地震と植樹祭( in 東北)に思う
やっぱり昨日の桜庭和志(秋田出身)惨敗はいかんなあ。東北のモノノケが市場原理につぶされた。そこには祭祀性などかけらもない。ダメだ…そういう世界。
岩手・宮城内陸地震、大変でしたね。まだ比較的大きな余震が続いているようで心配です。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
秋田の義理の祖母も、ちょうど震源近くの温泉宿に湯治に行っておりまして、当日はなかなか連絡も取れず心配だったのですが、なんでも、宿は被害を受けたが入れる風呂が一つ残っているし、帰るにも道が寸断されていて帰れないのでしばらく逗留すると言っているので大丈夫だとか。う〜む、それを大丈夫だと言うべきなのか…。カミさんに、食べ物とか大丈夫なのかな、と聞くと、今は山菜の季節だから山にいれば大丈夫とのこと。う〜む、なるほど…そういうものか。都会的な考えにとらわれてはいけませんな。「大丈夫」の本来の意味を考えさせられましたよ。これって「最強」ってことでしょ(笑)。
さて、皆さんはご存知でしょうか。あの地震があった当日、天皇皇后両陛下が秋田県入りしたことを。そうです、翌15日に北秋田市において「第59回全国植樹祭」が行われたのです。それにご出席されたと。
ここで思い出さねばならないのは、前回40年前の秋田植樹祭のことです。あの時は開催日の三日前に十勝沖地震が発生し、昭和天皇が植樹祭を欠席する事態となりました。なんとも不思議なことです。
ミコトの来訪がヤマトタケルの東征を思い起こさせ、まつろわぬモノノケたちの霊が騒ぎ出すのでしょうか。単なる偶然ではないような気もしてきます。天皇家が東北・北海道を訪問する時は、ちゃんと出羽三山やら鳥海山やらを参拝してからにした方がいいですね、こりゃ。
今回の植樹祭へのご出席にも多少の躊躇があったものと思われますが、植樹祭自体がいわゆる地鎮祭的な要素も持っているので、ワタクシとしては判断は間違っていなかったと思います。40年前も昭和天皇が自ら訪問して地鎮すべきだったかもしれませんね。
歴史的に見ますと、縄文・アイヌに対して、弥生系の天皇家は、次第に懐柔策をとるようになりましたよね。それどころか、中世以降は天皇家と山窩やマタギが強く結びついたり、また違った新しい関係が生じました。
今ももちろん、そういった関係、つまり、両極が一周して結びつくという関係がよく見られます。一般市民・大衆・常民から、絶対値の大きく離れた非常民どうしが結びつくのですね。一方の極には当然天皇家という存在があります。もう一方の極には、現代の都市理論から差別される存在があります。そういった日本に底流する気脈(エネルギーの経路)は、時に非現代的、非都市的な表現で、その存在を示すものです。
それが今回の大なゐ(大地震)と祭ですね。
現代日本を覆っている表皮をはがすと、そこにはすぐに縄文・アイヌの痕跡が現れます。東京なんかその代表みたいなところです。東北や北海道は、その表皮がほとんどありません。そんな様々な風景の中を、天皇は巡幸していきます。ある意味どこへ行っても、彼は異物として存在します。つまりマレビトですね。そして神事を行う。祭です。その祭の意味は、その土地土地で違った意味と形式を持たざるをえませんが、しかし、本質的なところは一つだという気もします。
今回の地震から地鎮祭への流れを見ますと、やはり現代においても天皇(ミコト)の仕事(シゴト)は、モノ(想定外・不随意な外部・自然)への懐柔、すなわち形式(カタ)と祝詞(コトノハ)による政(マツリゴト)であるなあ、と感じるのでありました。マツロハヌ「モノ」をコトムケして接待して、(一時的にでも)マツルようにするのがマツリなのでした。
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