惜敗! 高校野球
今日は高校野球準決勝でした。結果は惜敗。今年は流れ的に大きなチャンスだったのですが。まあしかたありせまんね。一昨年も準決勝で優勝校に、昨年も優勝校に破れました。う〜ん、やはりあと一歩力が足りないのでしょうか…。
昨日、監督さんと一緒に対戦校のビデオを観ながら、いろいろと話しました。相手チームの投手はプロも注目する選手です。今日もスカウトが来ていたのではないでしょうか。その投手をどう打ち崩すか、あるいはどう混乱させるか。それが、ある程度は出来た試合だったと思います。しかし、今一歩勝利には届かなかった。残念ですし、正直悔しい…。
さて、ここからはスポーツとしての勝敗論を超えた、別の次元の話になります。
これは考え方次第であり、どちらが正しいとか、そういうことは言えませんし、ある意味ウチの限界はそこに起因しているとも言えるのですが、相手方チームのベンチ入り選手20名のうち地元の選手はたった1名、あとは他県から来た選手、ウチは100%地元民で構成されたチーム、それもほとんどが自宅から通える距離に住む生徒たちです。
私学が勝負するなら、そんな理想ばかり掲げていてもしかたない、あるいは、私学は企業、勝つための企業努力をせよ、というご意見もあるでしょう。しかし、私たちはあくまで地元で育った、育てられた子どもたちを中心に甲子園に行きたいのです。ある意味山梨県の郡内地方というのは、とても狭い共同体と言える地域でして、甲府を中心とする国中地方とはずいぶんと文化も違います。歴史的にもかなり特別な扱いを受けてきた地域です。だからこそ、ある種のコンプレックスもありますし、逆にいつか見返してやろうという反骨精神のようなものもあります。
私たちの学校自身もそんな地域に育てられたわけですから、いつか地元の選手を中心としたチームで甲子園に行って、地域に恩返ししたいという気持ちもあるんですね。とにかくいろいろな意味で狭い地域ですので、たとえば全国から選手を集めて甲子園に行っても、やっぱりダメなんですよね。心から地元の人たちに応援していただけないと思うんです。
私は高校野球は純粋なスポーツではないととらえています。そのへんについては、昨年こちらにも書きました。もういろいろな人たちがいろいろなところで指摘しているとおりです。私はその弊害も当然認めますが、しかし一方でそこに物語的価値や教育的価値をも認めています。なぜ、野球だけがそういう扱いを受けるのかという疑問もよく提示されますけれど、その答えは非常に簡単ですね。野球自体が純粋なスポーツではないからです。それもいろいろな方が指摘している通りですから、ここでは詳細は述べません。
今日、球場との行き帰りのバスの中で、1冊のプロレス本を読みました(近いうちに記事にします)。それを読みながら、ああ野球ってプロレス的な部分もあるなと思いました。昭和にプロ野球とプロレスが国民的「スポーツ」になり、子どもたちの憧れになった、そして、平成の世になって、その両者の人気が凋落したというのが全てを象徴してますよ。もちろんその反対側で起きた現象が、より公平である意味単純な、すなわちスポーツライクな、サッカーと総合格闘技の隆盛です。
ちょっと不謹慎かもしれませんが、今日も超炎天下の下でこんなことを感じましたよ。こういう環境で一回勝負で雌雄を決するなんて、こりゃあ電流爆破マッチやってるようなもんだよな、って。そういうある意味フィクショナルな部分に、私たちは酔いしれるわけです。もちろんその究極の舞台があの陽炎揺れる甲子園なわけです。甲子園が人工芝になりドームになったら、もうそこにはなんのドラマもありません。
私は単なるガチンコではなく、シチュエーションや周辺ドラマも含めて、一つの演劇的空間が構成されている高校野球というのが好きです。そういう中で、ウチの学校は「ベビーフェイス」を演じていたいんですね。いわゆる「外人部隊」で構成されている他の強豪私立高校を「ヒール」と呼ぶと怒られそうですが、まあいいじゃないですか、そういう構図があっても。そこにいろいろな歓喜や悲哀が生まれるわけでして、それこそがスポーツを超えた物語であると信じますよ、私は。それは生徒たちにとっても、地元の人たちにとっても、決して悪いことではないと思います。
3年生の選手諸君、本当にお疲れさまでした。素晴らしい戦いだったよ。よく頑張った。まさにベビーフェイスな君らだったし、だからこそ表現できたことがあったと思います。ありがとう。
新チームも非常に楽しみなチームです。秋、すなわち春の選抜甲子園にも期待が持てます。先輩たちのように我々らしくいつまでもベビーフェイスで行こうぜ!
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