障子に桜咲く
障子というのはよく考えるとすごいモノですね。世界中探しても、なかなかこういうものはない。なにしろ紙ですからね。昔はもちろんガラス戸なんかありませんから、紙一枚で内と外を画していたわけです。
通気性があり、また、外界の光をおよそ半分透過拡散し、案外断熱性も高く、湿度の調整までしてしまう。紙だから破損しやすいかと思うと、専用の障子紙はなかなかの強度を持っています。適度な弾力がその強さの秘訣ですね。
あと、格子状の直線的デザインも和室には欠かせない要素の一つです。この写真は拾ってきたものですけど、円窓の曲線と障子の直線の対比が美しいですね。
さて、今日は先週に続き実家に来ております。いよいよ実家もブロードバンドになるということで、無線LANやら何やらの設定をしに来ております。
家族みんなついてきまして、オマケに黒猫のミーも来ました。彼女はまだ子猫なんですが、下半身不随なので、泊まりのお出かけとなると、どこにでも連れていかなければなりません。自力で排尿ができないので、置いてけないんですね。
で、ミーがですねえ、なんだかいつのまにかケージから脱出しまして、実家の和室の障子をガリッとやってしまったんですよ。ガーン。
そこで登場するのが「ザ・障子張り職人」ウチの親父です。この前、iBookをハサミでジョキジョキ切り刻んだ恐ろしい人です。しかし、あの大胆な行動とは対照的に、障子張りに関しては、非常に繊細な仕事ぶりでありました。
だいたい、「障子張り用」と書かれた箱にいろいろとマニアックな道具が入っている時点ですごい。私なんか面倒だからアイロンで貼るタイプでてきとうにごまかしちゃうんですが、父はちゃんと昔ながらに障子貼り糊から作ります。なんだか見たこともない障子張り用の定規なんかもあるぞ。
なのにカッターの刃が逆さにつけてあって、つまり上下前後が逆、すなわち持つ方から刃が出ていたりするのは、まあご愛嬌(笑)。さすがにちょっとボケて来ているのか、あるいは職人的にはそこはこだわらない部分なのか…。
で、今回は被害が小さめでしたので、すでに数枚用意されている桜の花の形をした当て紙で補修いたしました。これもまたいかにも日本的な世界観ですね。張りたての完全なる障子世界も美しいものですが、こうして、完全の欠けてしまった、いわば不完全な世界を、一つ発想を変えて、一つ何かを加えることによって、違う完全世界を作ってしまうんですね。
こうして桜が咲きますと、障子世界のみならず、部屋の風景や、こちらの気持ちまでも変ってしまうから不思議です。また、咲いた桜に、この日のミーや私たち家族の記憶が残るわけですよね。この桜の花を見るたびに、この日を思い出すことができるわけですから、これまたオツなものであります。
最近ではこのように猫でも破れない障子紙が発売されていますけど、ある意味味わいがないとも言えますね。こうなると逆に猫ちゃんガンバレ!と言いたくなるかも。
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