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2008.07.24

ヴィヴァルディ『四季』 アーヨ/ネグリ/テイト

Le Quattro Stagioni (Four Seasons)
Violin: Felix Ayo. Conductor: Vittorio Negri. Orchestra: Kammerorchester Berlin
Ayonegri て、昨日は生まれて初めて自分のお金で買ったレコードを紹介しました。ビートルズでしたね。今日は初めて買ったバロックのレコードを紹介しましょう。中学3年の時かなあ。静岡のすみやで買った記憶があります。
 まあこれもご多分にもれずと申しましょうか、ヴィヴァルディの「四季」です。この写真はどっかの国のオークションから拝借してきたものでして、ウチのものとは色が違います。ウチのは上品なピンクです。
 フェリックス・アーヨと言えばイ・ムジチの「四季」ですよね。モノラル盤もステレオ盤も、いわゆる定盤というか、まあ歴史的名演奏、名盤ということになりますよね。みなさん一度は耳にされていることでしょう。たしかに今聴いてもいい演奏ですよね。最近は古楽器による過激な(?)四季を聴くことが多いので、久々にこういう歴史的な(ある意味これもオーセンティックか)演奏を聴くと、けっこう新鮮に聞こえちゃいます(笑)。まあ、私も含めて、古楽器奏者たちは、このイ・ムジチの「四季」と違うことをやろうとしたのが、活動の原点かもしれません。
 ところで、そのアーヨが3回目の「四季」を録音していたことをご存知ですか…というか、これこそがそれなんです。そしてそれこそが私の買った初めてのバロックのレコードということになります。
 オーケストラはイ・ムジチではなく、当時の東ドイツの室内オケ「ベルリン室内管弦楽団」です。往年の名指揮者ヘルムート・コッホによって結成された楽団で、ベルリン放送交響楽団のメンバーによって構成されています。まず、このオケのクオリティーが非常に高いんですね。イ・ムジチのような豊潤な響きではありませんが、シャープで透明感あふれる音色です。
6132qmomkl_sl500_aa240_ 指揮はヴィットリオ・ネグリです。彼はこの時代、けっこう多くのヴィヴァルディを録音しているようです。のちにこの録音がCD化された時には、他のヴィヴァルディ作品も加えられていました。ネグリは指揮者としてもなかなかの腕前ですけれど、なんといっても、当時のフィリップスのレコーディング・プロデューサー、サウンド・エンジニアとして有名です。彼は長いことイ・ムジチの録音に携わっていて、同時に指揮法やら音楽学を勉強していたようです。バロック時代の楽譜の校訂なんかでも名を残しています。あの頃のフィリップスには名録音が多いのですが、そのほとんどが彼の耳と技術によると言っていいと思います。最近、そういう個性的な音造りをするレーベルがあんまりないよなあ。やっぱりアナログの方が個性を出しやすいんでしょうか。昔の録音は、ある種のフィクション(物語)があって面白かったなあ。
 ここでのネグリの指揮は、けっこう正統的というか、普通な解釈です。ほとんどイ・ムジチ的と言っていいでしょう。全体的に非常にオーソドックスです。それは独奏者のアーヨにも言えます。やはり基本イ・ムジチ時代と同じイメージの演奏をしています。少し細いけれども、とても艶やかで色気のある音で弾ききっています。彼の四季を、高校時代に生で聴きましたが(オケはN響のメンバー)、やはりとても美しい音で感動した覚えがあります(オケはひどかった…笑)。ああ、あれ、密録したカセットがどこかにあるはずだな。探してみよっと。
 で、このレコードの魅力というか特長は、先ほど書いたネグリによる録音としての音造りと、そしてなんといっても、ジェフリー・テイトによるチェンバロ演奏でしょう。テイトも今ではハンブルク交響楽団の首席指揮者ですからね。ずいぶんと出世したものです。その彼がなぜか通奏低音のチェンバロを担当してるんですよね。で、これがすごい。いわゆる今風の(というのも変ですが)古楽的通奏低音法から逸脱しまくりです。ほとんど独奏楽器のようにメロディー弾きまくり、対旋律作りまくりでして、それが今聴くと実に新鮮。冬の2楽章なんか…まあ、ありでしょう…笑。
 いや、当時はなにしろ初めてしっかり聴いたバロックの演奏ですからね、びっくりしましたよ。なぜって、実はこのレコードには「四季」全曲のスコアが付いてきていたんです。それを見ながらレコードを聴いたわけですが、なにしろそのチェンバロのメロディーが楽譜に出てこない。当時は通奏低音という概念やシステムを知りませんでしたから、いったいこれはなんなんだ、勝手にこういうことしていいのか!?と思った記憶があります。のちにそういうことをしてもいい(?)ということを知り、とても心躍ったことも思い出されます。今思えば、このテイトの演奏が、私にバロック音楽演奏の面白さを教えてくれたのかもしれませんね。そして、いつのまにやら、ロックからバロックへと私の音楽人生が展開していく…。
 いずれにしても、何ごとも「初めて」というのは、強い記憶として残り、ある意味常に最高のものとなり、その後の全てを支配していくものですよね。このレコードも完全にそういう存在です。ヴァイオリンを始めた私は、長いことアーヨの音を理想として真似をし続けました。最近も彼の演奏を再評価して、バロック・ヴァイオリンでもああいういかにもイタリアのヴァイオリンらしい艶やかで色っぽい音色を目指しているところです。
 いろいろな意味でのこの名盤、せひともCD再発してほしいですね。

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コメント

最初に買ったレコードではないのですが、最初に
買った「四季」はイ・ムジチの新盤(独奏:
ロベルト・ミケルッチ)でした。これにも、
スコアが付いていましたよ。

投稿: 貧乏伯爵 | 2008.07.25 08:59

伯爵さま、こんばんは。
そうですか。
スコアが入ってるなんて、今のCDじゃあ考えられませんね。
けっこうあの当時のレコードにはついていたものです。
重宝したのは、ビートルズ・オン・バロックのスコアでしたね。
高校時代、それを元に編曲してよく演奏しました。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.07.25 22:13

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