『トップランナー 椎名林檎』(NHK)
先週月曜日に見逃したのですが、再放送がありましたので、忘れないように録画しておきました。録画したものは、SONGSの松田聖子と合わせて1枚のDVDに。それにしても、福岡というのはどうしてこうも有能な歌手や芸能人をたくさん輩出するのでしょうね。番組の中で林檎が、高校の軽音楽部がすごい大所帯だったと言っていました。もうそのへんの土壌からしてちょっとほかの地方とは違うような気がしますね。
椎名林檎さんについては、今までもけっこうたくさん書いてきました。唯一無二の存在感、しかしご自分でも言うように、一つのイメージではくくれない人です。毎回顔が違って見える。なのにものすごく林檎らしさがある。不思議な人です。
MCのクリエイティヴ・ディレクター箭内道彦さんが最初と最後に「天才」という言葉を使っていました。箭内さん自身、かなりの天才だと思うのですが、天才に天才と言わしめて、そして腹を鳴らす、いや鳴らし続ける(!笑!)林檎。そういうところが、まさに天才だなと思わせますね。ある意味クリエイティヴとは言えない「天才」という常套句で結んでしまった箭内さんを、あの「グ〜…」が救ったとも言える瞬間でした。あの空気は良かったな。
また、箭内さんの顔を「駐車場とかにいて、車を停めようとしてるのに動かない猫ちゃん」と評した、というか比喩した時は笑いました。ああ、たしかにその通りだ。うまい。こういう比喩感覚、そして言語感覚、イメージ力はさすが。お見事ですね。
その他の林檎さんの話はいたってまっとう。いい話がたくさん聞けました。商業音楽の魅力と恐ろしさ。ハッタリと尾ひれも捨てたものではないということ。母親業は最高の仕事だということ。人がいかに生かされているかということ。9.11をきっかけに音楽を通じて再び社会と関わりを持つようになったいきさつ。毎日が我慢大会だということ。いつも苦しいということ。一生懸命やったのに、とは言えないということ。仕事は私一人のことではないということ。最初の瞬間が最高の瞬間だということ。
今一番大切にしたい言葉は「実直」。特に思い入れの強い曲は東京事変の「落日」。
落日 with 長谷川きよし
番組内では、SOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青(ピアノ)、秋田ゴールドマン(ベース)みどりん(ドラムス)と一緒に、ジャズテイストの「本能」「意識」「夢のあと」を演奏しました。これがまた良かった。林檎さんの曲は不思議とどんなジャンルにもなりうるんですね。それこそ林檎さん自身の七変化のように、音楽もある意味玉虫色。唯一無二にして、無限の広がりを持つ。すごいですね。
でもやっぱり、何がすごいって、「あっおなかなっちゃった」「なりつづけいる、しかも」だなあ。あのシーン、林檎さんがものすごくいい女に見えました。なのに再び動かない猫の表情に戻ってしまった箭内さんのたたずまいも、ちょっと可愛くて良かった…かな。
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