『MAMOR』 (扶桑社)
国民とともに防衛を考える情報誌・日本唯一の防衛省オフィシャルマガジン…こんな軟派な(笑)雑誌があるなんて知りませんでした。勉強不足です。
今日、航空自衛隊に勤める卒業生が来まして、何冊かバックナンバーを持ってきてくれました。たま〜に、女子生徒で「自衛隊萌え」なヤツがいまして、総合火力演習とか、地元ですからね、行っちゃうんですよ。学校休んでまで。で、別に本人は自衛官になろうとしているわけではない。まあ、宝塚に萌えるのと一緒の感覚でしょう(…って何が一緒なんだ?)。で、女性の先生にもそういう人がいたりしまして、彼女たちのために現役自衛官が持ってきてくれたわけです。
しかし、この雑誌、ビックリしました。いや、本当に勉強不足で、私初めて読んだ(見た)んですよ。こんな自衛隊マガジン、それこそ誰が読むんだろう…。いったい何部発行されてるんだろう。ちなみに自衛官は買わないが、隊内に届けられるので目は通すとのこと。
出版社は「扶桑社」。これはなるほどであります。フジサンケイグループです。扶桑社は「皇室」なんていう硬質な(実はけっこう軟らかめ)雑誌も出してますし、ご存知のように「新しい歴史教科書」なんかも出していますから、まあ防衛省公認自衛隊マガジンを出しても、なんの不思議もありません。
自衛隊の雑誌としては、古くは「防衛アンテナ」が知られていました(知られてないか)。私は小学生のころ、「丸」とか買ってましたから、そっちの方にも興味がありまして(というか時代がまだそういう雰囲気だったんです)、お父さんが幹部自衛官だった友だちが持ってきた「防衛アンテナ」を教室で読んだ記憶があります。
その後、多少世間寄りになった「セキュリタリアン」が発行されていたらしいのですが、そこんとこは私は抜けています。全然知りません。で、その後継雑誌がこの「MAMOR(マモル)」だということ。
まず、驚いたのは、表紙と巻頭グラビアが美しい女性であるということ。いやあ、びっくりしましたよ。今どきの女性自衛官はこんなにカワイイのか!って。だってグラビアには「防人たちの女神」って書いてある…あっそうか、「防人の女神」ではなく「防人たちの女神」か。女神な防人ではなくて、あくまで防人たちにとっての女神に過ぎないのか(笑)。今気づいた。そう、これは単にモデルさんたちが、自衛隊の施設内で、自衛官のコスプレして、いろんな装備品の前でポーズをとってるんです。
これはたしかに、自衛官にとっても萌えでありましょう。厳しい現実の中に混入する夢の世界(笑)。武骨で無味な空間に咲く一輪の花。これも一つのギャップ萌えですね。また、外部の自衛隊萌えの男子にも好評なのではないでしょうか。まあ女性自衛官の萌え系フィギュアが販売されるような時代ですからねえ。平和なものです。いや、一部の硬派には不評かも(笑)。三島由紀夫が生きてたらなんて言うかなあ。切腹する気も起きないかも。
結局、この雑誌は、一般国民から距離のある自衛隊を身近に感じてもらいたい、という意図のもと編集されているわけですね。それは意味のあることでしょうけど、ここまで俗世間に迎合し、崩してしまっていいのでしょうか。だって、そのあとも基地周辺のおいしい飲食店紹介や、隊員食堂の紹介…やっぱり防衛の基礎は食ですよね…、しまいには「ミリキャラ占い」というポップで謎な占いまで。私は「戦車キャラ」でした(笑…ちょっと意外)。
でも、結果として、ワタクシ一般人も自衛隊のことに興味を持ちましたし、たしかに身近に感じましたよ。そういう意味ではちゃんと意図どおりなのかなあ。実際、この雑誌をめぐって、職員室や教室で小さな騒ぎが起きてましたからねえ。
私が熟読したのは今年の5月号でしたが、そこにはあの「自衛隊体育学校」の特集記事がありまして、これは面白かった。プロレス、アマレス好きの私としては、あそこは謎の空間、未踏の地、真性「虎の穴」ですからね。萌えました(笑)。あと、「戦史の教訓」のコーナーですかね。インパール作戦について、防衛研究所戦史部所員の方が解説されてます。マニアックだ…と思ったら、図の「大本営」が「大本英」になってるぞ!やばくないっすか?日本(笑)。
実はそれ以上に笑えたのが、どの号も裏表紙の宣伝が「ブライダルジュエリー専門店」だということ。「ダイヤモンドの煌きは二人の永遠の愛の証」、そう、今日の卒業生も言ってましたけど、まあとにかく自衛官の皆さん、お金はあるけど出会いがない。上官からも出会ってこいと命令されて、「活動」…と彼は言ってました…をするけれど、どうもインパール並みの玉砕続きだとのこと。いやあ、本当に大変ですね。お国のために戦って、自分のために戦って…。ガンバレ自衛官!
そのジュエリー専門店の広告の最後には、こうありました。
「自衛官及び防衛省の方は身分証明書の提示で特別割引致します」
Amazon MAMOR8月号
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コメント
少し前の民放ニュースで知ったのですが、制服の試着ができる
という、その名も「自衛館」という自衛隊の広報スペースが渋谷に
できたそうです。
そういえば子供のころ自衛隊記念日だったかな、祖母と市ヶ谷の
今は無き東部方面司令部の公開に行ったことがあります。祖母
は多分三波春夫ショー目当てだったかと思いますが、私は対空
機関砲に乗せてもらって大満足だったという記憶があります。
そう、三島由紀夫自決した建物の前の広場でした。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.07.06 09:23
前略 蘊恥庵御亭主 様
大変 面白く拝読いたしました。
愚僧の世界にも「月刊住職」という
業界紙があります。笑
たぶん 現在も刊行されていると存じます。
しかし 蘊恥庵御亭主様の・・・・
「不二草紙」は 本当に素晴らしい。
落語の 教授は 関山和夫先生
歌舞伎の教授は 山川静夫先生
人生の 教授は 蘊恥庵御亭主様
愚僧の定番であります。
浮世絵は 川瀬巴水 様
映画は 川島雄三 様
音楽は 大瀧詠一 様
消しゴム版画は ナンシー関様
愚僧の定番であります。
素晴らしい世界が・・・・
愚僧の回りにイッパイある「しあわせ」。
感謝 感謝で御座います。 合唱おじさん 拝
投稿: 合唱おじさん | 2008.07.06 12:19
伯爵さま、こんにちは。
「自衛館」ですか(笑)。
まあ人集めも大変なんでしょう。
複数の教え子自衛官の話では、今の自衛隊は、いわゆる三島的肉体派(?)はだいぶ減ってしまい、オタクがずいぶんと増えているようです。
ミリタリーオタクだけでなく、メカヲタやフツーのゲームヲタなんかも多いとのこと。
あと、合コン活動(作戦)マニアとか(笑)。
なんの仕事もそうですが、最初の2、3年はとにかく辛いみたいですね。
そこを乗り切ればけっこう楽しいらしいっす。
合唱おじさんさま、いつもありがとうございます。
大家の方と並ばされて、ちょっと居心地が…笑
ところで、「月刊住職」、私も仕事柄(?)時々目にしますが、あれって宗派を超えていて面白いですよね。
「MAMOR」も陸・海・空という宗派を超えています。
そう言えば、お坊さんではないのに、月刊住職を買っている人がいます(私も以前何冊か買いましたが…)。
坊主萌えっていうのもあるんですよ、昔から(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.07.06 16:30
前略 蘊恥庵御亭主 様
御返事 誠に有難う御座います。
あっはっはっ・・・
「坊主喪絵」× 「坊主萌え」◎ですね。
そういえば・・・・・
剃髪姿の僧形に興味があったり・・・・
藍染の手ぬぐい・・・経本や・・・
網代笠や錫杖の御質問・・・・
柿渋染の頭陀袋の購入先を聞かれたりと・・・
まぁぁぁ・・写経や巡礼の・・・
一時的なブームなのかもしれません。
愚僧は・・・あまり 興味はありません。笑
とはいえ・・・「和風文化」の良さは
あると思います。
愚僧は藍染めの「越中褌」を愛用いたして
おりますが・・・・とても爽快です。
風呂敷なども 至極 便利ですし・・・
いろいろ見直す所もありますね。
愚僧は・・・自分自身を見直さねばなりません。笑
合唱おじさん
投稿: 合唱おじさん | 2008.07.07 06:37
合唱おじさんさま、おはようございます。
越中褌!かっこいいですね。
和風文化には憧れます。
でも、我々俗人はなかなか和風な暮らしができません。
憧れるんですが。
せいぜい作務衣くらいですかね。
時々、職場にある仏具店のカタログを見て楽しんでます。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.07.07 08:11