやすさというのが必要です。
コアなファンの皆さんはどう思うかわかりませんが、私はかの「セクスィー部長」のテーマ「El Alma」が全てを象徴しているような気がしますよ。名曲ですよ。今回の番組でもものすごいパフォーマンスでした。武田真治のセンスというのもあるのかもしれませんね。考えてみれば、今回NHKで彼らのライヴが収録され放映されたのも、セクスィー部長つながりかもしれませんね。ああいうラテンでジャパニーズなロックをいきなりドカンとやってしまう彼らは、やっぱり天才だと思いますね。おそらく10年後も進化し続けてるんじゃないでしょうか。
まあとにかくとてもいいライヴ番組でした。思わず聴き入ってしまうパフォーマンス。演奏もなかなか上手でした。一度ライヴを体験したいような気もしますが、さすがにあのノリにはついていけないな(笑)。
オマケ。彼らを知らない人も、とりあえず「El Alma」を聴いてみましょう。中国のサイトで見つけましたので。
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