『第5の男~どこにでもいる僕~』 高木ブー (朝日新聞出版)
能ある鷹は爪を隠す…ドリフ第5の男高木ブーの自伝本。ドリフにおけるブーさんの存在を、それなりに語ることもできますが、どうもどこにでもありがちな論になりそうなので、今日はそういう視点からの記述はさしひかえましょう。
私にとっての興味はこの本の前半部分、つまり第5でもなんでもなくて、どちらかというと第1だったころの話。すなわち、ミュージシャンとしての高木智之さんです(本名は友之助)。
今でこそ、ウクレレの伝道師として有名なブーさんですが、ドリフ時代には雷様でちょろっと披露するだけで、ほとんどその芸を隠してきました。ウクレレだけじゃなくて、あの歌声は素晴らしいですよ。特にファルセットの美しさには驚愕です。私はこちら『LET IT BOO』を聴いて、本当にびっくりしました。うますぎる…。
そうそう、今日ちょうどNHKのある番組に高木ブーさんが出演してました。見て下さいよ。トリプルネックウクレレですよ〜!かっこいい。オリジナル曲「ブルー・メモリー」を披露しました。これがまたいい曲でして、ブーさんの優しさがにじみ出ている名曲でした。
今日は特別その音をアップしましょう。こちらからどうぞ。
75歳ですよねえ。75歳であの透明感のある声はないでしょう。トリプルネックウクレレの演奏がまた渋い。冒頭から刻みが微妙に遅れ気味なのは、これはもう「味わい」というほかありません。楽譜化できないリズム感。再現できない「わび・さび」。萌えます。ソロのツボで微妙に音が出ていないところなんかも、これもまた悟りの境地ですね。で、映像で観ると最高なんですが、ソロが終わって真ん中のコード用のネックに戻る時、一瞬わからなくなってしまうんです。一番下のネックに行きかける。3本でも迷ってしまう。かわいすぎます。
能ある鷹は爪を隠す…これって究極のかっこよさですよね。ブーさんは楽器や歌だけでなく、イラストもお上手ですし、クレー射撃の腕前はプロ並みです。
いや、彼はこの本を読んでもわかるとおり、もしかすると究極の面倒くさがり屋だったのかもしれません。単なる無精者。いろいろできるのにやらない。何にもしないで稼げればそれはそれで最高ですよね。
自分の「能」=「タレント」にこだわらない…これは非常に難しいことです。ありもしない「能」にしがみついて、いつのまにか身動きできなくなってしまうのが普通の人間ですね。
つまり、ブーさんは、より高度な戦略的意味において「能を隠した」わけで、これは本当に悟りの境地に近いですね。その「隠れた能」をまわりがほっとかなっかたと。究極の他力ですな。
やっぱり、神ですわ。雷様って神様だもんな。能ある高木は爪を隠していたけれど、結局爪を出してきてウクレレをつまびいているということですか。こんなふうに生きたいものです。
この本のサブタイトルは重層的に意味深ですけど、やっぱりウソだよなあ。こんな人どこにもいませんよ。
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コメント
本当にいい声ですね。
人柄がにじみ出て安心なような、その一方で地声との境界線上の危うさもあるような・・・・・。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.08.25 23:04
伯爵さま、おはようございます。
そうなんですよね。
やっぱりブーさんの声です。
しっかし、味がありますよねえ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.08.27 06:56