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2008.06.14

石川杉子弦楽四重奏団ライヴ

click!(ご本人に無断で一部掲載します)
Violentango_2 の写真は、なぜか今、私の手もとにある黒川さんの自筆譜。今日は、編曲者自身の自筆譜を見ながら初演を聴くという幸運に恵まれました。そして、なぜかスコアとパート譜全部、ウチに保管しておいてくれとのことで、私が持ち帰ってきちゃいました。いかにも黒川さんらしい謎の行動(笑)。
 というわけで、今日は黒川均(ひとし)さんの経営する「アフターダーク」というJAZZバーで、弦楽四重奏のライヴを聴いてきました。
 3年前の記事にも書いた通り、黒川さんは私の音楽人生のみならず、私の教師人生、山梨県民としての人生…とにかく今の私の生活全般を決定づける重要な役割を果たしたお方です(ご本人にはそんな意識は全然ありませんが)。
 今回の演目は、3年前に聴いたピアノ五重奏の楽曲を弦楽四重奏に編曲し直したヴァージョン。世界初演であります。ピアソラの楽曲を中心としたプログラム。黒川さんらしい、ぜいたくな不協和音を駆使した豊潤な編曲の妙に酔いしれました。
 ホント、繰り返しになりますが、彼の独特の和声とリズムの感覚は個性的で面白いですねえ。人となりそのまんまです。ジャズとクラシックを両方きわめると、ああいうふうになるんだなあ。
 ちなみに編曲は全て頭の中でやるそうで、楽譜にする作業が一番面倒だとのこと。だから自分が弾くパートは楽譜にしない。まあ、頭の中にあるわけですからね、当然と言えば当然。楽譜は無用です。今回ピアノ五重奏をカルテットに編曲したのは、ピアノ五重奏だとピアノのパート譜が後世に残らないからだとか(笑)。なるほど。演奏の合間に、現代の偏った音楽教育の弊害についていろいろ話しましたよ。自分自身の音楽のあり方についてもいろいろと反省。
 演奏は石川杉子さん(石川静さんの妹さんです)を中心とするカルテット。久々にクオリティーの高いモダン・カルテットを聴いたなあ。とっても狭い店内ですので、お客さんと奏者の距離が以上に近い。1メートル先から鳴り響く生音には、ものすごい迫力があります。また、お客さんのみならず奏者も飲みながら(!)の演奏ですからね。心理的な距離感も近い。
 かっこいい編曲の部分や、名人芸的な演奏の場所ではジャズのライヴさながらに掛け声や拍手が起きます。なんかいいなあって思いました。インタラクティヴだなあ。クラシックのコンサートってホント異常な状況だよなあ。そんなことも改めて思いました。
Kh12 隣に座った学生と話しました。今彼は大学のジャズ・サークルで黒川さんの指導を受けているそうです。黒川さんの「まずは理論」という徹底した指導方法は昔から有名です。学生もあまりの厳しさにどんどん脱落していくとのこと。しかし、そんな修行のような練習と勉強の中で、確実に彼らも上手になってきているとのことです。地方の小さな大学の小さなサークルですが、近いうちに首都圏の有名大学のサークルを、根本的なところで抜き去る時が来るだろうと、黒川さんは力強く言っていました。
 私も地元の人間として、あるいは大学のOBとして、その日が来るのを楽しみにしています。
 ところで…せっかく自筆譜を預かったので、自分なりの方法でリアライズしてみようかな。でも、あの1stヴァイオリン・パートはとても弾けないな。チェロもかなりきつい。素人にはちょっと難しいなあ。
 楽譜というのはワタクシの「モノ・コト論」では「コト」の権化みたいなものです。いつも言うように「情報=コト」は不変な存在ですが、そこから生まれる生の音楽は、無限の可能性を持ち、また無常でももある「モノ」であります。たとえば私がそこに関与することによって、新たな可能性というのも生まれるわけです。古楽器用に再編曲しちゃうとかね。
 本来音楽というのはそうした生命力(増殖力&突然変異力)を持ったものでしょう。ライヴですよ、live。ライヴとはまさに「モノ」の現場。古い日本語で音楽(楽音)のことを「もののね」と言ったのは、そういう意味であったと思う今日この頃です。
 うん、そういう意味でも、黒川さんはやっぱり「物の怪(モノノケ)」ですな。今日はどうもありがとうございました。大きなヒントをもらいました。

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